北朝鮮は何処へ向かうのか。

<朝鮮中央通信によると、北朝鮮の国家宇宙開発局は14日、10月10日の労働党創建70周年に合わせ、「衛星」打ち上げと称して長距離弾道ミサイル発射を強行する可能性を示唆した。
 同局局長は「科学者、技術者が党創建70周年をさらに高い科学技術の成果で輝かせるため、力強く闘争している」と述べ、「世界は党中央の決めた時間と場所で天高く上がり続ける先軍朝鮮の『衛星』をはっきり見ることになろう」と指摘した>(以上「時事通信」より引用)

 ロケットは中世の戦争当時から兵器として存在した。長距離弾道ミサイルを打ち上げたとしても、何も近代科学技術の広告宣伝として役立つとは思えない。
 ただ科学技術に疎い国民には遠くにいる敵にも北朝鮮は打撃を与えることが出来ると思わせるのには効果があるだろう。つまり米国に対して攻撃力を保有していると脅すためのものだろう。

 そうしたことにかまけて、国民に貧困な暮らしを強いるとは愚かな政府だ。社会主義・統制経済国なら、北朝鮮は手厚い社会保障をすべての国民に保障しなければならない。いや、かつてはそうだった。
 北朝鮮は南朝鮮よりも豊かな工業力で国民は平和で豊かな暮らしを享受していた。しかし国の富を軍に注ぎ込んだため、国民生活は貧しくなり、そこに飢饉が何度も襲って国民は窮乏生活を強いられ、大勢の餓死や凍死を生じる暗澹たる国に転落した。

 国家と国民は政治指導者によって劇的に変化する。かつての日本もそうだった。欧米列強の帝国主義国に周囲を固められ、日本を侵略する姿勢を見せる旧ソ連に対して常に警戒しつつ、清国を蚕食する欧米に備えなければならなかった、
 そうした当時の国際情勢を考慮してもなお、大正時代に芽生えていたデモクラシーを軍靴で踏み潰した軍部の台頭と、それを許した政治家たちの理念のなさと、それに迎合したマスメディアの事大主義が国民を戦禍へと追いやった。

「戦争法案」強行採決前夜のこの時期に、北朝鮮の大陸間弾道弾の打ち上げ報道にはある種の関連性を感ぜざるを得ない。つまり日本政府に「国民に差し迫る危機」を北朝鮮はわざわざ演出して、日本の軍事右傾化に助勢しているというしかない。
 そうした国家のあり方は前世紀の遺物でしかないが、未だに軍事力で他国を支配することが国民の最大幸福に役立つと勘違いしている政治指導者がこの地上に存在するという証でしかない。日本の安倍自公政権と同調する野党の一部国会議員は彼らが一体何をしでかしているか理解しているのだろうか。

 もちろん他国や他勢力が日本の国土を侵害して国民の命を危険にさらすような事態に対して、対抗して排除し防衛する「軍事行動」を否定するものではない。自衛のための武力行使は国家として当然の権利行使だ。
 しかし自衛隊が他国の地域へ出掛けて行って「自衛のための軍事行動だ」と称して軍事行動を展開するのは日本国憲法の「国際紛争の解決に武力の行使を永遠に放棄する」とする規定に明らかに抵触する。憲法違反は何人であろうと犯してはならない。

 中国の「戦勝70周年」軍事パレードは噴飯ものだったが、いつまでそうした「玩具の兵隊ごっこ」を世界各国は続けるつもりだろうか。それらの戦車砲塔の照準の先にも同じ人間がいること、ミサイルの攻撃照準の地にも同じ人間がいることを想像できない政治指導者にそもそも指導者としての資格があるのだろうか。
 地球を何万回も破壊できる核兵器を保有する狂気の時代に生きる人間たちは、そうした地球の全生物の命を弄ぶ「戦争ごっこ」をいつまで続ければ気が済むのだろうか。そして国連「常任理事国」のすべてが核保有国だという事実は一体何を意味しているのだろうか。人間は一体いつまで愚かなのだろうか。

 日本は断じて米国の三下に成り下がってはならない。日本は誇りある独立国として、世界に恒久平和を呼びかける立場に立つべきだ。そのためには米軍の後方支援といえども米国の戦争に加担してはならない。
 自衛隊は自衛のための「軍事装置」だ。決して日本の領空、領海を超えて軍事装置を発動してはならない。あくまでも日本に侵攻する敵に対して戦う自衛のための自衛隊だ。「自衛」を拡大解釈して戦線を拡大するのは戦前の軍部がとった手法だ。それに倣って「解釈改憲」することは誰であろうと許されない。安倍自公政権とその仲間たちの名は立憲主義を蔑にした愚かな政治家として日本史に永遠に刻まれる。


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