学校の学芸会並の国会討論。

<民進党の蓮舫代表が28日の参院本会議で就任後初の代表質問に立ち、安倍晋三首相との直接対決に臨んだ。蓮舫氏は22回も「提案」という言葉を繰り返して責任政党をアピールしたが、随所に首相の経済政策「アベノミクス」や社会保障政策への批判を織り交ぜ、提案の中身そのものには具体性を欠く場面も目立った。一方、首相は旧民主党政権の失政を徹底的に指弾し、対決モードを全開にした>(以上「産経新聞」より引用)

 野党が「提案」しなければならない、というのは読売新聞などが言い立てた「代案」の代わりなのだろうか。野党が提案しなければならない、批判だけの野党は政権獲得の資格がない、とは非常識も極まりない。
 批判こそ提案ではないか。脳裏に代わりの政策がなければ批判できないのは当然の理だ。現にある政治に対するアンチテーゼが批判だから、批判すればアンチテーゼが浮き上がってくるのが理論というものだ。無理して提案したり、代案を提示しなければ政策を批判できないというのは中学校の討論会でも見ているような珍奇さがある。

 例えば、蓮舫氏が児童手当の微増を批判した時、安倍氏は民主党政権下では一円たりとも増加しなかったではないか。結果がすべてだ、と批判した。しかし民衆党は2009マニフェストで「子ども手当26,000円」を掲げていた。しかしその政策を潰したのは野党だった自公とマスメディアによる「財源がない」という批判だった。
 財源は官僚たちが考えれば良い。政治家は政策を提起するのが仕事だ。その「子ども手当26,000円」は出生率向上を目指したフランスの政策を参考にしたものだった。子供大して直接投資しよう、という画期的な所得保障政策だった。私たちはそれを「未来への投資」と呼んで歓迎した。しかし自公とマスメディアの猛烈な「財源なきばら撒き」との批判で潰え去った。

 潰え去ったが、そうした政策が提起されたからこそ、安倍氏が「未来への投資」という概念を学習したのではないだろうか。しかし安倍氏の提案した「未来への投資」は欺瞞の塊だ。
 配偶者控除を廃止して女性を家庭から引っ張り出して働かせるのが「女性参画社会」だというのは余りに皮相な発想だ。なぜ家庭を営む男女を優遇する政策を排除するのだろうか。家庭を営まなくても子供さえ産めば良い、婚外婚を認めるからには配偶者手当は不平等だ、という考えは危険だ。

 子供にとって母親だけでなく父親も必要だ。何かの事情があってどちらか一人の親に育てられる子供に対しては助成を与えて支援すべきだが、シングルこそが良いかのような政策は余り感心できない。
 子供には母親だけでなく父親もまた成長段階で必要だ。安倍氏にも母親と父親から愛情を注がれて成長した記憶があるはずだ。外相まで務めた父親がいればこそ、安倍氏は政治家への道を「世襲」出来たのではないだろうか。

 そうした議論もさることながら、世界はパラダイムシフトの時代に入っている。英国のEU離脱や米国大統領候補が打ち出している「米国ファースト」の政治表明は前世紀末からグローバル化で押し啜るられてきたパラダイムが大きく変化した証だ。
 そうしたパラダイムシフトに気付かず、安倍氏はグローバル化の権化のTPPを未だに推進しようとしている。滑稽極まりないことだが、そうした観点から野党が安倍自公政権の時代遅れを指摘しないのはなぜだろうか。

 米国は先の大戦以後、世界の紛争で多くの若者の命を戦場で失ってきた。中東でもイラク進攻以来、主として地上戦で3,000人以上も失い、米国内には厭戦気分が満ちている。
 だからSIに対しても空爆はするが地上部隊の投入に踏み切らないでいる。米国は地上部隊の戦闘から米国の青年を引き揚げた。その代り日本の自衛隊を地上戦に利用しようとしている。共産党の議員が指摘した「殺し殺される」事態に自衛隊員が陥るのは時間の問題だ。安倍氏はPKO五原則に則って自衛隊を派遣するからそうしたことはない、と答弁したが、前線なき戦場でPKO五原則が通用しないのは当たり前のことではないだろうか。寝言のような答弁で得々としている安倍氏の単細胞ぶりには驚くしかない。

 欧州は労働者移民でEU構想そのものが崩れようとしている。欧州のグローバル化の失敗だ。その影響は最も欧州のグローバル化EU連合の旗手として頑張ってきたドイツで如実に表れている。ドイツにEU崩壊を押し止める力は残っていない。
 パラダイムシフトの時代に突入したにも拘らず、安倍氏は米国の1%が使嗾した「構造改革」というグローバル化と、米国の一州に日本を取り込む策動のTPP推進を忠実に実行しているだけだ。売国奴の称号をこのブログで安倍氏に進呈している。両大統領候補がTPPをやめると主張しているこの期に及んでも、TPP推進を掲げる安倍氏はまさしく売国奴の面目躍如だ。

 安倍氏が政権を執ってから労働者所得は実質5.4%のマイナスだ。国民は貧困に直面している。その前の民主党時代の労働者所得は僅かながらプラスだった。確かに失業率は改善されたが、竹中氏の会社が儲かるように正社員の割合は激減して、非正規派遣労働者の雇用が増大しただけだ。
 そうした労働環境の悪化の上に立つ雇用の増加にどれほどの意味があるというのだろうか。安倍氏の好きな言葉を用いて表現するなら政策の「深化」を促す国会議論を「加速」して、「未来」への「投資」こそ行うべきで、「構造改革」よりも日本ファーストの政治を行うべきだ。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。