消費増税議論を「減税」にすり替える自公政権内の議論と報道姿勢を批判する。

<消費税率は14年4月に5%から8%へ引き上げられ、17年4月には8%から10%へ上がる予定。5%から10%への増税5%分の税収14兆円は、すべて社会保障に充てられることが消費増税法で決まっている。

 財務省と自民党は軽減税率に充てられる財源は「4000億円が上限」と主張してきた。これは消費増税に伴う低所得者対策として、医療、介護、保育などの自己負担総額に上限を設ける「総合合算制度」の導入に充てる予定だった財源だ。軽減税率の対象を生鮮食品にとどめれば必要な財源は約3400億円。総合合算制度の取りやめによる4000億円で穴埋めできる。社会保障に大きな影響を及ぼさないために、自民党は「軽減税率は生鮮食品に限る」としてきた。

 ただ今回、政府・与党が軽減対象とするのは、生鮮食品に加工食品を合わせた食料品全般。「幅広い食品を軽減税率の対象にすべきだ」と主張してきた公明党に配慮した結果だ。
 しかし、これらに軽減税率8%を適用すると年間で約1兆円もの税収が減ってしまう。総合合算制度の見送りで確保できる4000億円以外の財源のめどは現段階でたっておらず、消費増税後に予定していた子育てや介護など他の社会保障の財源が不足しかねない。食品全体に軽減税率を適用すれば消費者の負担は減るが、その穴埋めのために予定していた社会保障の充実がさらに見送られれば、国民からの批判は必至だ。

 安倍晋三政権の発足後、税収増が続いているため、政府・与党内には税収が見積もりを超える「上振れ」をあてにする向きもある。しかし、税収は景気に左右され、上振れが続くとは限らない。麻生太郎財務相は1日の記者会見で、軽減税率の安定財源に税収上振れを充てる案について「税を分かっていない人の意見だ。来年は上振れするか、再来年はどうかと言ったら極めてクエスチョンマークがつく」と否定的考えを示した>(以上「毎日新聞」より引用)

 上記の毎日新聞の記事を読むと、いかにも消費税を減税するために自公政権が議論しているかのようだ。しかし間違ってはならない。安倍自公政権は消費税を2017年に10%に上げようとしている。それに民主党も賛同しているし、維新の党も同調している。
 だが景気は依然として厳しく、国民の多くは貧困層へ転落している。ことに若年層の貧困化は深刻で、児童・生徒の6人に1人は貧困家庭の子弟だという。そうした次世代を担う子供たちが親の貧困に引きずられて自らも貧困層から脱却できず貧困の親から子へと続く連鎖を断ち切れないでいる。

 消費税は個人所得を直撃する過酷な税だ。それは殆ど人頭税に近い。生きるために日本国民は国から「税」を課せられる。
 現在のすべての消費に8%の税を課す日本の消費税は世界で最も過酷な消費税だ。かのスウェーデンですら一般税率は25%だが食料品の消費税は7%だ。しかも教育費や医療費は無料だ。
 日本の消費税がいかに世界に類例を見ない過酷なものか、なぜ日本のマスメディアはキッチリと伝えないのだろうか。現在の「軽減税率」と冠した食料品に対する税率議論は正確には10%増税時に8%に据え置くというもので、軽減税率とは10%になってから比較できる税率に過ぎず、現行の議論では「8%据置税率」適用品目の議論に過ぎない。軽減税率という言葉を使って国民を騙す報道姿勢には呆れ返る。

 そして「据置く」から不足する税が1兆円ある、という議論も10%増税の視点から見たもので、現行税率の今そう指摘するのはおかしなものだ。据置税率適用品目を増やそうと、いずれにせよ、10%消費増税で「税収増」になるのは間違いなく、国民負担は増えることに議論の余地はない。
 そうした増税議論をスッ飛ばして、国民に「減税感」を与えんがための報道姿勢は実態を曖昧にするものでしかない。報道機関は誰のためにあるのか。政府・官僚のためにあるのではない。国民が真実を知るためにこそある。そうした役割を果たすために「報道の自由」が憲法に定められている。そのマスメディアが権力のポチに成り下がっては、いつか来た道を国民は歩まされることになる。


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