日本国内の大統領選情報と米国内の大統領選情報との乖離は何か。

<ベーカー編集局長はクリントン氏に対する逆風として、米国民の間で「変化」を求める声が高まっていることも指摘。1940年代以降に3期連続で同一政党が政権を維持したことは1度しかなく(共和党レーガン元大統領とジョージ・H・W・ブッシュ元大統領)、長期的に見て有権者はリーダーシップに変化を求め続ける傾向があるとした。その点、クリントン氏は大統領夫人、上院議員、そして国務長官として25年近くも米国政治の表舞台に立っていた経歴を持ち、現状維持の象徴でもある。政治には関わってこなかったトランプ氏が変化のイメージをアピールするのは容易だが、クリントン氏はそれがしにくい立場にいる、とベーカー編集局長は語った。

 過去30年にわたる経済のグローバル化から恩恵を受けられなかった層が声を上げた結果、最近では英国が欧州離脱を決め、欧州の他の国でも右傾化が見られる。世界から見れば比較的安定していると思われがちな米国も、経済成長はまだ弱々しく、所得格差の問題も渦巻く。外交面では中国やロシアの台頭が米国の地位を脅かし、さらにテロ増加への懸念も高まる中で、政治のリーダーシップに対する不満は米国内でも募っているとベーカー編集局長は話した。

 ただしクリントン氏にとってプラスに働く点もいくつかある。民主党支持者が多いヒスパニック系の有権者が増加するなど長期的に人口動態が変化したことに加え、高学歴の有権者や若者も民主党候補に投票する傾向が高い。その結果、過去6回の大統領選のうち5回で民主党候補者の一般得票数が共和党候補者を上回っている。「今の人口動態ならば、1980年の大統領選挙でレーガン大統領は当選できなかったはずだ」とベーカー編集局長は語った。

 米大統領選は538人の選挙人を通じた間接選挙方式で勝敗が決まるため、過半数の270人を獲得できれば当選が決まる。人口動態の変化を背景に民主党は安定した支持を有権者から得ており、過去6回の大統領選では少なくとも242人の選挙人を毎回獲得している。それら盤石とされる州に加えて、28の選挙人を獲得するだけでクリントン氏は当選確実となるとベーカー編集局長は試算する。

 今回の大統領選において鍵を握るのはペンシルベニア州、フロリダ州、オハイオ州、そしてノースカロライナ州。トランプ氏はこの4州全てを獲得しなければ当選が見えてこないが、民主党人気を支えとするクリントン氏は4州のうち1州でも勝てば当選が近づくとベーカー編集局長は語った。

 選挙戦終盤の情勢を見ても、まだ勝者を予測するのは難しいとベーカー編集局長は語った。トランプ氏当選にも「現実的な可能性」が残る中、この先は最終決戦の場となる両候補の討論会が控える。また民主党幹部間の私的な電子メールを流出させた内部告発サイト「ウィキリークス」の動きにも注目だとし、今後クリントン氏にダメージを与える何かしらの新たな情報が公開される可能性もあるとした。

 歴史的に見ても群を抜いて不人気の2人が僅差で争う今年の選挙を、ベーカー編集局長は「最も異常な大統領選」と表現。米国民の間でも注目度は高く、テレビ中継される討論会は高視聴率を獲得するだろうと予測した>(以上「WSJ」より引用)

 日本国内のマスメディアで報道される米国大統領選はクリントン氏で決まりかのような印象が強い。前回のテレビ討論会直後では数十ポイントも差が開いたとの報道が日本国内では溢れ返っていた。
 しかし米国内の報道は必ずしもそうではないようだ。WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると上記引用記事通り、両氏とも予断を許さないようだ。極めて僅差の戦いで、最終回となる今月末の三回目のテレビ討論まで判らないとするのが米国内の一般的な意見のようだ。

 なぜこのように日本国内のマスメディアと米国内のマスメディアとで米国大統領選の報道に差があるのだろうか。その差が生じる原因はいったい何だろうか。
 日本のマスメディアは寡占状態で、テレビも新聞各紙に支配されていることから、極めて少数のマスメディアによって日本国内の報道は統制されているといっても過言ではない。しかも記者クラブが存在しているように、政権がマスメディアを操りやすい状況にあるのも確かだ。

 歴史的に日本のマスメディアは戦前から戦後、更には現在に到るまで一部権力の広報紙に堕してきた。戦前はもちろん軍部だったが、戦後はGHQが軍部に代わって検閲から自主検閲という巧みなマインドコントロールを日本のマスメディアに行ってきた。その伝統は今も生きていて、「自主規制」という名の下に言論統制が今も罷り通っている。
 その結果として日本のマスメディアの自由度の世界ランキングは韓国以下の61位という不名誉なことになっている。国会でTPP審議が行われていても、マスメディアは一足早くFTA貿易協定を米国と結んだ韓国の70を超える韓国内法がISD条項によって改変されたという事実を一切報道していない。

 TPPが米国の多国籍企業や投機家たちによるいかに恐ろしい日本国支配かを覆い隠して、矮小的なコメの輸入量といったことのみを報道している。もちろん穀物安保は国民の命を守るために必要だが、TPPは国民生活の細部にまで入り込んで日本を米国の属国化にすることを注意喚起すべきだ。
 トランプ氏はここ30年間のグローバリズムが米国社会の格差拡大と貧困化を招いたことによる弊害から、反グローバリズムを掲げている。それが世界の潮流になっていることを日本のマスメディアは伝えようとしない。英国の脱EU住民投票を「愚かな選択」だと報道して憚らないのが何よりの証拠だ。

 米国民は1%に満たない金満家たちによる99%の米国民支配にウンザリしている。何かと理屈をつけて膨大な戦費の消耗に過ぎない世界警察の戦闘行為に生理的な反発を起こしている。だからISに対して米国は空爆はしても地上部隊の投入は出来なくなっている。
 そこに来て愚かで勇ましい安倍氏とその仲間たちが自公政権を牛耳って「戦争法」を違憲を圧して強行成立させて、自衛隊という地上部隊を派遣することになった。米国にとって願ったり叶ったりだ。そしてレイムダックに陥っているオバマのTPPを日本が強行して承認するという。愚かしさもここまで来れば「売国奴」という名を与えざるを得ない。

 日本のマスメディアは腐りきっている。なぜマトモな報道が出来ないのだろうか。せめてはWSJの記事を引用して、米国内ではこのような観測もある、という報道をすべきだ。恐ろしいほど一色に染まった報道はこの国の危うさでもある。


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