国家戦略として再生エネ開発に「研究開発」減税を創設せよ。

<国際エネルギー機関(IEA)は10日、2015年版「世界エネルギー展望」を公表し、国際原油価格が現状の低水準のまま続いた場合、世界でエネルギー関連投資が減少し、将来の価格高騰リスクを高めると警告した。ロンドンで記者会見したビロル事務局長は「低価格に油断せず、再生可能エネルギーや省エネ技術への投資を急ぐべきだ」と強調した。

 IEAは展望の中で、現在1バレル=40ドル台の原油価格は、20年には80ドルまで上昇する可能性が高いという「中心シナリオ」を示す一方、50〜60ドル台の低水準が20年代まで続いた場合、米国のシェールオイルなどの生産量が大幅に減少すると予測。生産コストの低い中東産油国への依存度が高まり、需要の伸びが大きいアジア諸国でエネルギーの供給リスクが高まると警告した。さらに、省エネや再生可能エネルギーへの投資が、中心シナリオに比べ40年までに8000億ドル(約98兆円)も減少すると予測した。

 また、地球温暖化対策として各国が現在表明している対策が実行されたとしても、発電などのエネルギー分野で排出される二酸化炭素(CO2)は40年に13年比で16%増えると予測。省エネなどの一段の努力を求めた>(以上「毎日新聞」より引用)

 原油価格が下落しているのは原油輸入国としては歓迎すべきだが、それによりエネルギー危機に備える努力まで止めてはならない。原油がやがて枯渇するのは自明の理で、現在まで原油資源があり続けたから今後もあるに違いない、と思うのは願望に過ぎない。
 原油価格の高騰によりシェール・オイルや天然ガスが積極的に開発されたから、世界全体として原油・天然ガスなどの化石燃料が増産されてきたに過ぎない。米国のシェール・オイルの掘削が可能になったのは原油が1バレル100ドルを超える高騰による。しかし現行の1バレル40ドル台の原油価格は米国のシェール・オイル掘削原価を下回り、米国ではシェール・オイルの掘削をやめているという。

 当然掘削原価が1バレル60ドルといわれているロシアの原油・天然ガスも現行の原油価格により国家財政を直撃されている。ロシアは原油価格が1バレル100ドルを超えていた当時に資源輸出依存の経済構造から先進国並みの製造業を主力とした経済体制へ移行しようと経済転換の国家目標を立てた。
 しかしロシア政府内部に深く入り込んだ資源マフィアの影響力により、剛腕で知られるプーチン氏ですら自国の資源マフィアの経済支配体制を崩すことは出来なかった。ロシアは未だに中東並の資源依存の経済構造だ。今回の原油価格暴落がロシア経済と国家財政を直撃している。

 原油価格の下落の主原因は中国経済の減速による。世界一の原油輸入国となった中国の経済の先行きが見通せない現状では中国の原油需要が急激に回復することはあり得ない。一時はロシアからパイプラインを敷設して天然ガスを購入する計画に熱中していたが、現在ではその熱意は失われている。
 ロシアは欧州諸国へ天然ガスをパイプラインで輸出しているが、度重なる値下げ交渉に悩まされている。そこで日本に天然ガスをパイプラインを引いて輸出しようと試みているが、天然ガス価格が高止まりしている時期にロシアが中国と日本とを両天秤にかけて価格を競わせていたことから、さすがの日本の経済界も慎重になっている。ロシアの天然ガスに依存して安定供給が維持されるのか、という懸念だ。

 いずれにせよ、日本は独自のエネルギー源を確保する必要がある。それは放射性廃棄物を垂れ流す原発ではなく、再生エネを主体としたものであるべきだ。現行の原油価格が将来も維持される保証はどこにもない。現行の原油安でペイできないから再生エネ開発を休止するのではなく、原油価格が1バレル100ドルを超える時代が再び来ることを予想して、今から備えておくべきだ。
 米国は今は原油価格の低迷からシェール・オイル掘削が低調になっているが、1バレル100ドルを超える時代になれば、中東から原油を輸入することから自国生産のシェール・オイルにエネルギー源を切り替えるだろう。そうすると米国が中東に関与する動機が失われ、同時に米国と同一歩調を取ってきた日本の資源外交は戦略の転換を迫られるのは必然だ。その時になってアタフタしても始まらない。日本は米国から自立していく準備を確実に進めておかなければならない。

 安倍自公政権の外交ベクトルは、しかし旧態依然の米国依存を強めるものでしかない。そうした意味でも安倍外交は武力信奉を軸とした前世期の外交戦略に立っている。この国の政治家たちの頭脳は遅れているし、それに警鐘を鳴らすべきマスメディアも前世期的な思考回路から脱却できていない。
 TPPといった一種のブロック経済を「新しい貿易体制」だと持て囃す体質も前世期の遺物だ。日米の環太平洋がTPPで中国を封じ込めたと成果を誇れば、必ず中国も新たなブロック経済で対抗して来る。それはいつか来た道でしかない。そうした「陣取り合戦」に日本は加わるのではなく、独自の戦略をうち立てるべきだ。そのためにも自立できる再生エネ戦略を立てて、その方向で日本の持てる科学力と技術力のすべてを集中すべきだ。再生エネ開発・研究減税などを政策ではっきりと打ち出して、原油安の今こそ日本の行くべき道を国民に示すべきではないだろうか。


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