腐り切ったマスメディア。

 いかに安倍自公政権の「戦争法案」単独採決をテレビが伝えるかを視聴していたが、さすがは腐り切ったマスメディアだけはある。新聞記者上がりのご老齢の解説者は「政治は国民を守る義務がある。集団的自衛権で守れるか否かという話をいつまでやっても仕方ない」と愚かな発言をしていたし、元女子プロレスラーと結婚した医師がコメンテータとして出ていたが彼も「個別的なケースを幾ら話しても仕方ない。採決すべき時だった」と見当違いの解説をしていた。尤も、医師に憲法問題や政治問題をコメントさせるテレビ局のレベルも酷いものだ。あとはオヤマで稼いだ舞台俳優がトンチンカンな解説を感情的に行っていた。
 彼らに言えるのは「戦争法案」が憲法違反だという見解に対する明快な反論もなく、政治家なら委員会に出席して「反対討議すべきだ」という見当外れな視点だけだった。

 テレビが早速国民世論操作に乗り出したかと思わざるを得ない。ハゲの記者上がりの解説者が「民主党は対案を出すべきだ」と、壊れたレコードのように愚かなコメントを述べるに到っては「このバカヤロー」とテレビ画面に向かって叫ぶしかない。
 憲法違反の「戦争法案」に代案が出せるわけがないではないか。周辺事態法の縛りなき集団的自衛権を容認しなければならない差し迫った危機があったとしても、日本国憲法に従うべき国民としては「戦争法案」を認めるわけにはいかない。立憲主義国家として極めて当たり前の話ではないか。

 それを個別的な事例を挙げて「ボクちゃんがDQNに絡まれたら、アソウちゃんが助けてくれた、」といったバカバカしい例え話をしていたのは何処の誰だったか。そうしたことが憲法に書いてあるのか。
 憲法には「国際的な紛争の解決に武力を用いることを永久に放棄する」と書かれている。それがすべてだ。それに対して「助けに来てくれたアソウちゃんがDQNたちにやられているから、ボクちゃんも喧嘩に加わる、」といった話で国民「理解」を得ようとする類の話なのだろうか。

 米国は米国民の命が危機に瀕したからイラク進攻したのか。米国民の命に係わるからベトナムに侵攻してベトナム人を大量に殺害しジャングルに枯葉剤を大量散布したのだろうか。アフガンに侵攻しなければ米国民の命が危機に瀕していたから、米国はアフガンに侵攻してイスラム原理主義者たちを空爆したのだろうか。
 すべては「ノー」だ。米国は1%の利益のために屁理屈を付けて勝手に世界各国、各地へ軍隊を派遣して現地を破壊し現地住民を虐殺したのだ。その戦列に日本の自衛隊も加わるか否かの「戦争法案」を国会で決めようとしているのだ。これほど愚かな憲法違反を「民主党は対案を示せ」だの「いくら議論しても所詮は交わることはない」などといったバカなコメントしか出て来ないコメンテータを高いギャラを支払って並べるテレビ局とは一体なんだろうか。

 矮小化した枝葉末節の議論の迷路の中に誘い込む安倍氏の話術を援護して、さらに矮小化して憲法議論を覆い隠すテレビ局のあり方には怒りを覚える。腐り切ったマスメディアのあり方に、すべてのテレビ局は一遍潰れて、一から出直すべきではないかと思わざるを得ない。彼らは余りに甘い権力の蜜の味を知り過ぎてしまった。
 自分たちがテレビから追放した評論家たちを、テレビ画面に戻すべきだ。時の権力に噛みつかないマスメディアなどはお笑い芸人の楽屋話と食ログ番組を垂れ流すだけのものでしかない。そんなテレビが国民にとって必要か、だから若者はテレビ離れをしているのだ。


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