日銀は誰のために存在するのか。

<日銀の黒田東彦総裁は21日、国内のインフレ率について、労働市場の引き締まりを背景に、向こう数カ月で相当加速するとの見通しを示した。講演後、質疑応答で述べた。
 また追加緩和の必要性については否定的な立場を示した。
 総裁は、インフレ率は現在、ゼロ近辺だが、今後数カ月にかなり加速し始める見込みと述べた。その上で、引き続き2016年度上期頃に2%の目標に達すると見通した。
 世界経済をめぐる懸念から原油価格が再び下落基調をたどり、国内インフレ率に下押し圧力がかかると不安視する声が高まっているが、総裁は先行きに楽観的な見方を示した>(以上「朝日新聞」より引用)

 かつて金融当局が主目的としたのは国民生活に資する「経済成長」と国民生活を苦しめる「インフレ退治」だった。その相反する政策目的のために日銀は金融の自律性を維持していた。
 しかし黒田総裁の日銀は深く安倍政権にコミットして安倍政治と日銀金融政策との一体化を公言してはばからない。インフレ・ターゲットを2%と掲げて、異次元金融緩和を実施することにより「円の価値を落とす」金融政策を実施した。それが円安となって現れ、国民生活を直撃する「消費者物価上昇」をもたらしている。

 日銀の異次元金融緩和策は輸出産業関連の企業収益改善には役だったかもしれないが、直接輸出に携わらない国内企業にとっては輸入素材の高騰により経営は悪化している。異次元金融緩和策はそうした光と影を国内企業に投げかけていることを知るべきだ。一様に企業収益の改善をもたらしていると考えるのは早計だ。
 そして国民生活においては長く続く実質的個人所得の低下により可処分所得の減少をもたらしている。経済成長なきインフレはスタグフレーションと呼ぶ悪性インフレのことだ。日本は悪性インフレに陥ろうとしている。

 アベノミクスは安倍政権成立以来二年半も実施されているにも拘らず、実質的な経済成長策は消化不良を起こしている大盤振る舞いの公共事業の他は皆無といって良いだろう。中身のない言葉だけのアベノミクスに国民は踊らされてきたが、もはや踊り疲れて苦しくなった生活の足元を見詰め始めた。
 マスメディアが隠し切れなくなった安倍政権の支持率低下の主原因は無謀な違憲の「戦争法案」にあるが、ジワリとアベノミクスの正体バレも響いているのではないだろうか。

 ここに到っても、日銀の黒田総裁が相も変わらずインフレターゲット2%に拘るというのは如何なものだろうか。国民生活と経済状況を金融面からしっかりと支援する日銀本来の金融の自立という役割に回帰すべきではないだろうか。
 政権とコミットした最悪の金融政策を一体いつまで日銀は続けるつもりだろうか。異次元金融緩和により市中より国債を買い続けるのはもはや限界に達している。輪転機を高速で回転させて、ジャブジャブに紙幣を垂れ流す政策は国民の富を毀損するだけのものだ。日本の大安売りを一体いつまで続けるつもりだろうか。アベノミクスという安倍政治の政策無策の誤魔化しにいつまで付き合えば良いと考えているのだろうか。


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