ゾンビ企業の延命策は国家経済を破壊するだけだ。

<中国国務院(政府)は10日、企業の債務を株式に振り替える「債務の株式化」を推進すると発表した。企業が抱える過剰債務の負担を軽くし、表裏の関係にある銀行の不良債権の処理につなげる。

 国務院が発表したのは「市場化した銀行債権の株式化に関する指導意見」。それによると債務株式化の対象となる企業として3類型を挙げた。景気循環で一時的に経営不振になった企業、成長性があるのに債務負担が重すぎる企業、過剰生産能力を抱えた業界の上位企業。借金が多すぎて利益がずっと出ていない「ゾンビ企業」は対象にしないという。

 10日に記者会見した国家発展改革委員会の連維良副主任は「政府が債務の株式化を銀行や企業に強制することはない」と話した。債務の株式化の対象になった企業は企業所得税、増値税などを軽減する。

 ただ、債務の株式化を巡っては習近平指導部内にも「問題の先送りにすぎない」として慎重な意見があった。5月には中国共産党機関紙、人民日報1面に「権威人士」なる匿名のインタビュー記事が載った。記事は習氏に近い人物の意向が反映されたとされ、債務の株式化について「むやみにやるべきではない」と慎重な姿勢をみせていた>(以上「日経新聞」より引用)

 企業債務を債権化して売り出す、という手法はリーマンショックで批判された「金融工学」のサムプライムローンの手法をそっくり真似たものだ。債務を売り出すことにより企業債務は消えたように見えるが、借入金が゛転換社債」などの資本に振り替わっただけだ。
 それは企業業績に寄与しない、単なる振替に過ぎず銀行の債務軽減に一般投資家たちが利用されるだけだ。企業と銀行の延命を広く国民投資負担により肩代わりさせようとするものに過ぎない。

 中国経済を改善するには供給過多に陥っている製造業の一部廃棄と赤字構造に陥っている産業のリストラを強行する以外にない。それには当然銀行も企業も労働者も痛みを伴うものだが、そうする以外に中国経済を健全化する道はない。
 しかし習近平政権は不良債権の処理をしないで先送りし、拡散しているだけだ。それは供給過多に陥っている企業投資家たちに逃げる時間稼ぎを用意し、政府の命令によりゾンビ企業に資金を垂れ流させた銀行の救命策に過ぎない。しかしいかに振り替えたところで、不良債権は拡散されるだけで中国経済から忽然と消え去ることはない。

 しかし債務を債権化して売り出したところで誰が買うのだろうか。もしかすると中国政府は日本の日銀が国債を買い入れて、国家のバランスシート上は国債残高が消え去っていく手法を真似ようとしているのかも知れない。
 つまり証券化した企業債務を個人投資家たちの買い入れを装って政府が買い入れるつもりかも知れない。「元」の国際通貨化を急ぐ理由がそこにあるとしたら、それは国際金融に対する背任にあたる。中共政府の中国は中国経済の延命のために国際金融を巻き添えにしようとしているのかも知れない。

 元の国際通貨化を容認した国際金融機関は中共政府に元の信認に影響を与える「不健全化」をすべきでないと勧告すべきだ。既に元は偽札がATMから出て来るほど不健全化している。今度はゾンビ企業の不良債権を抱え込むとしたら飛んでもない事態を引き起こすことになる。
 国際金融は各国の競うような金融緩和策によりジャブジャブになっている。満々と通貨を湛えた国際金融のダムは一応平静を保っているが、何処かが崩れると怒涛のように信認失墜の雪崩が国際金融全体に波及する恐れがある。さし向き中国に肩入れし過ぎたドイツ銀行の破綻不安が再燃することになりかねない。

 習政権は自身の政権維持のために国際金融を道連れにしようとしているかのようだ。だが、そうした手法は金融の世界では既に否定された債務の拡散に過ぎないことは見抜かれている。いかに言葉で実態を繕ってみたところで、供給過多とゾンビ企業という実態が解消されたわけではない。中国はいよいよ「禁じ手」を使う段階にまで追い詰められているが、決して「禁じ手」を使わせてはならない。元の国際通貨化を容認した機関はその責任において、習近平氏を諫めるべきだ。


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