北方領土の返還まで、ロシアからの経済協力の要請に従ってはならない。

<ロシア第2位の航空会社トランスアエロが今月、航空券の販売停止と運航の大幅縮小に追い込まれ、21日までに事実上、経営破綻した。当面の間は同国最大手の政府系アエロフロートの支援を受けて運航を続けるが、12月15日までに全てとりやめる。
 ウクライナ危機に伴う欧米の経済制裁や原油安により通貨ルーブルが急落。ロシアから西欧への航空旅客数が激減し、経営を圧迫した。
 タス通信によると、負債総額は約2500億ルーブル(約4800億円)。今後、同社が破産処理されれば、低迷するロシア経済全体に影響が波及する可能性もある>(以上「共同通信」より引用)

 原油価格の下落とウクライナ制裁によりロシア経済は危機的状況に陥っている。それに従い、長期政権を我が物顔に謳歌していたプーチン氏の政治力に翳りが見られはじめ、焦燥感を抱くプーチン氏がシリアのアサド政権に急接近して国民に「強い指導者」としてのイメージを蘇らさせようと必死のようだ。
 しかし2013年には2兆790億ドル(249兆円)あったGDPが2015年には1兆2356億ドル(148兆円)まで落ち込むと見られ、さらに2016年には1兆1789億ドル(141兆円)になるとの予測が出ている。ロシアの人口は2012年現在で1億4300万人程度と日本と大して変わらない。それにも拘らずGDPは日本の1/4ほどと、大国とのイメージとは程遠いお寒い経済実態というのがロシアの現実だ。

 そのロシアが旧ソ連が崩壊した巨額な軍事力の財政圧力に苦しんでいるのは間違いない。かつて原油と天然ガスの輸出バブルに沸いた当時に資源輸出頼りとした経済を国内生産を主体とした経済構造の転換を図るべく努めてきたが、ここに到って原油価格の下落から外貨不足に陥り、却って国内の経済統制を強めている。
 プーチン政権は経済政策で手詰まりとなり、シリア介入による強い軍事力による国力回復と、自身のスポーツ・パフォーマンスを行うなどしてパワフルなイメージアップに懸命のようだが、年老いた姿をさらす格好になっているのは何とも皮肉だ。そうした子供じみた政治パフォーマンスを繰り返している限り、ロシア経済の改善は遠のくばかりだという現実をロシア国民はやがて知るだろう。

 日本の投資と経済協力を求めて、安倍氏や日本政府にロシアから秋波が送られているのは想像に難くないが、簡単に乗ってはならない。ロシアはもっと経済的に行き詰って、ついには北方領土をかつてアラスカを米国に売ったように、日本に返還するとの表向きの理由で、実は日本の投資という取引で買い取るという返還の道を話し合うのが現実的だろう。
 ロシアは帝政ロシア以来、前近代的な一部の支配層が国民を強権政治により支配する政治体制の国だ。それは酷寒という厳しい自然と貧困と闘うために必要悪と国民はある程度是認してきた歴史がある。しかしいつまでも一部の支配層に富を独占される経済構造に国民が満足しているはずはない。

 プーチンはウクライナ制裁にいつまで耐えられるのか。原油価格下落に伴う貧困化する国家財政に、過大な軍事費負担がいつまで持ち堪えられるのか。ロシアもついには「国民の生活が第一」の政治に舵を切らざるを得なくなるだろう。その時こそが北方領土を買い取る絶好の機会だ。それまではロシアの甘言に乗ってはならない。


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