野党の対応を叱る読売新聞を叱る。

 今朝の読売新聞の社説は酷い。「与野党は不毛な対立を断て」と題した論説の最初の行に「日本の平和確保に極めて重要な安全保障関連法が成立した国会として、歴史に刻まれよう」とある。
 この認識は一体どこから来ているのだろうか。「戦争法」が「日本の平和確保に極めて重要」なら憲法を蔑にして総理大臣が「存続危機」だと判断すればいつでも何処へでも自衛隊を派遣できる法律が「日本の平和確保に極めて重要」なのだろうか。その反対に日本を米国の戦争にいつでも巻き込む危険性が格段に増したというべきではないだろうか。

 世間には後方支援に関して「既に日本は朝鮮戦争で米軍の後方支援を行った実績がある」とシタリ顔で論説する評論家がいる。だから、今回成立した「戦争法」で集団的自衛権を容認し、後方支援を明文化しても一切憲法に抵触しない、というのだ。
 当時の米国と日本との関係と、今日の関係を同一に論じること自体がナンセンスだが、朝鮮半島という隣国の戦争に対して、危機感を持っていたのは米国であって日本ではない。米国は共産化のドミノ倒し、という神話をつい最近まで唱えていた。ベトナム戦争を起こしたのも、その理論を根拠にしてのものだった。しかし米軍が撤退してベトナムが共産党支配になったからといって、南アジア全体が共産化しなかったのは歴史が証明している。

 朝鮮半島の戦争に日本の基地に駐留している米軍が直接参戦したのは「後方支援」だというのなら、世界で展開している米軍が直接ではないにしろ、日本の基地を利用しているのは当たり前のことだ。それまでも後方支援だというのなら、米国と雄渾関係にある国はすべて米軍の後方支援基地と認定されることになる理屈だ。それがいかに馬鹿げているか明らかだ。
 自衛隊が出掛けて行って武器弾薬の搬送をする「後方支援」と、日本国内で米軍の食糧調達等を行うのを「後方支援」と称するのが異なるのは明らかだ。それまでも「後方支援」だと称して、既に日本は米軍の後方支援を行った実績がある、とシタリ顔で得々と述べる女性国際学者と称する屁理屈には驚かされた。

 前国会の与野党対立はこれまでの対立とはわけが違う。安倍自公政権が憲法違反の「戦争法」を成立させることに対する危機感は野党だからではない。国民の実に六割(根拠のないマスメディアの世論調査でも六割とせざるを得ないほど反対が多かった、ということなのだろう)に達する「戦争法」違憲判断と、憲法学者の九割を越える人たちの反対を背にした反対だった。
 立憲主義国家の危機がそこにある、というのに「与野党対立は不毛だ」とは愚かなマスメディアの標本の様な社説だ。先の大戦に協力して、国民を塗炭の苦しみに向かわせた愚行を心底反省したはずではなかったか。その愚挙を再び読売新聞は犯そうとしているにも拘らず、社内に編集方針に対する反対は一切ないというのだろうか。何とも恐ろしいマスメディアだ。

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