官僚と政治家諸氏は財政歳出削減に血の滲む努力をせよ。

< 今年上半期に記録的な財政黒字となる中、ドイツはユーロ圏経済浮揚のため、減税や公共支出拡大を行うべきとの声が国内外で上がる。ただドイツは、あくまでも緊縮路線や均衡予算達成目標を堅持する方針だ。
 ドイツ政府は25日、上半期の財政黒字が211億ユーロ、国内総生産(GDP)比1.4%だったと明らかにした。上半期の黒字は、昨年のアイスランドGDPを上回る規模となった。
  欧州委員会はドイツに対し、EU域内の成長を促進するため、「財政上の余地」を活用するよう求めた。
 フランスのマクロン経済相は今週、ドイツの緊縮策が行き過ぎた可能性があると指摘している。フランスは財政赤字のGDP比を3%とするEU上限内に縮小させることに依然苦戦し、ぜい弱な経済成長を押し上げる余地がほとんど残っていない状況だ。
 ドイツ国内でも、インフラ投資が数年間低調との指摘も出ている。
  複数の自治体首長が昨年、道路・建物投資に1180億ユーロが必要と指摘、別の公的委員会も公共交通インフラ修繕に年間72億ユーロの投資を求めた。
  与党キリスト教民主同盟(CDU)のフランク・ステッフェル議員も、直ちに歳出を拡大するよう主張する。 同氏は「相当規模の黒字を納税者に戻すべきだ」と指摘、「特に教育やインフラへの投資支出が、最も効果的な手段となる」と語った。
  ING━Dibaの首席エコノミスト、カールステン・ブルゼスキ氏も「柔軟性を高めても良い。このような低金利水準では、政府も再考すべきだ」と分析する。ただ、同氏は「柔軟性はドイツのDNAにない」と解説。「ショイブレ財務相が、歳出を拡大しない方針について各国首脳らを納得させた」と指摘。各国もドイツに強い圧力をかけることをあきらめつつあると分析した。
 こうした声が上がる中、メルケル政権は他の欧州連合(EU)諸国に、ユーロ圏危機打開策として均衡予算の重要性を「説教」しようとしているとの見方も広がる。

��DUは2017年の選挙戦で、財政黒字化の実績を訴えるとみられている。ショイブレ財務相は、今年は黒字でなく、均衡予算を目指す方針を示す。同氏は先月、DBB誌に「2019年予算にかけ、新規に債務を発生させない計画だ。追加余地が生まれれば、将来の重要投資に活用していく」と語っている>(以上「ロイター」より引用)

 長々とロイターの記事を引用したのにはわけがある。ドイツの国家財政が黒字化しても、今後とも収支バランスを重視して歳出削減努力を続けるという。
 一方、先進国で最大のGDP比200%を超える国債残を抱える日本で歳出削減に血眼になっていない甘さが認められるのはどうしたことだろうか。たとえば2520億円を超えると予想され、さすがに削減すべきとして見直しをすることになった新国立競技場にしても、1500億円程度を上限とすることを決めたという。これが当初1350億円を目途としていた競技場建設の計画が漂流した結果だとしたら、焼け太りというしかない。そうした焼け太りを許す体質が日本国民にあるとしたら、増税を行っても財政再建など夢のまた夢だ。

 国際金融市場の現在の金利だから日本の国家財政は持っている、という危機感に乏しいのはなぜだろうか。1000兆円を超える国債は金利が1%上がれば予算の国債費が10兆円増えることになる。米国FRBがこの秋にも金利を上げるのではとみられていたが、中国株式市場の大暴落により世界の株式市場が不安定化したため米国金利の引き上げは当分見送られることになった。
 しかしEUや日本なども金利引き下げによる金融緩和拡大策をとってきたが、永遠にマネーサプライを増大させたままでいるわけにはいかない。それは極端な貨幣価格暴落をもたらす大インフレと背中合わせの金融策だということを理解しなければならない。

 ドイツはそうした危険性を察知して、逸早く金融緊縮策に舵を切った。国内にも老朽化した社会インフラを早急に更新すべく公共事業予算を増加させよとの声があるが、メリケル氏をはじめ政権与党は歳出削減を引き続き堅持するという。
 歴代オリンピックで使用した競技場建設予算を見ると、以前で最大だったロンドンのモノですら650億円程度でしかない。日本は削減したとはいえ1500億円とはいかなる豪華施設かと思ったら、観客席に限定した屋根だけで、しかも空調施設はないという。それでも1500億円とはいかに耐震構造にするのに工事費が高くつこうが、人件費が高いとの声も出ているが、新競技場で使用されるセメントや鉄骨資材が国際相場で流通している物資である限り、どの国で調達しようが大した価格差はない。

 人件費で日本は英国よりも突出して高いか、というとそうでもない。それではなぜ日本の競技場建設費が異常に高額なのだろうか。それは日本の公共事業費の異常さにある。いわゆる「○公」単価といわれる民間土木建設事業費の1.5倍から2倍といわれる特殊な工事原価算定方式が存在していることによる。
 だからロンドンオリンピックで使用した競技場建設費の2倍以上になっていても、誰も文句を言わないのだ。それが日本の公共事業の常識だとわかっているからだ。しかしそうした世界の非常識を「常識」とする国家財政運営で、国民は何処まで増税を強いられるのだろうか。

 道路予算は税収の中でも目的税だから別枠で、揮発油税をジャブジャブに使って良い、などという発想がある限り、財政歳出の根本的な削減議論は出来ない。その反面、社会保障費に充当するとされた消費増税はさっそく訳の解らない使途へ消えてしまった。
 国民は歳出項目と金額にもっと厳しい目を向けるべきだ。新国立競技場予算が異常に高額なことに、もっと怒るべきだ。国際商品であるセメントと鉄骨材を大量消費する競技場建設が世界の他都市で建設された同規模の競技場と比較して突出した金額になる理由がない。そうした異常さに国民はもっと厳しい目を向けて、怒りの声を上げるべきだ。日本はオリンピックレジェンドとして水膨れ装飾の競技場を残して何に使うつもりなのだろうか。建設費が高ければオリンピック以後の貸出料が高額になるのは明らかだ。それとも施設解体までダラダラと維持・管理費に国費を投じ続けるつもりなのだろうか。


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