世界の経済構造の変化は世界覇権国家に転換をもたらす。

<21日のニューヨーク市場でダウ平均株価(30種)は前日終値比530ドル安と大幅に下落し、下げ幅は2011年8月以来、約4年ぶりの大きさだった。週明けの東京市場も、波乱含みの展開になる可能性があり、警戒感が強まりそうだ。
 楽天証券・土信田(どしだ)雅之氏は、「日経平均株価は1万9000円台前半まで下落する可能性がある。中国の景気減速に加えて、米国が9月に利上げすれば、さらに世界経済の変調も懸念される」と指摘する。
 金融市場では、リスクが高い資産を売る動きが加速している。
 21日のニューヨーク原油先物市場は、指標となるテキサス産軽質油(WTI)の10月渡し価格が一時、節目とされていた1バレル=40ドルを割り込んだ。中国経済の先行き不透明感から需要が減るとの見方が出たためで、約6年半ぶりの安値水準となった>(以上「読売新聞」より引用)

 中国経済の減速が一段と明確になり、世界的な株安をもたらしそうな勢いだ。中共政府は2015年のGDP予測を7%成長と予測しているが、中共政府が発表する統計数字はほとんどすべて当てにならないことは周知の事実だ。
 その中で、中共政府の発表する数字で当てになる経済指標は国内輸送量と電力消費量だといわれている。しかし、ここに来て中国の原油輸入量が大幅に減少していることから世界的な原油価格の下落が起こっていることに注目する必要がある。

 中国の企業が省エネ技術を競って導入し、省エネ化に成功したという話を聞かないため、原油輸入量の減少はそのまま中国内産業消費量が減少していることの証だ。中国のGDPはほぼ貿易と個人消費と国内投資が同じ比率だった。それらのすべてが減速していると見られている。ことに投資は壊滅的で、不動産投資は不動産バブル崩壊に見舞われているし、産業投資も鉄鋼の過剰在庫が露わになっている。
 貿易に関しても労働賃金の上昇が製品価格の上昇につながり、中国製品の輸出競争力を決定的に低下させている。造っても売れない中国製品は在庫増大をもたらし、さすがに生産調整をせざるを得なくなり、製品部品などの輸入量の減少につながっている。

 原油価格の1バレル40ドル割れはロシア経済を直撃している。ロシア国家予算は1バレル60ドルを想定しているといわれている。そのためロシア国家予算は歳出超過に陥り、厳しい財政運営を強いられている。
 ロシア首相が日本の北方領土への訪問を強行してのも、日本との経済協力を進めるための「圧力」を日本に掛けるのと同時に、ロシア国民の不満を「戦勝国」としての立場を誇示することにより逸らそうとする意図がミエミエだ。本来なら国家経済に占める原油・天然ガスなどの資源輸出収入が6割を占める経済構造から、他の産業発展を実現して普通の欧米諸国並みになろうと経済構造の転換を試みてきたが上手く行っているとは言い難い。依然として資源輸出頼りのロシア政府は日本を脅さなければならないほど困っている。

 中・露の今日の経済的な苦境は経済が好調だった時期に国民所得を増加させ、個人消費を拡大する施策を展開できなかったことに起因している。米国が中国に「内需型」へ早急に転換するように警告しているが、時すでに遅しだ。ロシアも資源輸出頼りの経済からGDPに占める個人消費を五割以上に増加させるべきだったが、プーチンが十数年も国家権力を掌握している間に改善は少しも進まなかった。
 それらはすべて両国の政治権力基盤が民主的な国民主権に置かれていないことによる。彼らが気にすべきは共産党内の権力闘争であったり、資源マヒィアと軍部の顔色を窺うことだったりするため、国民の生活が第一の政治を行うことが出来なかった。中・露両国の政治はGDPに占める個人消費割合の増大をもたらす社会保障の充実よりも軍事費増大に国家予算の大半を回すしかなかっという現実も忘れてはならない。両国は覇権国家であるために国民経済を蔑にして来たツケを払うことになるだろう。

 覇権国家であるためには膨大な軍事支出を常に行う必要がある。しかし軍事支出は浪費以外に何ものでもなく、国民にいかなる経済還元ももたらさない。しかも一旦兵器を装備したなら、半永久的に軍事機器の更新と新規開発に迫られる。「軍事開発技術の民生転用」という「いいわけ」が多々なされるが、その経済的効果は軍事支出に見合うモノでないことは明確だ。
 米国も世界の覇権国家であることに疲弊しきっている。米国は世界で展開していた軍事基地や空母艦隊を縮小・撤退させることに腐心している。そこでそれぞれの地域をそれぞれの主要同盟国に委ねて間接統治する体制へ転換しようとしている。その戦略上に安倍自公政権の「戦争法案」がある。

 しかしそれは日本が米国の隷属関係から脱却する好機である。むしろ日本は米国と対等な独立国家になる機会を得ていると解すべきだ。米国は東アジアで日本を必要としているが、日本は東アジアで米国をそれほど必要としていない。
 国連の安保理常任理事国として大きな顔をしている連中は父親や祖父の時代の戦争で現在の立場を獲得しているに過ぎないことを知るべきだ。一体いつまで親や祖父の七光りで大きな顔をしているつもりなのだろうか。

 国連は先の大戦後十年で、長くても二十年で大改組すべきだった。七十年も経って依然として「戦勝国面」をしている連中とは飛んでもなく無能な連中だ。いつまでもそうしたことが許されるはずもなく、絶えず動いている世界に対応して国連も構造的な変革を進んで行うべきだ。
 軍事覇権大国は経済大国でなければ膨大な軍事費を賄えない。しかし膨大な軍事費を賄うために、国民は常に犠牲にされることを忘れてはならない。米・中・露の国民は軍事大国でいることに満足を得るなら、国民として社会保障の充足を諦めなければならない。実際に、米・中・露の社会保障制度はいずれも日本より劣っている。日本は世界の軍事大国へ向けて、国民はそれでも満足なのか、と繰り返し繰り返し問い掛ければ良い。米・中・露の国民が国民の権利に覚醒すれば、世界の覇権国家もまた大きく変わらざるを得なくなる。日本は米国と軍事コミットするのではなく、むしろ突き放すことが大事だと知るべきだ。それが世界人類への貢献でもある。


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