「アウガ」の損失に、行政責任も厳しく問われなければならない。

<青森市の再開発ビル「アウガ」を運営する第三セクター・青森駅前再開発ビルの代表取締役社長を務める佐々木淳一副市長(61)は22日午前、鹿内博市長から辞令を受け取り副市長を正式に辞職した。取材に対し佐々木氏は「(三セクが2015年度決算で)多大な債務超過、赤字になった責任を取る」と辞職理由を説明。アウガ対応を巡って市長に「苦言を呈したこともある」とも明かした。
 佐々木氏は19日、鹿内市長に辞職届を提出。22日は鹿内市長が市長室で、佐々木氏の辞職を同日付で認める辞令を交付した。
 三セク社長職についても、三セク側に22日付の辞職届を提出した佐々木氏は「副市長として三セクに送り込まれたため、(副市長、三セク社長の)両職について責任を取る。(三セクの)多大な債務超過、これまでに例のない赤字の責任を取る」と話した。
 アウガ対応を巡り、鹿内市長との考えに隔たりがあったか-との質問には「三セクを整理する方向は決まっているが、副市長としての立場、会社の立場で温度差があって苦労した。市長に苦言を呈したこともある」と語った>(以上「WEB東奥」より引用)

 青森駅前再開発の中核施設として「アウガ」は造られたようだ。
��2001年1月開業。青森市が、殺風景だった駅前の整備や空洞化した「新町商店街」に賑わいを取り戻すために、再開発の一環として建築した。地下1階が「アウガ・新鮮市場」、1階から4階までが商業施設、5階から6階が「青森市男女共同参画プラザ・カダール」、6階から9階が「青森市民図書館」(9階は書庫)となっている。

商業フロアには地下の「新鮮市場」、有名ファッションブランド、100円ショップなどが出店している。また、そのユニークな外観から青森駅前のランドマークにもなっている。正面はニワトリをイメージしている。

青森市の「コンパクトシティ」構想のモデルであり、2007年には路面電車を活用している富山市とともに全国で初めて改正中心市街地活性化法の認定を受けるなど、コンパクトシティの象徴として位置づけられ、全国から自治体や商店街関係者の視察が相次いだ[1]。しかし、一時は中心市街地への来客数を増加させ、再開発の成功例とみられたものの、2015年度決算において大幅な債務超過となり事実上の経営破たん状態に陥ったことが判明しており、経営の問題が深刻化している>(以上<>内「ウィキペディア」より引用)

 大抵こうした問題は何処も「商工会議所」が発端となって安易な計画が作られ、それに行政が引っ張られて乗せられていくというのが大方の経過を辿るものが多い。アウガも<1977年、青森商工会議所が青森地域商業近代化実施計画を策定したことから始まる。1980年代後半にはダックシティ(現・さくら野百貨店)、その後西武百貨店(現・そごう・西武)が、資本参加していた松木屋の老朽化にともなう移転改装も兼ねてキーテナントとして開業する予定だったが[2][3]、ダックシティの親会社であるマイカル(現・イオンリテール)は出店断念、西武百貨店は出店を辞退した>(以上<>内「ウィキペディア」より引用)という経過があったようだ。

 この場合、事業計画に行政が参加することを提案した市長や第三セクに青森市が参加するのを決議した市議会の責任はどうなっているのだろうか。アウガの社長に就任していた副市長が辞職して責任を取るのは当たり前だが、市に多大な財政赤字をもたらす結果となった行政責任を誰かが取るのも当然ではないだろうか。
 むしろ副市長は「あて職」として第三セクの社長に就任したものではないだろうか。執行部提案として「アウガ」に資本参加することを議会に提案したのは市長だし、それを議決したのは市議会だ。彼らは「選挙」で洗礼を受ける身のため、商工会議所などの強い圧力に抗しがたい、という立場は理解できるが、市として市民全体のために働くという立場からすれば「商業者」の圧力団体に屈した市長や市議会議員の責任も問われるべきだ。

 こうした問題は青森市だけの問題ではない。かつては郵政公社がグリーンピアといったレジャー施設を全国展開して莫大な損失を公社に与えたが、その責任問題もウヤムヤになっている。かつて華々しく雨後の筍のように駅ビルとしてできた全国の第三セクも殆どは失敗に帰している。
 それは当然のことで、商業的に収益が上がるというのなら博多駅ビルなどのように営利目的の鉄道会社が直接乗り出す。しかし企業収益が見込めない事業について企業が直接投資に乗り出さないから商工会議所などが「中心市街地の活性化」などと尤もらしい名目を付けて市長や議会に働きかける。

 最初から事業収益の見込めない「事業」に市が乗り出すのが間違いだ。青森駅前がかつての活況を喪失したのは当然のことで、青函トンネルの完成により青森は「終着駅」から「通過駅」に変わった。それにより人の流れが一変するのは常識のある者なら誰にだって予測できることだ。
 しかも先日「新幹線」までも北海道へつながり、益々青森は「通過駅」へと転落した。それでなくても全国の駅前商店街は「シャッター通り」と化している。交通の手段が鉄道から車へと変化して時代の流れとして当然の帰結だ。

 時代と共に町の中心地は移動する。かつては本陣などがある「宿場町」や寺社仏閣などの門前が町の中心地だった。そこに鉄路が開通して駅前が中心地となった。そして今はインターチェンジなどの道路網の結節点の近くなどが中心地となって発展している。
 百貨店などの道路販売施設などは米国ではすでに時代遅れになっている。米国ではネット販売と施設販売との売り上げが逆転したというから、今後はモールも時代遅れになって行くだろう。こうした時代の流れを押し止めるような圧力団体の意向に「ノー」と明確に言えない市や議会は税の無駄遣いをして責任を一切取らないという悪弊がこれまで続いてきた。

 しかし市民感覚でいえば、そうした駅ビル建設は立てる当初から「出来ても花火のようなもので、賑わうのは最初のうちだけだ」というのは殆どの人が抱いている。しかし声に出して「反対」といわないのは直接自分が損をするのではない、と勘違いしているからだ。
 アウガに投じた資本金とその後の事業損失補填などを累計すれば、そうした事業に乗り出さなければ随分と市民の福祉が実現できたはずだ。市が当然行うべき「事業」範囲としてある使命をキッチリと果たして、商工業者などの甘言に乗って「事業」に乗り出してはならない。
 しかし何らかの「利権」が働いてそうした「事業」に参加表明した議員がいたとすれはせ由々しき問題だ。市長の目が市民から限定された駅前商業者へ向いたり、議員が特定の団体の意見を代表する形で賛否を表明したりした場合には当然責任を問われてしかるべきだ。公職者は選挙で洗礼を受けるから、それで充分だ、というので済ませてはならない。市民は「住民訴訟」を提訴してでも彼らの責任を問うべきだ。そうしなければ安易な計画の事業化により市民が多大な損失を蒙る愚行が繰り返されることになる。

 青森のアウガ責任は副市長一人に負わせて市長や議員諸氏は素知らぬ顔をして済ますつもりなのだろうか。そして、市民はそれで良しとするのだろうか。青森市の民度が問われている。


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