安倍自公政権の終わりの始まり。

<政府内には「衆参両院で与党が圧倒多数を占め、安定政権となったのだから、社会保障の思い切った改革に踏み出してほしい」(経済官庁の局長)という声がある。具体的には、医療費の個人負担を増額することや、厚生年金の対象を非正規労働者にまで拡大することなどだ。

だが、これには強い抵抗が予想される。現在、原則として70-74歳が2割、75歳以上が1割となっている医療費の個人負担を70歳未満と同じように3割に改めるような改革に踏み込めば、高齢者の猛烈な反発が必至。医師団体の抵抗も避けられない。厚生年金の対象拡大には、会社側の負担が増える中小企業の反対が強まるだろう。

医師団体や中小企業は、自民党の選挙を支える勢力でもあり、安倍首相としては「改革は進めなければならないが、自民党支持団体の反発は避けたい」というジレンマに直面しているのである。
 安倍首相は自民党の総裁任期切れを見据えて、次の衆院解散・総選挙のタイミングを探している。総選挙でふたたび勝利して、総裁任期の延長につなげたいという思惑が首相周辺から聞こえてくる。ただ、前回総選挙(2014年12月)で自民党は大勝しており、大幅な議席増は考えにくい。まして、野党側で民進、共産両党の選挙協力が進めば、選挙情勢は自民党にとって有利とはいえなくなる。

そうした厳しい総選挙になることを考えれば、支持団体の嫌がるような改革には動きにくい。反面、改革を進めなければ、日本経済への評価が下がり、株価は低迷する。日本経済の再生も遠のくという難点がある。

参院選を勝利で飾り、念願だった参院での自民党単独過半数、改憲勢力3分の2を確保したのも、つかの間、安倍首相には経済再生の実行という重い課題がのしかかっている。政権の先行きには、いばらの道が待っている>(以上「東洋経済on line」より引用)

 実効性のないアベノミクスを持ち上げてきた御用評論家たちも安倍自公政権のひどさに引き始めたようだ。つい先日まで「アベノミクスを前進させる」と叫んでいた安倍氏だが、実効性のない経済政策では吹かしたところで何にもならない。
 実際に出てきた政策は10兆円規模の補正予算を組んで公共事業を実施し、保育士などの給与を年間6万円引き上げる、といった体たらくだ。依然として生活保護費以下の国民年金は放置したままで、終活に向かって先行きが見通せない老人たちの「貯め込み」が消費へ向かうことはない。

 経済の病理が適切に把握されていなければ、いかに治療薬を投じようと症状は改善されない、というのは当たり前のことだ。日本経済の病理は「需要不足」だというのは明らかだ。だから不足した需要を財政出動で補うしかない。
 しかし結局は消化不良で「基金」という官僚たちの別荘を作る結果にしかならない公共事業支出に「エンジンを吹かす」というのは自民党の古典的な「景気対策」でしかない。かつて公共投資効果が2以上もあった当時と比較して、現在は1.1程度しかない。もはや新しい道を作ってもその沿線が劇的に変化して経済が活性化する、という時代は過ぎ去っている。

 なぜ保育士や介護士を「淳・公務員」として採用しないのだろうか。それぞれの保育園や介護施設経営者が採用し、給与を決めている限り保育士や介護士の給与は改善されない。年間保育士の給与を6万円引き上げる、という安倍氏の保育士をバカにしたような改善策ですら、保育士の給与が果たして改善されるか疑わしい。
 そして幼稚園の定員割れと保育園の待機児童がいる状態を見れば、幼保一元化すれば簡単に待機児童が解消されるのはわかる話だ。なぜ政府は文科省と厚労省の縄張り争いを放置しているのだろうか。それこそ幼保一元化すれば待機児童解消の定員確保問題は解決する。あとは働く保育士を確保すれば良いだけで、そのためには給与を経営者任せではなく、経営者が採用した保育士の給与を国が管理すれば良い話だ。

 さらに、三つある年金も一元化して共済と厚生と国民の格差をなくせば生活保護費以下の国民年金は解消されるはずだ。現行の国民年金は二階建ての一階部分だ、という説明自体がおかしい。そうした説明を国民年金加入時に国は国民に説明しているだろうか。
 社会保障としての年金なら、一律支給が大原則だ。各種年金の名称を冠して支給金額算定や金額に格差を設けているのが間違いだ。国家が管理している社会保障としての年金なら、支給は一律であるべきだ。なぜそうした当たり前の議論が一切出てこないのか、御用評論家たちの意識の低さには慨嘆するしかない。

 10兆円規模の補正を組むのなら上記で羅列した案件はすべて実施できる。そうした所得補償を政府は行って、国民の間にある不公平感や閉塞感を取っ払うことが必要だ。
 国民も働く職種によって老齢化した折に頂戴する年金が数倍もの格差がある、ということにより産業間バランスに縛られることなく、社会モビリティが向上して、必要なところに労働力が移動することになる。

 地方の農地がいかに「耕作放棄地」として荒れ果てているか。農業に若者が魅力を感じないのも国民年金という生活保護費以下の年金しかないという厳しい現実が足枷となっている。
 漁業従事者の世代交代もうまくいっていない。そうした一次産業への若年労働者の参入を政府はどのように考えているのだろうか。場当たり的なメニューを示すものの、抜本的な「国民年金」加入という将来不安解消をしないで産業労働人口偏重の是正は推進できない。

 アベノミクスという実効性のない「日銀の金融緩和策」だけの無策政治を一日も早く終結し、グローバリズムの奴隷と化した「構造改革」路線の終焉を宣言する政権を作らなければ、日本経済はますます底が抜けてデフレ化するだろう。
 TPPなどに代表されるグローバル化が勤労所得を1%に付け替えるだけだということが徐々に多くの国民にも解って来ただろう。御用評論家たちが持ち上げてきた「構造改革」は結局国民の多くを貧困化しただけだ。そして企業利益は最大化した。政治とは格差是正と国民生活向上のために存在している。「国民の生活が第一」の政治を実施するのが政府の本来の仕事だ。政治家たちは「ストップ ジ アベ」を掲げて、「国民の生活が第一」の政治を取り戻そうではないか。いや、既に安倍自公政権の終わりは始まっている。


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