専業農家への戸別所得保障制度を創設して、食糧安全の確立を。

<農水省によると、平成26年に農作業事故で亡くなった人は350人。統計を取り始めた昭和46年以降、毎年400人前後で推移しているが、母数の農業人口が減少しているため、10万人当たりの事故死者の割合は右肩上がりで、平成26年は過去最多の15・4人にのぼった。全産業の平均(1・7人)の9倍、危険度の高い作業が多い建設業(7・5人)と比べても2倍以上と突出している。

 特に目立つのは高齢者だ。26年の死亡事故は65歳以上が295人と84・3%を占め、うち80歳以上は145人で41・4%だった。農水省の担当者は「年齢による判断能力の衰えもあるのだろう」と指摘する。

 乗用型トラクターによる事故が最も多く、死者は95人。このうち「機械の転落・転倒」が75人と約8割を占め、操作ミスとみられる事故が複数あった。

 国立研究開発法人「農研機構」によると、事故は操作ミスのほか「滑りやすい」「草で路肩が見えにくい」など農業特有の周辺環境も影響している。

 広い農地で起きる事故は、目撃者がいないため、長時間発見されないことも多く、担当者は「もう少し早く見つかっていれば助かったのでは、という事例もあった」と打ち明ける。

 農水省は、収穫の最盛期となる9、10月を安全対策の重点期間とし、農業従事者の集まる講習会などで安全意識の向上を呼びかけているが、決定的な解決策はない。担当者は「慣れた作業にこそ危険が潜んでおり、十分に気をつけてほしい」と訴えている>(以上「産経新聞」より引用)

 農業の死亡事故が建設業の二倍もあることに驚く。確かに農業従事者の平均年齢が高齢化しているのに比して、就労人口の減少から作業効率化と省力化に力を注ぐことから、農業機械の大型化は避けられない。
 それに伴って農業従事者が事故に遭って命を落とすという悲惨な事態が全国各地で発生している。日本の農業を考えるとき、農業後継者をいかにして確保するか、という問題は避けて通れないし、食糧安保という観点から政府は本腰を入れるべきではないかと思わざるを得ない。

 日本の官僚は農家の戸別所得保障という概念を受け入れ難いのか、欧州各国の農家への戸別所得保障が制度として確立されているのに対して殆ど何も行われていないに等しい。農業所得だけで生活する専業農家は全国でかつて140万戸だったものが現在では3万戸となり、平均年収は200万円ほどだという。
 それで若者に「農業を担え」と叱咤激励することは困難だ。しかも災害などにより収穫量が激減することもあり得る過酷な労働現場だということも若者離れを起こさせている。最低でも農家に対する戸別所得保障制度を確立して農家の生計を安定させなければならない。

 地方の山間地域にも圃場整備は広く行われているが、その圃場整備地域が早くも荒廃しつつあるのに驚く。農業土木を司る「土地改良」には土改連という圧力団体があって毎年4000億円もの予算を投じているが、現在では圃場整備よりも農家の戸別所得保障にこそ予算を付けるべきではないだろうか。
 奇しくも政府はTPPをゴリ押しして今臨時国会でTPPを批准しようとしているようだが、安倍自公政権は食糧安保を米国に売り渡す売国奴だといわざるを得ない。馬鹿げた「減反政策」ではなく、働く日本の農家にこそ政府は「所得保障」という支援をすべきだ。そして若者が後継者と自ら名乗り出るような魅力ある産業に農業を変えなければならない。それこそ未来への投資ではあるまいか。


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