エコノミストの無定見なグローバリズムに反対する。

<世界の人口をざっくり比較すると、中国13億人、インド12億人、ユーロ圏4億人、米国3億人です。日本は1.2億人に過ぎず、しかも少子化で、この先は1億人程度と予想されます。世界的に見て規模の差は歴然としています。商取引を考えた場合、より大きな市場が有利なのは言うまでもありません。世界の人口が70億~80億人だとしたら、日本の1億人は1%ちょっとです。果たして独立独歩でやっていけるのか。日本語を話す人も世界の1%強ということになります。高等教育の現場では英語を採用したほうが、日本人の活躍の場が広がるのではないか。経済の先行きに目を転じれば通貨は円のままで大丈夫か。英離脱ショックは、そうした問題を日本に突き付けていると思います>(以上「日刊ゲンダイ掲載のエコノミスト櫨浩一氏インタビュー」より引用)

 エコノミスト櫨浩一氏は英国のEU離脱は五分五分だという。英国で再び国民投票が実施されて、今度は残留派が勝つ可能性がある、というのだ。
 私はそうは思わない。英国は住民投票の再投票を実施しないだろうし、新しく就任した首相はEUとタフネゴシエートを演じて英国をそれほど不利な状況に追い込まないだろう。

 EUもドイツの一人勝ちに対して懐疑的になっている。移民問題にしても富裕国と貧困国との間にアンバランスが生じている。それに対してドイツ国民は野放図な受け入れに拒否反応を示し始めた。
 移民問題は欧州諸国それぞれで大きな政治問題になっている。社会保障優等生のスウェーデンですら移民受け入れにより社会治安不安が拡大し、実際に殺人事件は単位人口当たりで日本の六倍に達している。

 エコノミスト櫨浩一氏は極論として「日本語」や「円」を日本の発展のためになくすべき、と述べているが飛んでもないことだ。アイデンティティーを喪失した経済・文化大国など世界に存在していなかったし、今後も存在しないだろう。
 欧州諸国がEUで連携を強めているが、それでも参加各国の言語の統一や貨幣のユーロへの統合を強制していない。それらは各国と各国民のアイデンティティーに関する主要マターだからだ。言語や通貨を失うことは植民地政策以外の何物でもない。

 終戦直後にも櫨浩一氏のような主張をした似非文化人は沢山いた。英語を公用語にしてはどうかとか、表記文字をローマ字だけにしてはどうかといった主張をする人たちが出現した。
 言語文化の多様性を受け入れない世界は発展が阻害されるだろうし、日本語は学術論文が表記できる単独言語として世界で数少ない言語だということに日本国民は誇りを持つべきだ。「雨」を表現する日本語の多様性は世界に冠たるものだ。「痛み」を表現する日本語の多様性も医療上目を見張るべきものだ。そうした繊細にして的確な感性と表現文化を持つ日本語を無味乾燥な音声言語の英語に置換することは不可能だし、そうすべきではない。

 むしろ商用英語などは自動翻訳機で翻訳すべき範疇のものだ。御大層に英語教育が国際人を育てる、などといった英会話学校の誇大広告のような文言を吹聴しない方が良い。
 未来も日本は世界の中で生きていくのは確かなことだが、だから日本語をなくして英語を公用語にして「円」をなくして国際化すべ゜きだ、というのは暴論だ。マスで捉える経済がすべてではない。日本のGDPに占める対外貿易は十数パーセントで、かならずしも国際化しなければ日本国民が生きていけないことではない。キラリと光る国・日本であり続ける方が日本国民にとって幸福かもしれない、という観点を持つ必要がある。

 エコノミスト櫨浩一氏のインタビュー記事に私は与しない。


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