企業は国内回帰し労働生産性の向上に投資せよ。

<パナソニックの代表取締役専務である河井英明氏は、「第1四半期の売上高は、為替変動の影響が大きく減収となった。だが、為替影響を除く実質ベースでは、国内やアジアにおける白物家電の販売好調や、米国の業務用冷蔵庫メーカーハスマンの連結子会社化などにより、前年同期比1%増となり、2014年度第1四半期以来、8四半期ぶりの増収。営業利益は、将来成長へ向けた先行投資を実施し、固定費が増加したため減益になった」とした。実質ベースでの増収とともに、意思を込めた減益であることを強調してみせた。

 営業利益では、ハスマンの新規連結による利益増が24億円。材料合理化や価格低下などで110億円の増益。だが、液晶パネルやICT向けデバイスなどの売上減で60億円減、急激な円高進行に伴う減益が70億円。「為替の影響や売上減は、材料合理化などの取り組みでおおむねカバーした」という。熊本地震の第1四半期業績への影響は、売上高でマイナス100億円、営業利益でマイナス30億円。とくにAVCネットワークスおよびオートモーティブ&インダストリアルシステムズの業績に影響したという。

 第1四半期の固定費は101億円となったが、「その増加のうち、大部分が先行投資によるものであり、当初計画通り、住宅、車載、BtoB関連事業において、人員増強や先行開発などを実施した」と述べた。

 なお、社内管理は第1四半期からIFRSベースとしており、今回は非監査としながらも、IFRSベースでの数値を公表。米国会計基準の営業利益に近い項目である調整後営業利益は、49億円減の768億円。IFRSベースの営業利益は56億円減の718億円となった。
 セグメント別業績は、IFRSベースで説明した。アプライアンスの売上高は前年比2%増の6720億円、セグメント営業利益は189億円増の423億円となった。為替影響を除く、実質的な業績は7%増になった>(以上「日経新聞」より引用)

 企業は国内投資に回帰すべきだ、と繰り返しこのブログに書いてきた。経営者は短期的利益を最大化するのに囚われるのではなく、企業の長期的戦略としての成長戦略を忘れてはならない。
 成長するためには企業技術の蓄積と研磨は欠かせない。それは形としてあるものよりも労働者に受け継がれるものの方がはるかに大きい。生産技術や開発力は企業は労働者に蓄えられている、という事実を忘れてはならない。

 世界に冠たる日本企業は「家族経営」的な側面があったはずだ。終身雇用制度により技術が受け継がれさらに磨かれていた。しかし生産現場が派遣労働にとって代られると短期的な利益は最大化できても、技術や開発力は途切れてしまう。つまり長期的な損失は計り知れない。
 日本の労働賃金で安価な地域の労働力により生産している同業他社に勝てない、という理屈で海外展開するのは安直に過ぎる。労働賃金の高い日本国内で生産し、なおかつ競争力を持つには製品当たり労働単価を引き下げれば良いわけだから、生産性を上げれば良いだけだ。

 そうした戦略を可能にするのは派遣労働ではなく、正社員による安定的な雇用関係で初めて可能になる。ンつての日本企業はそうだった。カイゼン提案が出るには、正社員雇用であるのが前提だ。忠誠心のない、企業利益に責任を持つ立場でない派遣労働者がカイゼン提案をするだろうか。
 企業は派遣労働者に傾斜することで利益を拡大したと思うのはあくまでも短期的な視点に過ぎない。その代償として企業が持っていた技術開発力やカイゼン能力が喪失していることを忘れてはならない。

 日本企業であるなら国内投資を積極的に行って、日本の青年を正社員として雇用すべきだ。せっかく真面目で向上心に富む日本の青年が周囲にいるのに、それを無視して海外に移転させるとは大きな損失だ。
 海外移転して短期的な企業利益の最大化を実現した日本企業がかつての繁栄が嘘のように凋落している。その大きな原因は企業内における「未来への投資」つまり「国内労働者雇用」を破壊したからだ。日本企業なら国内回帰を目指し、国内投資に全力を挙げるべきだ。そしてマトモな政府ならUターン投資減税を行って、日本企業の「未来への投資」を後押しすべきだ。


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