テロ集団への空爆か報復合戦を招くだけだ。

<英下院は2日、過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆範囲をイラクからシリアに広げる採決を行い、同日夜(日本時間3日朝)にも承認する見込み。週内にも空爆に踏み切るとみられる。英国の国際社会での存在感の回復を狙うキャメロン首相は、パリの同時多発テロをきっかけに議会に諮ることにした。野党からは、英国へのテロの脅威が増すなどとの批判が上がっている。

 2日の審議でキャメロン氏は「脅威を壊滅させるために同盟国と協力してテロリストを追い詰めるのか、それともただ座って彼らが来るのを待つのか」と、空爆拡大への支持を訴えた。
 これまでキャメロン氏は、議会に「英国民の安全を守るためにもシリア領内への空爆は不可欠だ」と強調。一方で「地上軍の派遣は考えていない」と述べ、イラク戦争のように泥沼に引き込まれる懸念の払拭(ふっしょく)に努めていた。

 英国は昨年9月以降、米国が主導する有志国連合に参加し、イラクに限定して空爆を実施している。シリア領内には無人偵察機を飛ばし、有志国連合のシリア領内への空爆を支援している。
 空爆範囲を広げることで英国へのテロの脅威が増すとの批判に対し、キャメロン氏はイラク領内への空爆を開始した時点でテロの脅威は最高レベルに達していると説明。「テロを防ぐためにはISの拠点があるラッカなどへの空爆が必要だ」としている。

 また、法的根拠については、パリの同時多発テロを受けてフランスが提出し、11月20日の国連安全保障理事会で全会一致で可決したISに対する決議を挙げた。ほかに、国連憲章51条で認められた「個別的または集団的自衛権」の行使にも合致するとした。
 昨年9月にイラク領内への空爆を実施した際には議会に対し、イラク政府からの要請を根拠に集団的自衛権を行使すると説明し、承認されていた>(以上「毎日新聞」より引用)

 国連案税保障理事会がISに対する決議を全会一致で決議したのを根拠として、英国はISの拠点があるとされるラッカなどへの空爆が必要だとしている。しかし空爆される地域にはIS戦闘員だけではなく、多くの市民も暮らしている。
 フランスで100人を超える人たちがテロにより殺害されたのは痛ましいことだ。あってはならない人間社会に対する暴挙だが、その報復として空爆を敢行する、というのはテロリストたちの無差別殺人と大して変わらないのではないだろうか。むしろ殺害される無関係の市民の数においては空爆の方が遙かに多い。

 そもそもISはどうやって武装したのだろうか。そして現在はどのルートから武器弾薬がISに補給されているのだろうか。武器弾薬の補給路を徹底して断つことがISを無力化する最も有効な手段だというのは私が指摘するまでもないことだろう。しかし、そうした議論が浮上しないということは、国連安全保障理事国の中に「死の商人」がいるからではないからだろうか。
 安保理常任理事国は押し並べて武器輸出国だ。武器製造は彼らの国の主要産業になっている。こうしたマッチポンプの連中が「安全だ」「テロへの報復だ」とよくも臆面もなく口に出来るものだ。人類の平和を乱す武器・弾薬をどしどし国際市場に提供していて、その武器・弾薬を使ったテロが発生すると更に高度武器の攻撃機を飛ばして一回の空爆で1億円といわれる予算を空費する。

 そうしたイタチゴッコを一番喜んでいるのは軍需産業とその投資家たちだろう。彼らは戦乱がないと商売はあがったりになる。しかし一旦戦乱が起これば原価の見境なく手当たり次第に消費する。
 国連安保理の国々は自国の軍需産業を喜ばすことではなく、ISへの武器弾薬の流入を徹底して遮断するのがテロ撲滅の最善の策ではないだろうか。いかに空爆しようと、そこで虐殺された市民が報復に燃えればIS兵士は絶滅することはない。

 ISに武器・弾薬を売る「死の商人」を徹底して取り締まることが最も有効なIS潰しだ。世界に氾濫する殺人兵器を削減する方が世界を平和にする近道だ。もちろんテロに対する徹底した警戒を緩めてはならない。報復の連鎖を呼ぶ空爆は「死の商人」を喜ばすだけだ。


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