高コスト社会を見直せ。

<太田昭宏国土交通相は2日の記者会見で、高速道路料金に関し、建設の借金を返済した後に無料開放する原則を堅持する考えを重ねて示した。改修費を賄うため、恒久的に有料とすべきだとの意見が出ていることについて「利用者の理解が得られるかという課題がある。極めて慎重な検討が必要だ」と述べた。

 その上で「有料道路制度について国交省と私の立場は今までと全く同様だ。わが国の道路は無料開放が原則で、厳しい財政の下で有料制度を導入している」と強調した。

 2005年10月の道路公団民営化時に、政府は無料開放時期を「50年までに」としていた。しかし12年の中央自動車道笹子トンネル(山梨県)天井板崩落事故を受け、老朽化対策の大規模改修費を確保するため、15年延長し65年までとした。有識者からは「今後も更新費用は必要で、債務の償還が終わることはあり得ない」「恒久有料化で高速料金は下がる」との指摘も出ている>(以上「産経新聞」より引用)

 2009民主党マニフェストで高速道路無料化を謳った際には「財源がww」とマスメディアと自公の批判の嵐に曝された。しかし一般国道も相次いで高規格道路が建設され、高速道路と遜色のないものまで無料で使用している。
 高速道路はかつて「道路公団」が運営して、国交省の天下り先として指定席になっていた。そして高速道路公団は赤字だとして補助金などで補填しているにも拘らず、その子会社は黒字経営で、さらに天下り天国と化していた。現在は中途半端な民営化によって全国に何社かに分割され、それぞれに関連省庁かせ天下りの社長や役員が居座っている。つまり「民営化」という名の下の官僚利権の肥大化に当時の小泉・竹中構造改革は寄与しただけで終わっている。そして現在も世界に冠たる高額使用料金の高速道路が全国に網目を拡げている。

 しかし一体いつまで道路建設を続けるつもりなのだろうか。この国の国民自動車保有台数は頭打ちになっている。むしろ若者の自動車離れが定着すると、全国的に高速道路は閑古鳥が鳴く仕儀と会い成り果てかねない。
 しかし首都圏の高速道路は低速道路というにふさわしい状況だ。環状線の相次ぐ完成により、道路事情は改善されつつあるが、首都圏や名古屋圏や大阪圏などの大都市圏の自動車の日常的な混雑ぶりには驚く。その大きな原因は鉄道貨物の撤退にある。なぜトラック・レールなどのトラック輸送と鉄道とがうまく役割分担をしなかったのだろうか。

 鉄道輸送がトラック輸送よりも定時でしかも事故率が低いのは解り切っている。長距離トラック輸送がいかに高コストでしかも運転従事者に過酷労働を強いているだろうか。それを改善すべく貨物輸送の然るべき未来像を国交省はなぜ提示しないのだろうか。貨物を運ばない高速鉄道やリニアにばかり目を向けるのはいささか軽佻浮薄の輩のやることではないだろうか。
 鉄道輸送が低コストで安全なのは周知の事実だ。高速道路建設の促進ではなく、無料化にむけた工程表を国民に示すべきだ。一般道路が無料なのは揮発油税の道路財源で造られているからだ。それなら高速道路も揮発油税で償還すれば直ちに無料化できるはずだ。

 そうすれば高速道路をトラックや自家用車が驀走するではないか、という批判が巻き起こるだろう。たしかに高速道路の利用率は上がるだろうが、それにより混雑すれば再び一般道路へ逆流するだろう。
 通常時の高速道路の清掃費や維持管理費はどうするのか、それはサービスエリアのテナント収入を充当すれば良い。現在は子会社の利権となっているが、それも電子競争入札にすれば良い。全国展開の牛丼屋があっても良いだろう。そして何よりの効果として自動車で家族が安近短の温泉地に訪れるようになることがあげられる。かつて休日千円乗り放題だった当時、熱海などが賑わったのを記憶しているだろうか。

 次に挙げられるのが、高速道路がバイパスとなって、街中の幹線国道をトラックが爆走しなくなることだ。ことに地方都市では幹線国道が生活道路となっていて、トロトロ走る軽自動車に迫るように爆走する大型トラックが普通に目につく。もちろん通勤通学の自転車も幹線国道を走っている。渾然一体となっている危険な状態が少しでも緩和されることになれば高速道路無料化は安全性で大きな効果を持つといわなければならない。
 いつまでも高速道路利権を官僚やその僕の政治家たちが食い物にしていてはならない。太田国交相は工程表を明らかにして、高速道路無料化を促進すべきだ。あわせて、この国の貨物輸送の未来像も示すべきだ。


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