派遣業法の大幅規制緩和は戦後獲得してきた「労働者の権利」の歴史的な後退だ。

<衆院厚生労働委員会は12日、労働者派遣法改正案を巡って自民、公明、維新3党と民主、共産両党が激しく対立した。民主、共産は同委だけでなく、平和安全法制特別委員会などほかの4委員会も欠席。一方、維新は各委員会で審議に応じ、24日の会期末に向けて荒れる国会は、与野党を超えた「自・公・維」路線が目立ち始めている>(以上「毎日新聞」引用)

 維新の党は自民党の補完政党としての役割を遺憾なく発揮しているようだ。それのみならず、民主党と共同提案していた「同一労働同一賃金」法案も大幅に後退させたようだ。
 正規社員と非正規社員とで、同一労働に対して賃金が同一でなく格差があることは非正規労働者の貧困問題と大きく繋がっている。非正規労働者は雇用が不安定なだけでなく、賃金まで低く抑えられていて若者の非婚化として大きな問題になっている。

 どうやら自公与党と維新の党の国会議員は「国民の生活が第一」の政治を行うのではなく「投機家たちの最大利益が第一」の政治に邁進しているようだ。結果として日本の少子化に貢献し、日本を衰退へと導いている。反日政治家の最たるものだが、困ったことに彼らに「反日政治家」としての自覚がないばかりか、自分たちは愛国者だと思い込んでいる。
 自民党は終始一貫して大資本や投機家たちに奉仕する政治を実施してきた。その大資本の利益増大が適正な労働分配率により労働者に分配されていれば国民所得の増大に寄与しているのだが、現在のように非正規労働者を踏み台にして利益の最大化を図る無能な経営者が大きな顔をし、政治家たちがそれに奉仕する時代では国民が手にする労働分配率は低下するばかりだ。

 大資本が悪だというのではない。ただ適正な取り分はあるはずだ。企業の内部留保が260兆円を超えて最大化したり、経営者が数億円もの年俸を手にするなど、日本の従来の経営者の良識にふさわしくない「欧米化」が浸透しているのは危険な兆候だ。
 企業利益は労働者と経営者、それに治安も含めた社会環境などの協力により利益を手にしている、との経営者倫理が崩れ去って既に久しい。100億円もの豪邸を建てる下種な経営者をテレビが取り上げたり、昼飯に蕎麦を食べに信州へ東京から自家用ヘリで飛ぶのを「素晴らしい」と報じたりするのは愚の骨頂だが、テレビ制作者にそうした感覚がないのもこの国の病理の深刻さを示している。

 一社だけが労働環境を厳しくすれば労働者は集まらないが、全国的に企業すべてが労働水準を引き下げれば労働者は労働環境の悪い企業にも雇用を求めてやって来る。そうした国に日本をしようというのが採決しようとした派遣業法の大幅規制緩和であり、その実態は「派遣労働者の永続化」法案だ。こんなバカな法案に賛成する政治家を支持する国民がいることが信じられない。自らの首を締め上げることに等しいと有権者たちは気付かないのだろうか。
 経営者たちは労働分配率を引き下げて利益を確保する、という安易な経営手法をやめて、製品差別化や新規開発や労働生産性向上により利益拡大を図るという経営者本来の叡智を出すべきだし、叡智がないなら直ちに経営現場から身を退くことだ。それが日本のためになる。経営者などという人材は降る星のごとくいる。なぜなら「あなた」が経営者になれたのだから。

 政治家は「国民の生活が第一」の政治に邁進しよう。ゆめゆめ米国のためとかハゲ鷹のためとかに奉仕する政治家になってはならない。国家の根本は国民に他ならない。国民が不幸になる政治は誤った政治だ、という簡単な理屈だけで政策判断をすべきだ。そうすれば「戦争法案」も悪法だという結論は簡単に出るだろう。日本は誇り高く専守防衛に徹すべきだ。決して米国の手先になってはならない。


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