人手不足こそ経済成長のチャンスだ。

<財務省は25日、全国の企業を対象に実施した人手不足に関する聞き取り調査の結果を発表した。人手不足を感じていると答えた企業は全体の63.2%に上り、約3社に2社が人材確保の問題に直面している実態が浮き彫りになった。特に中小企業は人手不足との回答が74.7%を占め、より深刻な状況になっている。
 調査期間は9月上旬から今月中旬まで。全国の財務局が調査し、1366社が回答した。製造業で人手不足と答えた企業の割合が47.7%だったの対し、非製造業は75.4%を占めた。
 人手不足の要因としては、「募集をかけても集まらない」との回答が最も多く、製造業は52.3%、非製造業は71.7%だった。「介護需要が高まる中、供給が追い付かない」(医療・福祉)「長時間、過重労働のイメージがあり敬遠される」(飲食)などと、人材の確保に苦労する声が寄せられた>(以上「時事ドットコム」より引用)

 人手不足の解消を移民労働者により解消してはならない。人手不足を解消するには生産性の向上と待遇改善で図るべきだ。待遇改善とは給与などの金額面での改善だけでなく「正規社員」として採用して、労働者が安心して生活できるようにすることだ。
 かつて日本が高度経済成長期には「終身雇用制度」という正社員以上の企業と労働者との信頼関係があった。それにより企業の労働分配率が上がり、労働者の個人所得が増加して「大量消費時代」が到来してGDPが倍々ゲームのように増加した。

 企業は増大する労働費を製品原価に吸収するために生産性の向上を図り、日本企業は世界で競争できる体質になっていった。その後、グローバリズムの導入「構造改革」が起きて、終身雇用制は「古い」とされ、さらに正社員の減少となった。
 企業の生産技術や「改善」などは形として存在するものではない。労働者の個々人の「技能」として蓄積されるものだ。高度経済成長期には「投資減税」や「研究費減税」さらには特別償却などにより、政府は税制政策として生産性向上努力をアシストした。もちろん、当時の法人税は40%近く他の先進国と比較して高税率だったが、それにより日本企業の競争力が削がれたということはなかった。

 安倍自公政権がやっている企業に対する政策は高度経済成長期の政策とは真逆だ。法人税率を一律に引き下げて、投資減税などによるポテンシャルを引き下げ、労働者の企業間移動を自由にする、という名目で派遣労働者の適用範囲を広げて労働者の「働く環境」を徹底して悪化させた。さらにジェトロなどを通して企業の海外移転を促して、国内労働者の賃金引き下げの遠因とした。
 上記記事は企業の労働者不足の調査を財務省が行ったと出ているが、おかしなことだ。本来なら労働関係の統計は厚労省が行っているはずだ。安倍氏にヨイショする官僚が安倍氏の推進する労働移民を後押しするためにそうした数字を発表したとしたら場違いだ。

 介護などの現場に働き手が集まらないのは待遇が極端に悪いからだ。厳しい労働の割に給与面の待遇は極端に低く、平均給与約20万円は労働者全体の平均給与30万円超よりも月額で10万円以上も低い。
 そして体力的に年老いても働ける職場でないことは火を見るよりも明らかだ。介護補助機器が開発されても、究極のところは人手で被介護者を抱えることになるからだ。介護現場に介護ロボットを導入して、人力で行っている被介護者の移動などを完全にロボットで代替できるように開発することも必要だが、人に蓄積される介護技術が技術として継承されるには介護者が長く介護現場で働ける環境整備が必要だ。なぜ介護師を公務員にしないのだろうか。

 人手不足を喧伝して外国労働移民を受け入れる「露払い」を勤めようとするのは間違いだ。人手不足こそが労働者の待遇改善のチャンスであり、企業は生産性向上に本気で取り組むチャンスだ。そしてそうした「技術」は労働者たちが労働現場で継承するものだ。海外移転した労働現場でそうした技術は開発されにくいし、ましてや継承するのは困難だ。日本国内でこそ、そうした企業技術は磨かれ継承されていく。日本国民を雇用して高度経済成長を果たした過去を忘れてはならない。


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