改革には痛みが伴うが、中国民はその痛みを甘受するだろうか。

<中国の習近平国家主席は、供給側の改革を進め中間所得層を拡大する意向を示した。新華社が16日、政府経済当局者との会合での発言を伝えた。

 習主席は、最重要課題は非効率な供給を減らし、効果的な供給を増やすことだと述べた。
 一部地域では、政府政策に関する強力な行動が見られないとしたほか、政策に関する一段の分析や策定が求められるとした。
 国家や社会が長期的に安定するには、政府は国民のニーズを満たし、中間層を拡大する目標を実現する必要があると述べた。

 中国は、国有企業改革を進め政府機能の改善を加速し、価格設定や財政、社会保険などの抜本改革を深化させるべきとした。さらに所得配分制度の改善や財産保護の強化も必要とした>(以上「ロイター」より引用)

 中国内に溢れる粗悪な鋼材やセメント、石炭やいろんな商品。中国は供給過剰に陥り、海外市場へ奔流のように粗悪な商品を垂れ流している。日本にも中国製の強度や粘度などの規格を満たさない鉄骨材が大量に輸入され、それが骨材として組み込まれたビルなどで耐震などの強度不足が散見されて、問題となっている。
 しかも根本的な問題として廉価な中国製品が日本に流れ込むことにより、新日鉄などの日本の基幹企業に悪影響が出ていることは無視できない。やっと中共政府が重い腰を上げて「供給過剰」の是正に取り組む姿勢を示したが、実行は困難を極めるだろう。

 国有企業がほとんどの大企業は日本の企業とは形態が大きく異なる。国有企業のほとんどは従業員のみならず退職者までの社会保障までも抱え込み、構造的にレイオフや操業停止ができない仕組みになっている。なぜなら国有企業が負うべきコストは極めて固定的で生産縮小とは関係なく企業の負担となっているからだ。
 さらに国有企業の労働者をレイオフや解雇することも極めて困難だ。社会主義国では完全雇用が大原則となっている。その大原則が崩れて失業者が街にあふれた場合、社会不安が一気に高まることになる。

 実はその社会不安が高まっている、というのだ。中国で農村部から都会に出てきた農民工に都会の戸籍を与えようとする動きが出ている。それにより下級市民として差別されていた農民工を都市民に組み入れることにより社会不安化するのを防ごうという目論見だったが、賃金不払いなどに対する万を超える規模の労働者による暴動が中国各地の都市部で頻発しているという。
 労働人口8億人の二割が失業すると1億6千万人もの失業者が路頭にあふれることになる。日本の全人口以上の数だ。そのほとんどを農民工が占めることになるが、彼らは失業しても帰って行く田舎は彼らを受け容れることは出来なくなっている。田舎も急速な近代化と都市化により田園から地方工業都市へと変貌している。その田舎も大不況に見舞われている。

 中国経済が快調な時に中共政府は中流層の育成に努めるべきだった。社会保障を国家としての事業として国営企業の国際化を行って民営化を強力に推進すべきだった。しかしすべては後の祭りだ。
 中国社会の格差は日本国民の想像を絶する過酷なものになっている。失業者は街にあふれ、さらに習金平氏が構造改革を実行すべき余力はない。国営企業の経営者に収まっている各地の人民解放軍幹部たちも、自分たちの粛清を黙って受け入れ続けるとは思えない。中共政府の手の中に政策のカードは何も残されていない。既にすべてが遅きに失したのだ。

 社会主義国に資本主義を受け容れる、という木に竹を接ぐ制度矛盾を解消しなければ中国経済が立ち直ることは出来ない。そのための痛みを中国民は甘受し、中共政府に餓死してでも協力するだろうか。その答えはあまりにも明快だ。


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