安倍氏の身勝手な論理と争点隠しは国民が許さない。

<脳出血で半身マヒになった母(80)は最も重度な要介護5。4年待った末、東京23区内の特別養護老人ホームで2年前から暮らす。
 その特養からの請求額が昨夏以降、はね上がった。食費や部屋代に介護保険の自己負担分なども含め、月約8万円から約17万円に倍増。両親の年金は月約28万円だが、実家の借地料は月8万円近く、一人暮らしをする父(75)の医療費や社会保険料の負担も重い。男性は毎月4万円の仕送りを始めたが、なお足りない。

 負担が増えたのは、介護保険制度の改正で昨年8月から施設の食費・居住費の補助(補足給付)を受けられる条件が厳しくなったため。母は特養の住所で住民票登録をしており、実家の父と「世帯分離」をしている。これまで非課税世帯とみなされた母は補助を受けられていたが、制度改正によって世帯が別でも配偶者が住民税の課税世帯なら補助の対象外になった。

 自治体の生活相談窓口では、担当職員から「国にはもう財源がない。生活プランを見直して欲しい」と言われ、在宅介護も勧められた。男性は住宅ローンや教育費を抱え、仕送りはギリギリ。両親を離婚させて再び補足給付を受けるしか手段がないと思い悩み、弁護士とも相談している。
 「いくら財政が厳しいと言っても、利用料がいきなり倍なんて尋常じゃない」
 住民税が非課税の世帯も一定の預貯金があれば、補足給付を受けられなくなった。厚生労働省によると、昨年8月末の補足給付の認定数は約90万件で、前月末の約120万件から一気に減った。制度改正の影響が大きいとみられる>(以上「朝日新聞」より引用)

 朝日新聞で例に上げられている年金所帯は月額28万円の所得を得ている。国民年金では満額でも夫婦で月額13万円でしかない。崩れゆく「中流」というのが記事の副題だが、国民年金所帯は話にならないほど貧困の「下流」ということなのだろうか。
 社会保障は「一律支給」というのが大原則だが、そのうち月額28万円という恵まれた高額年金受給者ですら利用できない「特養」施設とは一体どの国民のための政治なんだろうか。安倍自公政権が行っている政治は国民総貧困化政治ではないだろうか。

 安倍氏は口を開けば「国民所得は民主党時代に50兆円喪失したが、アベノミクスで40兆円取り戻した」と、いかにも経済回復が安倍自公政権の手柄のように誇示しているが、それは国際的な金融不況をもたらした2008年のリーマンショックとそれから世界経済が立ち直り回復してきた一環に過ぎない。
 民主党政権が何か大きな失政を行って日本の経済が失速したわけではない。むしろリーマンショックから世界各国の経済が回復しているのに対して、安倍自公政権の三年半の間に8割しか回復していない方が問題だ。

 安倍自公政権はリーマンショックから回復しつつあった日本の個人消費に水を差す消費税8%増税を実施して8兆円規模の需要不足を作り出し、再び日本経済をデフレへと誘導した。その失政がどれほど大きな影響を与えているかを安倍自公政権は認識すべきだ。
 税と社会保障の一体改革という掛け声はいつの間にか消えて、個人所得に対して増税しただけで社会保障の改革は改革と称する手抜きを実施しただけだ。その結果が朝日新聞の記事にある「中流」の貧困化だ。しかし政治が問題とすべきは「貧困の解消」ではないだろうか。

 国民年金受給者は個人事業者や自営業者だから退職制度はないし、年を取っても所得がある、というのが低年金の言い訳だ。しかし派遣労働者がいつまでも仕事にありつけるものではないし、死ぬまで働けるものではない。老後に不安がある状態で誰が自分の人生に前向きで明るい人生設計ができるだろうか。
 年金の受給額に三倍以上も格差のある年金制度を放置したまま、「社会保障の財源」のために消費税増税」といわれても国民年金加入者にはピンとこない。それどころか、満額受給でも生活保護費以下の月額6万5千円でしかないのなら年金掛け金を支払っても仕方ない。それより老後は生活保護費で生活する方が良い、と若者たちが考えるのは当たり前ではないだろうか。

 恵まれた年金生活者ですら要介護に陥った配偶者を「特養」に入所させることができない、というのは「中流」の貧困化ではなく、特養入所希望者(待機老人)を表面上の数字で解消する手段ではないだろうか。待機児童が問題になっているのと同様に、待機老人を減らすには施設の増設以外には待機老人、つまり特養への入所希望者を減少させれば数字の上では解消したことになる。
 安倍自公政権がやっている政治とはこうした官僚たちの悪知恵に基づく小手先政治に過ぎない。そして今回の参議院選挙で憲法改正を争点から外して、憲法改正は国民投票で決めるものだから参議院選挙の争点にはならない、という屁理屈を安倍氏は垂れて恥じない。

 何度も言うが、解釈改憲により「戦争法」を成立させた是非を問うのが今回の参議院選挙だ。そして基本的に日本国民は健忘症だから忘れたかもしれないが、消費税8%増税は「税と社会保障の一体改革」が増税するお題目だった。そうしたことは一切論争の俎板に上げないで、アベノミクスを更に前進させる、という。経済政策らしき政策は何も実施していないアベノミクスの何をギアを入れて前進させるというのだろうか。安倍氏の口先政治には、もうウンザリだ。


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