日本政府はドイツ銀行の破綻に備えているのか。

<ドイツ銀行の社債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の取引高が半年ぶり高水準となった。米当局が証券販売問題をめぐり140億ドル(約1兆4100億円)の支払いを求めたことで同行財務への懸念が高まった。
  23日終了週には総額で8億4300万ドル相当のドイツ銀債を保証するCDSが取引され、取引高は前週に比べ60%あまり上昇した。米証券保管振替機関(DTCC)のデータが示した。CMAのデータによれば、劣後債の保証コストは今週過去最高となり、優先債の保証コストも年初来の最高に近づいた。
  優先債のCDSスプレッドは今月約25ベーシスポイント(bp)上昇。劣後債の保証コストは約50bp上昇した。8月26日終了週は5100万ドル相当の債務を保証する取引だった>(以上「Bloomberg}より引用)

 世界第4位のドイツ銀行の破綻危機が囁かれている。ドイツのGDPは約4兆ドルだが、ドイツ銀行の債務超過デリバティブは75兆円に達しているといわれている。米国のリーマンショックが世界同時恐慌にならなかったのはリーマン氏ショック発生時に米国政府が銀行支援に80兆円支出したからだといわれているが、GDP4兆ドルのドイツでドイツ政府に75兆円支出してドイツ銀行を支援することは出来ない。
 ドイツ銀行が破綻してCDSにより他の金融機関に債務返済が連鎖したなら、世界恐慌に陥らないとも限らない。そうした危機が現在静かに進行している。

 1月下旬から独最大手のドイツ銀行を筆頭に欧州で銀行株が急落した際、金融機関の新破綻処理法制に関連する債券で、「投げ売り」が起きたのは周知の事実だ。投げ売りとは、損失が出ることを承知で売ることをいい、損を承知で売りをかけた債券。厳しい状況であると考えられる。
 今回一斉に売られたのは、CoCo債(偶発転換社債)や劣後債、シニア債など、まさにこのベイルインに関連する債券で金融機関の危機は世界的なレベルに達しているとみるべきだ。

 なぜトイツ銀行が破綻の危機に陥ったのか。ドイツ銀行はLIBOR(ロンドン市場においての銀行間取引金利)とTIBOR(日本の東京市場の銀行間取引金利)について不正を行っていたことより多くの訴訟を抱え、それにより莫大な賠償請求がきている。LIBORについてはドイツ銀行も不正をすでに認め、去年の春に英米の金融当局に25億ドル(約2900億円)もの制裁金を支払うことで合意している。
 また、フォルクスワーゲンの排気ガス規制逃れの不正をドイツ銀行が救済資金の大部分を出すことにもなっている。そのため2015年の決算はまだ出ていないが、ドイツ銀行は純損失67億ユーロ(約8,500億円)ほどに達しているのではないかといわれている。

 世界第4位のドイツ銀行が破綻した場合、何処が助けることが出来るだろうか。主要世界各国政府は金融緩和を実施てジャブジャブの貨幣大増刷を行ってきた。日本も例外ではない。それでも世界はインフレどころかデフレ傾向にある。いかに実体経済と嘉兵衛金融制度が乖離し、金融市場が病んでいるかお解りだろうか。
 ドイツ銀行の株価暴落は日本の銀行株にも影響している。金融不安は日本だけではない。どの国が倒れても、どこの国も助けることができない負の連鎖が一瞬にして世界に広がる金融危機がすぐそこまで忍び寄っている。世界各国の金融相はドイツ銀行の破綻危機について善後策を直ちに講じられような仕組みづくりをすべく会議すべきだ。

 *ベイルイン とは
 リーマン・ショック時に政府が税金で巨大金融機関を救済したことに世論が反発し、その後「ベイルイン」と呼ばれる、新しい破綻処理法制が世界で導入されました。ベイルインは金融機関の経営悪化時に株主だけでなく債権者にも損失を担わせて、納税者負担を回避するという考え方です。


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