日中関係を壊しているのは中国の膨張主義だ。

<中国を訪問中の谷内正太郎国家安全保障局長は25日、北京で李克強首相、外交トップの楊潔篪国務委員(副首相級)とそれぞれ会談した。9月に中国・杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた安倍晋三首相と習近平国家主席の会談実現へ詰めの調整を行った。李首相は日中関係の改善に意欲を示した。

 中国外務省によると李首相は会談で「両国は中日関係を正常な発展の軌道に戻すよう努力すべきだ」と指摘。来年と再来年はそれぞれ日中国交正常化45周年と日中平和友好条約締結40周年だと言及したうえで、「このチャンスを捉え、新旧の問題を適切に処理し、両国関係の改善の流れを維持したい」と述べた。

 谷内氏は楊氏との会談では、沖縄県・尖閣諸島周辺で相次ぐ中国公船の領海侵入について沈静化と再発防止を求めたうえで、G20での首脳会談の実現に向けて協議した。年内に日本で開く予定の日中韓首脳会談への協力も呼びかけた。

 偶発的な衝突を防ぐための「海空連絡メカニズム」の早期運用開始も提起し、防衛省幹部が会談に同席した。南シナ海で中国が進める軍事拠点化への懸念も改めて伝えた。北朝鮮の核・ミサイル問題では中国の役割や日中協力の重要性を確認した。

 李首相との会談は約30分、楊氏との会談は昼食を含めて約3時間半だった。首脳会談が実現すれば2015年4月のジャカルタでの会談以来、1年5カ月ぶり。中国は安倍首相に近い谷内氏と楊氏の枠組みを「ハイレベル政治対話」と呼び、対日関係の最も重要なパイプと位置づけている。谷内氏は15年7月に北京を訪問した際も、李首相と会談した>(以上「日経新聞」より引用)

 日中関係が年々悪化しているというのは世界の共通認識だろう。日中だけではない、ロシアを除く中国を取れ囲む近隣諸国のすべての共通認識になっているのではないだろうか。
 その原因は南シナ海の岩礁埋め立て・軍事基地化に象徴される、中国の海洋進出などの「膨張主義」だ。それは現代の帝国主義と呼ぶにふさわしい暴挙で、軍事的な脅威を与えつつ近隣諸国を黙らせる、という先の大戦で否定された侵略の手法そのものだ。

 日中関係を改善しようとするなら、中国が外交姿勢を改めるしかない。日本に何を要求しているのか、谷内氏が何を譲歩しようとして中国を訪問したのか解らないが、谷内氏が日本の譲歩を持ち出したならそれは次なる要求に繋がるだけだ。
 ドイツ系住民が多数を占めていたチェコのズデーテンのドイツ帰属を主張したドイツのアドルフ・ヒトラー総統に対して、イギリスおよびフランス政府は、これ以上の領土要求を行わないとの約束をヒトラーと交わす代償としてヒトラーの要求を全面的に認めることになった。1938年9月29日付けで署名されたこのミュンヘン協定は後に第二次世界大戦へとつながる「宥和策」として批判されている。

 現代版の「宥和策」を中共政府の習近平氏に対して行ってはならない。それは次なる要求へと拡大させることでしかないからだ。
 日本は毅然とした態度で中国に批判を突きつければ良い。つまり9月の杭州で開催されるG20の議題に南・東シナ海に進出する中国を取り上げるように堂々と要求することだ。中共政府がそれを拒否すれば、G20に参加を取りやめるように友好国と連携を取ることだ。

 中共政府内でも習近平氏は孤立しているといわれている。その原因は中国経済の悪化だ。中共政府は今も中国は経済成長していると発表しているが、世界のいかなるエコノミストも既に信用していない。なぜなら中国の貿易統計で輸出が7%も減少し、輸入が18%も減少していてGDPが6%台も成長していると発表しているからだ。
 国内の個人消費が飛躍的に増大しているという兆候は皆無だし、不動産にせよ企業にせよ投資が拡大しているといは見えないからだ。GDPを構成する国内消費や投資、さらには貿易のすべてがマイナスでしかないのに、それらの総計でしかないGDPが成長することはあり得ない。

 中共政府の発表する統計はすべて信用ならない。彼らはそうした統計数字までも歴史と同様に勝手に改竄して良いと思っている。世界は中共政府、いや習近平氏を中心に回っていなければならないため、統計数字も歴史も何もかも習近平氏の都合の良いように書き換えれば良いと考えている。しかし実体経済や現実世界はそうはいかない。
 自国で開催するG20を習近平氏の権威高揚の場にしたいようだが、実際はそうはいかない、としたら習近平氏が慌てるのも頷ける。そこで谷内氏が事前に中国を訪れて「首脳会談」という舞台のお膳立てをしているのだろうが、その舞台はかつてヒトラーの欲望を呑んだチェンバレンの愚行を世界に曝すモノにしてはならない。一時的な「宥和策」は世界を第二次世界大戦へと導く導火線の役割を果たしただけだった、ということを思い出すべきだ。

 世界は中国の前にひれ伏すべきだ、という馬鹿げた「中華思想」の現代復刻版を実演している習近平氏に「あなたの猿芝居に我らは迷惑している」と明確にメッセージを送る絶好の機会だ。日本政府は腹を据えてG20開催に対処すべきだ。かつての融和策はヒトラーをつけ上がらせただけだったということを忘れてはならない。安倍氏は現代のチェンバレンを演じてはならない。


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