世界債権市場はパラダイムシフトの転換期にある。

<「デフレ脱却のため、2%の物価上昇目標を目指すのがリフレ派だ。やり方はいろんな議論がある」。12日、長野県松本市での記者会見。日銀政策委員の中でリフレ派の代表格とされる原田泰審議委員はこう強調し、政策変更に理解を求めた。

 9月21日の決定会合で日銀は、短期金利をマイナス0.1%、10年物の長期国債利回りを0%程度に操作する「長短金利目標」を新たに導入した。一方、従来「年間80兆円ペースで国債を購入する」としてきた量的緩和の目標を「80兆円をめど」に後退させた。13年の黒田東彦総裁就任以来、大量の国債を購入してお金を世の中に流す量的緩和政策でデフレ脱却を目指してきた日銀だが、国債保有額が400兆円に膨らんでも物価上昇率がマイナス圏に低迷する中、政策転換を図った。いわば「『量』の目標を事実上捨てた」(日銀幹部)格好だが、リフレ派のはずの原田氏と岩田規久男副総裁は、賛成票を投じた。

 原田氏は、新たな枠組みで物価上昇率が安定的に2%に達するまで金融緩和を継続すると明言したことが「量に対する強い公約だ」と述べ、量的緩和は後退していないと強調した。だが、在野のリフレ派の批判は厳しい。元審議委員の中原伸之氏は、「原田、岩田両氏は敢然と反対すべきだった。日銀職員の説得と圧力に負けた」と厳しく批判。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二氏も、「自分が委員なら反対した。今後の行動を注視していかないといけない」と指摘した。

 「量から金利」への枠組みの転換について、日銀の大規模緩和を後押ししてきた安倍晋三首相は現時点では「歓迎したい」と容認姿勢だ。ただ、首相の経済ブレーンでリフレ派の本田悦朗・駐スイス大使は米通信社の取材に「日銀は次回会合で追加緩和を行う必要がある。国債購入額はまだ拡大できる」と強調しており、円相場や株価の展開次第でリフレ派の巻き返しが強まる可能性もある>(以上「毎日新聞」より引用)

 長期的に世界債権市場は金利低下というパラダイムにあった。米10年国債利回りは1980年代初頭の15%前後から現在の1.37%程度まで、着実に低下を続けてきた。日本とドイツの10年国債利回りは、数十年前に8%前後だったのが、今ではマイナスとなっている。
 そうした金利低下とマネタリーベースの量的緩和により経済を成長させようとする動きはグローバリゼーションと相まって、国際金融の「単一化」という方向へ向かっていた。しかしここに到ってマネタリーベースだけで経済成長を促すのには限界があるという認識を世界債権市場関係者は共有しつつある。

 そうした動きの中から日銀も当面は年間80兆円を目途とした日本国債を買い入れるものの、金利重視へと転換することにしたというのは当然の政策選択だ。それに対して安倍氏が「是認」したというのは流れに流されるだけの暗愚な政治家の反応で、叡智ある政治家ならこの四年の間ろくな景気対策をしないで経済政策を金融緩和だけに凭れてきた政治に赤面すべきだ。
 日銀がリフレ派の異次元金融緩和単一路線から金利重視の複線化したことに対して、政府は強力な景気対策を実施すべきだ。財務官僚などの主張する「財政規律」で自縛されず、消費税を5%に戻すなどの大胆な減税と、「Uターン投資減税」などにより海外へ流出した生産拠点を国内に呼び戻すパラダイムシフトの局面にある世界の潮流をしっかりと捉えた政策を行うべきだ。

 しかし安倍自公政権はグローバル化というパラダイムから内政重視へと転換しつつある局面を理解せず、TPPなどというグローバリゼーションの最たる制度導入に躍起となっている。愚かというよりも日本を丸ごと米国の1%に売り渡す「売国奴」政治家集団だと批判するしかない。
 政治は「国民の生活が第一」の政治本来の使命に回帰すべきだ。国際協調や国際支援などは国内の貧困化を是正し国民の所得格差を是正した後に考えるべきだ。安倍自公政権になって以来、国民は貧困化してきた事実は統計数字が物語っている。そして現在も消費増税8%の影響が個人消費支出の実質マイナスとなって表れている。

 口先だけのアベノミクスという経済政策の実態はナッシングという経済無策の安倍自公政権の四年間に国民は貧困化してきた。しかし国民の貧困化は日本だけではない。グローバリゼーションを世界に提唱した米国も国民の貧困化は深刻な状態になっている。それはユーロ圏の先進国だったドイツやフランスや英国でも如実に表れている。
グローバリゼーションは「ヒト、モノ、カネ」の国境を無くして自由に行き来できる社会を目指してきたが、 過度に行き過ぎた「自由化」の利益を手にするのは国境を越えて商売する一握りの投機家たちだけだと、日本の政治家を除く世界の指導者たちは認識するに到った。だから大統領候補者たちも表向きはTPPに反対すると言っている。

 政治家たちは誰の利益を代表する立場に立っているのか、ということを知るべきだ。少なくとも配偶者控除を廃止しようとした安倍氏は貧困層を無視して財政規律を守ろうとしたし、今はTPP批准に躍起になっているということから「国民の生活が第一」の政治家でないことは明らかだ。それでも日本国民の多くが安倍自公政権を支持している、と日本のマスメディアによる世論調査は物語っている。
 つまり日本国民の多くは「国民の生活が第一」の政治に背を向ける安倍自公政権を支持して、自ら貧困化するのを容認しているということなのだろうか。つまりTPPにより日本の富のすべてと社会保障制度のすべてが米国の1%により食い物にされることを容認している、ということなのだろうか。

 そうでないとしたらマスメディアによる安倍自公政権支持率が高いのはインチキだということになる。安倍氏はそれでもハンメルの笛を吹いて国民を貧困という大海へ落とし込んで溺死させようとしている、という実態を知るべきだ。世界はパラダイムシフトの大転換期にある。世界とリアルタイムで繋がっている金融から日銀は方針転換をした。しかし世界と連通管で繋がっていない政治は依然として「構造改革」「グローバル化」という旧体制のままだ。
 愚かな政治家を国民はいつまで選び続けるつもりだろうか。しかし選挙に立候補する政治家の卵たちが「弔い合戦に勝ちたい」だとか「蓮舫さんのために選挙を勝ちたい」などとほざいているようでは、日本の政治はこのレベルなのかと嘆くしかない。


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