日銀の金利策は万策尽きた。

<日銀は9月、デフレ対策を強化する上で10年物国債利回りに「ゼロ」の目標を導入する代わりに、一定のペースで国債を買い入れると表明した。だが、日本国債の最大の買い手である日銀は今後の買い入れ計画の全貌を明らかにしておらず、債券ディーラーらは不安を抱いている。

 関係者によると、金融市場を担当する日銀職員は、10年物国債利回りが目標を大幅に下回ったまま戻らないなど、特定の状況下で国債を売却する可能性を排除していない。債券を売れば価格は下落し、利回りは上昇する。

 この関係者は、日銀が売却を検討すると思われる利回り水準について具体的に示さなかった。

 ただ、当局や民間アナリストらは総じて、日銀がそこまで踏み込む必要はないとみている。国債利回りがゼロを下回る現在の水準まで低下した一因は日銀による大量の債券購入で、最近まで年間約80兆円に相当するペースで続けられた。単純に買い入れのペースを落とせば利回りは押し上げられるだろうという。

 7日正午前後の10年物国債利回りはマイナス0.065%。日銀が債券買い入れを大幅に増額した2013年4月以前はプラス0.550%程度だった。

 関係者はまた、日銀がいずれ国債を売却することになっても、その目的は利回り目標を達成するためであって、刺激策のレベルを落とすためではないだろうと語った。関係者の一人は、広い意味で政策の重要性はないだろうとしている>(以上「ウォール・ストリート・ジャーナル」より引用)

 日銀の「ゼロ金利」や「マイナス金利」といった日銀の金利策だけでデフレ経済からの脱却はできない、という状況に日銀は苛立っているようだ。貨幣流通量は経済の主要な指数の一つだ。しかし景気が良くなるから貨幣需要が増加するのであって、貨幣流総量を増やせば景気が良くなる、というのは本末転倒だ。
 四年近くこのブログで景気を良くするには日銀の金融緩和策だけではだめで、GDPの主力エンジンたる個人消費を増やす政策が必要だと指摘し、一貫して消費増税に反対してきた。そしてGDPの第二エンジンの投資を喚起するためにも「Uターン投資減税」を行うべきだと提言してきた。

 日本の企業が国内から海外へ生産拠点を移せばそれだけ国内の雇用が失われ、労働者の総所得が減少する。企業は海外の低廉な労働者を確保して企業利益を最大化できるだろうが、それは内部留保へ向かうだけで労働所得へ分配されない。
 政策拠点を海外からUターンさせて、国内で生産性を高めた工場を建設して、実質的に製品単価に占める労務費の比率が海外移転工場を上回れば何も問題はない。国内企業はそうしたか考えに立つべきだった。

 これまで日本企業が成長を維持してきたのは世界市場で競争するには優れた技術と高度な製品完成度を武器にしていたからだ。しかし、生産技術や製品の完成度を高めるモラルは形のあるものではない。それらは生産にかかわる労働者に蓄積され、労働者の研鑽によりより高度に磨かれてきた。
 海外の生産拠点でそうした日本国内の労働者と同一な労働の「質」を求めるのは困難だ。彼らは働くことにより獲得した技術は自分の労働単価を高める「スキル」として、他の工学労働費を支払う企業へと移っていくのが常だ。日本人のように「一所懸命」といった風潮は極めて稀だ。

 海外移転した企業は国内の生産拠点で獲得してきた生産技術以上に進化することはない。それは長期的な戦略では敗退を意味する。企業の海外移転を勧めた政府機関はいったい何を考えていたのだろうか。
 日銀外次元金融緩和して円の為替相場を引き下げたところで、すでに国内から輸出産業の多くは移転した後だった。つまり円安により輸出が増加するとの目論見は外れ、輸入食料などの消費財の値上がりに繋がっただけだ。しかしそれでも国内経済全体のデフレ傾向が解消できていないということは、かなり深刻な状況だと見なければならない。

 企業の設備投資需要があって銀行からの借り入れが増加するのであって、マイナス金利だから銀行が企業に貸し出して投資が喚起されるだろう、と考えた日銀の「マイナス金利策」も本末転倒だ。そもそもデフレ化の経済状況で消費税率を引き上げたのが間違いだ。GDPの主力エンジンたる個人消費を冷やして、景気回復するはずがない。
 大胆な投資減税、とりわけ海外移転した生産拠点の国内回帰を促さずして投資が景気に結びつくことはない。労働賃金が上がるには労働が売り手市場になって、生産性の向上要因となり企業が労働生産性を高める投資を行うことにより日本企業が海外市場で戦えるようにすべきなのだ。そうした企業の投資動向を促進する政策を安部事項政権は打ち出すべきだった。

 しかしアベノミクスは中身のない、実体経済に大した影響を与えない「スローガン」政策に過ぎなかった。実際にやったことは消費増税と労働分配率を引き下げる要因に直結する派遣業法の大幅規制緩和だけだった。それで個人消費が増加するわけがない。つまりは景気は停滞したまま、経済成長は失われた安部事項政権の四年になろうとしている。少なくとも安倍氏は宰相として国内経済の運営を誤り、無策のまま「口先」景気対策だけという無能ぶりだ。もはや政策転換というより宰相を変えるべきだ。安倍氏に経済対策は無理だったようだ。


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