学校の耐震化と復旧を急げ。

<熊本地震で学校が休校し、授業を受けられなくなった熊本県内の小中高校などの児童生徒が、22日現在で404校の約15万人に上ることが県教委などへの取材で分かった。県内の児童生徒約20万人の約75%に当たる。壁や天井など耐震化が不十分な部材を中心に被害が出た学校が少なくとも351校あり、避難所として使われている学校も多い。24日で地震発生から10日となるが、被害の大きかった自治体では授業再開のめども立っておらず、子供たちへの影響も懸念される。

 県教委や熊本市教委などによると、22日段階で休校している学校は、国公立が小学校224校▽中学校102校▽高校38校▽特別支援学校13校、私立が中学・高校27校。国公私合わせ県内655校の約6割に当たる。昨年度の児童生徒数などから推計すると、公立の小学生約7万4000人▽中学生約3万6000人▽高校生約2万3000人▽特別支援学校生約1300人--と私立の約1万7000人に影響している。

 文部科学省や県教委によると、県内の公立小中学校は98.5%で柱やはりなどの構造部材を補強する耐震化を完了しており、倒壊などの大規模な被害はなかった。ただ、耐震化の期限が定められていない、壁の崩落防止や棚の固定など構造部分以外の耐震対策を終えたのは60.1%にとどまり、公立の小中学校293校▽高校43校▽特別支援学校15校--で壁や天井、校舎接合部の破損などが相次いだという。

 このうち熊本市では、小中学校137校が被災。24校で体育館の壁や筋交いなどが破損し、地震後に避難してきた住民を校舎に移した。嘉島(かしま)町や宇城(うき)市などでも体育館の屋根や壁などが破損し、避難所に使用できなくなっている。

 被害は軽微でも、多数の避難者が寝泊まりしているため、授業を再開できない学校も多い。市内の小中学校すべてが休校している熊本市は22日の授業再開を目指していたが、「学校が避難所となっており、余震も続いている」(市教委)として、一部を除き来月10日ごろまで延期した。多数の犠牲者が出た益城(ましき)町教委も「4月末までは休校し、5月以降は状況を見て決める」とし、来月9日ごろの再開を目指す西原村教委は「小さな村で避難者を移せる施設も少ない。来月初めの避難状況を見て、最終的な再開時期を判断したい」と述べた。

 文科省の担当者は「壁や照明の落下、本棚の転倒などの対策はまだ進んでいるとは言い難い。今回は夜間の地震だったが、平日昼間なら子供の命にも関わりかねない。被災した学校の安全確保を進め早期の再開を目指すと同時に、非構造部材の耐震対策もさらに進めたい」と話している>(以上「毎日新聞」より引用)

 毎年のように日本ほど自然災害に見舞われている「災害列島」も珍しい。しかし災害列島にも拘らず、国や地方自治体が独自の「避難場所」を整備しているとも思えない。
 災害に見舞われたら学校や体育館へ地域住民は避難するしかなく、そこでプライバシーのない集団生活を強いられ、心身ともに疲弊しきってしまうのが被災者たちの通例だ。

 何度も見てきたニュースフィルムを巻き戻して観ているような錯覚に陥る。なぜ国なり都道府県なりに大型の空気で膨らませるドームを保持していないのだろうか。
 大して高額なものでもなく、持ち運びも簡単で、設置するにも広場があればどこでも移動できる。利水の便のある広場なら河川に面した公園でも良い。そしてプライバシーを保持するのなら一家ごとにテントを貸し出しても良いだろう。

 エコノミー症候群を防ぐにはエアーマットを整備しておくのも有効だ。エアーマットなら断熱効果もあり、土地や床から伝わる寒気に震えることもなくなる。
 そうした緊急援助資材を国の何ヶ所かで保有して、災害発生時に大型ヘリで運搬すれば簡単に設置できるだろう。中・高校の夏休みの数日を「屋外生活体験学習」としてテント生活を体験させ、災害に怯まない日本国民を育てることも必要だ。そして屋外辣活を楽しむ心を涵養しておくことも必要ではないだろうか。

 熊本県下の多くの学校も地震被害を受けているようだが、県下全域で休校しているのはいただけない。毎日新聞の記事にもあるが、二度あった大きな地震がいずれも夜間だったから児童・生徒が学校で被害を受けることはなかったが、それが平日の昼間だったらと考えると恐ろしくなる。
 学校が地域で最も安全な施設でなければならない。そうした観点から全国の教育委員会は熊本の学校の例を糧として、自分たちの地域の学校の安全点検を実施すべきだ。

 災害時の指令施設になるはずの市役所などが被害を受けて役に立たなかった例も見られる。堅牢な建物よりも、流行のガラスを多用したデザインビルと紛うような庁舎建設が盛んだが、そうした風潮で良いのだろうか。
 土地価格の安い地方でも五階以上の庁舎を建てて「威容を誇る」というガキの発想があるのは嘆かわしい限りだ。土地単価が坪当たり数十万円台のところに、建築コストが坪当たり百万円もかけて庁舎ビルを建てることに何の意味があるのだろうか。土地を買い足して平屋を建てるべきを、わざわざ震災に弱い庁舎を建設するのは住民無視というべきではないだろうか。

 政治家も地方議員もガラス張りのデザイナーズ・ビルなどの庁舎や施設建設と流行にばかり目を向けている昨今、行政全般のマネジメントの専門家を育成する方が先決かもしれない。堅牢にして機能的な施設とはいかなるものか、を視点の中心に据えて行政施設は建設すべきだ。夏暑く冬寒いガラス張りのビルにどれほどの意味があるのだろうか。住民も自分たちの町の行政施設を再点検してみるべきだ。


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