豪華な公的施設は不要だ。

<庁舎の新築移転か、増改築かを問う南アルプス市の住民投票が20日行われ、開票の結果、増改築への賛成票が新築移転を上回った。  
 「増改築に賛成」は15,699票、「新築移転に賛成」が12,299票で去年4月の市長選に続いて、市民は増改築を選んだ格好。注目を集めていた投票率は市長選を10・71ポイント下回る49・92%に留まった。
 住民投票の結果を受け金丸一元市長は、庁舎を増改築する計画を進める考えを改めて示した>(以上『日テレニュース』より引用)

 全国で吹き荒れた平成の大合併を契機に、合併特例債を利用した庁舎の建替えが一巡したようだが、いずれも豪華なガラス張りを多用した施設なのに驚くばかりだ。しかも建設価格が異様に高い。坪単価を計算してみると100万円を超えるのは普通で、中には建設坪単価が150万円を超えるものまである。
 南アルプス市で新庁舎を「建替え」か「増改築」かで住民投票が実施され、改築派が多数を占めたというのは朗報だ。なによりも新庁舎建て替えを計画を住民投票で是非を問うた、という直接民主主義が実施されたのは慶賀の至りだ。

 昨今、政府や地方自治体は住民投票を否定する傾向があった。住民の意見を「選挙」で問うたから、個別的な事案を住民投票で是非を問う必要はない、という政治姿勢だ。つい最近、周南市で駅ビルツタヤ図書館建設の是非を問う「住民投票」の直接請求が市議会で否決された。市長が提案し議会が承認した建設案を住民投票にかける必要はない、という議会の意思だそうだ。
 周南市長も一年前の市長選挙で当選して、市長として信任されたばかりだから住民投票で「駅ビルツタヤ図書館」で市民の是非を問う必要はない、とのコメントを述べていた。

 その周南市では新庁舎を建替えることにして、110億円もの巨費を「合併特例債」を利用して調達するという。7割が特例債による国の負担だから、周南市は33億円ほどの負担でしかないから財政的には大丈夫だ、と市長は説明しているようだ。
 合併特例債として国が負担する7割は天から降ってくるカネではない。いずれも税金だ。地方自治体が補助金を乱費すれば国家財政が立ち行かなくなるのは自明の理だ。市長の「合併特例債の7割負担制度」を利用するのだから、坪単価150万円を超える豪勢なガラス張りの新市庁舎に建替えても良いのだ、と提案した市長と、それを議決した周南市議会はどうかしている。そして周南市民も「豪勢な新市庁舎」が誇らしい、というのならなぜこうも程度の低い市長や市議会議員が選ばれたのか、その理由が理解できる。

 公的施設は豪華である必要はない。安価にして堅牢で、使い易いものであれば良い。維持管理費も安くついて、増改築が容易な構造であればなお良い。建築後30年から40年程度で取り壊すコンクリート建築とは一体なんだろうか。
 その費用を市長や市議会議員が出すのなら、そうした選択は決してしないだろう。すべて自分のポケットではない、税金だから個人的に問題ない、と市長も市議会議員も、そして市民までもそう考えているとしたら亡国の民だ。公的施設には費用対効果を厳しく問う「投下資本損益」原理が働かない。だからこそ建築費用とその効果は厳しく問われるべきだ。市民も「国から補助金だから問題ない」という安易な考え方が国を滅ぼす元だという認識を持ち、市政に対して厳しくあるべきだ。


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