FRBの金利引き上げに日銀はどう対処するのか。

<米国が利上げに踏み切ったことで、今後の金利上昇が見込まれるドルに資金を移す動きが強まる可能性が高い。新興国は一層の資金流出に加え、自国の通貨安の進行によって更に打撃を受けることになる。輸入価格上昇で消費者の負担が増し、ドル建ての借金の返済負担もより重くなるためだ。資源価格の下落に苦しむブラジルやロシア、南アフリカ、ドルの借金が多いトルコへの影響が懸念されている。

 新興国に代わって、世界経済のけん引役となることが期待されるのが米国だ。金利上昇による負の影響も懸念されるが、ワシントン近郊の自動車販売店の営業部長、グレッグ・レイナーさんは「顧客の購買意欲は強い。今後、自動車ローンの金利が上がっても何の影響も出ないだろう」と自信たっぷりに語る。

 ただ、景気回復は既に6年半近い。利上げを先取りしてドル高が進んだことで、米企業業績には陰りがみえ、世界経済をけん引するほどの力強さに欠けるのが実情だ。新興国が大きな打撃を受ければ、米国経済の足を引っ張ることになりかねず、FRBの今後の利上げや、世界経済の先行きは波乱含みだ>(以上「毎日新聞」より引用)

 世界経済は米国一国で牽引できるほど小さくない。中国が経済規模第二位になるなど後進国が相当規模に育った現在、後進国の景気後退は米国の景気好調で補えるものではない。
 しかし米国も既に景気回復も六年を迎えて、そろそろ景気局面の転換点に到達しようとしている。景気は波といわれるように好景気と不況とが交互にやって来る。需要を賄うために生産設備投資が起こり、需要が一巡すると供給過剰により景気が後退するからだ。中国はまさに供給過多が行き過ぎた段階に到ってもなかなか生産調整すらできない状況のため、多くの製造分野でいきなり倒産という事態を迎えているようだ。

 日本は多くの企業が海外へ生産拠点を移しているため、円安が進んでも輸出がそれほど刺激されることはない半面、輸入基礎材が価格上昇して国内の中小企業の資材が値上がりし消費者物価が値上がりする悪影響だけが出ることになる。
 石油は産油国のチキンレースにより生産調整がなかなか上手く行かず、値下がりしているため円安でいきなり価格上昇にならないという幸運に恵まれている。そうした幸運がなければ日本は国内物価の高騰により消費者マインドは今よりも数段冷え込んでいるだろう。しかし、それでも無能・無策のアベノミクスによる経済政策不在の税制弄りばかりにかまける、という失態を続けているため、じわりと景気局面は後退に入らざるを得ないだろう。

 それで日銀は「必要とあればいつでも措置を講じる」とバカの一つ覚えの金融緩和策を実施するとの姿勢を見せている。だが、現実には金融緩和ではなく異次元金融緩和の後始末を段取る段階にある。
 発行済み国債の3割を中央銀行が買い入れている、という日本の現状は異常だ。国家会計を連結決算すれば日銀は過半数の株式を政府が所有する子会社として連結され、政府発行国債と日銀が買い入れた国債は相殺され、700兆円程度に圧縮される。それがいかに異常なことか、政府と日銀はタコ足を食いまくっている財政の現状をいかに評価するのだろうか。

 日本は生活消費財の生産拠点を中国やタイなどの東アジアに移しているため、国内製造業への影響はそれほど大きくないだろう。しかし円安の進行は日本経済が国際為替金融の中で相対的に縮小するため、影響力をさらに失うだろう。つまり異次元金融緩和のアベノミクスは結果として小さな日本を実現しただけだ。
 日本は経済規模に見合う国際貢献に後退すべきだ。国連分担金ももちろん中国以下に引き下げて頂くべきだ。米国への思いやり予算も現行の日本負担率75%からドイツ並みの負担率40%台に引き下げてもらう交渉を始めるべきだ。日本国民に負担増を強いるだけでなく、日本がかつて世界第二位の経済大国だった当時に水増しされた国際負担割合を現行の小さな日本の見合う負担割合に引き下げてもらう交渉をすべきだ。

 国家予算もダウンサイジングすべきで、公務員給与や共済年金を勤労者平均年俸や厚生年金並みに引き下げるべきだ。国家も地方も財政破綻の危機にある、という自覚をすべての国民も官僚も、そして政治家も持つべきだ。異次元金融緩和の大盤振る舞いタコ足財政は終わりを告げている。


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