氷河期の正社員化よりも派遣業法の規制緩和を元に戻せ。

<政府は来年度、バブル崩壊後の就職氷河期(1990年代後半~2000年代前半)に高校・大学などを卒業し、現在は無職や非正規社員の人を正社員として採用した企業に対し、助成金を支給する制度を創設する。

 少子高齢化に伴って生産年齢人口(15~64歳)が減少する中、働き盛りの世代を活用する狙いがある。

 就職氷河期に就職活動した世代の大半は現在、30歳代後半~40歳代になった。親が定年退職したり、介護が必要になったりして、現役世代の働き手として家族の中心的な役割を担っていることから、正社員化で生涯賃金の引き上げを図ることにした。

 政府は、沖縄県を除く46都道府県で有効求人倍率が1倍を超える(9月)など、良好な雇用環境が続くうちに、こうした世代の正社員化を促す取り組みを進めたい考えだ>(以上「読売新聞」より引用)

 求人環境が改善したのは景気が良くなったからではない。労働人口の減少が雇用改善を後押ししているに過ぎない。しかし、それでも政府が正社員化を後押しするのは賛成だ。
 出来ることならすべての年代の非正規社員の正規社員に採用する際に政府は支援すべきだ。なぜなら非正規が増加したのは明らかに安倍自公政権(その前は小泉政権下の竹中構造改革による非正規化策)により派遣業法が野放図に規制緩和されたからだ。まるでマッチ・ポンプを絵に描いたような政治だ。

 企業経営者も労働者を「労働」を提供する人たち、だと捉えていては経営を誤るだろう。労働者を単なる労働提供者だと捉えれば「安い」に越したことはなく、どこで生産しようが製品に差異がなければ、労賃の安い海外へ移転させれば企業利益は最大化できる、と考えてしまう。
 しかし生産技術や企業技術は労働者に蓄積される、という現実を見れば、経営者が安易に企業利益の最大化を目論んで非正規労働者に比重を移したり、生産工場の海外移転は短期的な経営視点というしかない。

 企業が未来へ向かって成長するためには質の良い労働者は欠かせない。そうした意味で、かつて日本の高度経済成長を支えた労働環境が「終身雇用制度」だったことと無縁ではない。
 企業と労働者との信頼関係、さらには企業への帰属意識がなければ労働者は全力を傾けて企業のために尽くそうとは考えないだろう。労働者を原価の「工数」だとみなせば、企業に対する労働者の意識も「工数」という段階に止まるだろう。

 日本は現在の人口構造から年々労働人口が減少して行くことを覚悟しなければならない。そこで外国労働移民を入れる、というのではなく、生産性向上の投資を企業は積極的に行い、生産効率を上げた工場を動かすには質の高い労働力が必要なのは論を俟たない。かつての経済成長もこのようにして生産性を向上により持続した。就職氷河期の人たちに「お為ごかし」の正社員化補助金ではなく、すべての年齢層に対する正社員化を促進すべきだ。


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