歴史的に米国の存在は日本にどれほどの益をもたらしたか。

 今朝の読売新聞一面に元米国防長官ウィリアム・ペリー氏が寄稿している。題して「米軍への支援 日本の国益」というおぞましい安倍自公政権ヨイショ論評だ。
 その中でペリー氏は「辺野古沖移設は日本の国益にかなう」と繰り返し述べている。そして米軍を支援することが日本を取り巻く危機に対応できる唯一の途だと、日本国民を説得しようとしているようだ。

 改めて指摘するまでもなく、現在の日本を取り巻く危機の大半は米国演出により作られた「危機」だ。北朝鮮の核兵器とミサイルは米国の「黙認」の下に製造されたのは明白な事実だ。中国の海洋進出も米国の「黙認」によりなされたものでしかない。
 むしろオバマ氏は中国を取り込むために、中国と手を握ろうとしていた節すら窺える。彼らの外交は一元的ではない、様々な思惑と布石が入り混じって複雑な多角的高次構造を呈している。確認された情報ではないが、かつてIS本部はアフガンのCIAの中にあったという。周知のようにISに武器を供与して武装集団に育て上げたのは米国だ。

 歴史的な観点からみて、日本は米国と交わっていかなる国益を得ただろうか。嘉永年間にベリーが浦賀にやって来てからの交わりだが、ハリスと締結した日米修好通商条約は世界でも名高い不平等条約だった。それにより江戸末期の日本から流出した膨大な量の「金」は日本にとって大きな損失だった。
 国債為替相場に無知蒙昧な幕閣相手に不平等条約を持ち掛けるのは赤子の手を捻るよりも簡単なことだっただろう。それ以降も米国は日本を助けたりはしなかった。日露戦争で終戦の周旋を買って出たのも米国の世界での発言権を増すための芝居でしかない。

 それ以後は日本国民の記憶にある通りだ。米国は日本全土を絨毯爆撃により灰燼に帰し、トドメとして二発の核爆弾を広島と長崎に投下した。まさしくジュネーブ条約に違反する「非戦闘員」の大虐殺を日本全土で仕出かして、一切謝罪するどころか占領軍として日本に君臨した。
 戦後も一貫して占領軍として日本政府に君臨し、独立後も日本の各界に築いた権益を手放そうとはしない。現在も安倍自公・ポチ政権を操って「戦争法」を成立させ、TPPにより日本の完全掌握を目論んでいる。

 今朝の読売新聞社説はサブタイトルとして「日米同盟の抑止力を強化したい」と掲げている。読売新聞は完全に米国政府の報道機関に成り下がったようだ。
 メインタイトルには白々しくも「国際秩序構築へ脱「受け身」で」とある。日本は憲法で国際紛争の解決に武力を用いないと定めている。その憲法の精神でいけば国際秩序構築に日本が何をなすべきかを考えるまでもなく限定的なのは明らかだ。それが不都合だというのなら、言論機関は国民に情理を尽くして説明すべきだ。根拠のない「受け身」ではなくというのなら、安倍氏の提唱する実態不明な「積極平和主義」という言葉をまず解析してから国民に「受け身」であってはならない理由を説明すべきだ。

 安倍氏は空疎な言葉を乱発する名人だ。それが大嘘であろうと、臆することなく平然と言ってのける。これまで安倍氏が掲げたスローガンを並べてみるが良い。「日本を取り戻す」「アベノミクス」「まっすぐ景気回復」「三本の矢」「デフレからの脱却」「経済特区」「積極平和主義」「地方創生」「一億艘活躍社会」そして「新三本の矢」だ。いずれも意味不明にして結果の出ていない事柄ばかりだ。
 オリンピック招致の国際会議では「放射能汚染水は完全にコントロールされ管理されている」と大見得を切った。彼はケダイの大ウソつきだ。その大ウソつきがGDP600兆円を叫んだ時には「このバカが」と鼻白んだものだ。しかしこの国のマスメディアは迎合した。言論界にマトモな判断能力のある人材は枯渇したかのようだ。そしてトドの詰まりは元米国防長官を登場させて「米国様に従え」との御信託を掲げる。

 歴史的に見て、米国の存在は日本国民の益にかなうのか、という批判精神は何処へ行ったのだろうか。


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