枝葉末節にこだわる「戦争法案」審議に国民は立憲主義の危険を感じている。

<副総裁の高村氏は自民党本部で記者団に次のように発言した。安全保障法制について、野党は「早く国会で審議しろ」と言っていたのに、いざ審議が始まると四の五のいって審議に応じようとしないのには憤りを感じる。実のある審議のために、唐突な質問は避けて細かい内容は事前に質問項目を出す、という慣行を民主党は破り、15年以上前の政府委員の答弁についていきなり岸田文雄外相に質問した。そんなことは事前通告が無ければ答えられるわけがない。テレビに大臣が戸惑った姿を映させて「一本取った」という、戦術だけうまい若い議員をみると、これからこの国の政治はどうなっていくのか末恐ろしい気がする。
 また、最高責任者である首相が国民に説明しようとすると「長い」「あなたに聞いていない」と言って邪魔する。「国民によく説明しろ」「国民が理解していない」と言っていた野党は、本当は「説明されたら困る」「理解されたら困る」と思っていると断ぜざるを得ない。責任野党なのであれば、しっかり中身で勝負してもらいたい>(以上「朝日新聞」引用)

 長い国会議員歴を有する自民党の副総裁が「戦争法案」が憲法違反で、この上なく日本を危険に陥れる法案だということがお解りでないのだろうか。日本が他国の戦争に巻き込まれることはない、と四の五のと言い逃れしているが、集団的自衛権で周辺事態法の縛りをなくせば世界の何処で「友軍」の戦争に巻き込まれるか予測不能だ。
 高村氏はつい先日の国会デキ質問で「自衛隊を派遣するケースとしてホルムズ海峡の機雷掃海以外に何がありますか」と安倍首相に聞き、極めて限定的だといわんばかりだった。しかし一旦派遣されればそこで何が起こるか想定を超えた事態に備えるのが「軍隊」の常識だ。機雷掃海が「平和維持活動」の一環であるかのような印象を国民に与えようとしているが、機雷を敷設することも重要な作戦の一部であって、それを掃海することは作戦に対する敵対行為として掃海艇が攻撃目標になることは充分に予測される。

 そもそも機雷掃海しか自衛隊を派遣する事態が考えられないというのなら「掃海艇派遣法」と限定した法案に差し替えて提出し直すべきだろう。大嘘の猿芝居を討っているのは自公与党の質問ではないだろうか。
 立憲主義に基づくこの国の政党が憲法違反の「周辺事態法」の縛りなき「集団的自衛権」を是認するとは狂気の沙汰だ。我が国と密接な国が攻撃された場合は日本も敵に対して攻撃できる、というのが集団的自衛権の骨子だ。つまり米国の戦争に日本も参加するということだ、しかも周辺事態法なき、世界の果てでも作戦可能になるということだ。それが国際紛争の解決に武力を用いないと定めた日本国憲法をいかに「解釈」したら容認されるのだろうか。自公国会議員と民主党と維新の党の一部国会議員はもう一度小学校に入り直して、国語を一から学ぶべきだ。なぜなら彼らの国語力には致命的な欠陥があるからだ。

 白を見て「黒」だという人とマトモな議論が出来ないのは言うまでもない。まずは言葉の定義からすべきだが、憲法の言葉の定義に関しては憲法学者がそれを生業としている。高村氏や安倍氏や自公国会議員諸氏は憲法学者の講義を拝聴すべきだ。
 政治家が勝手に「解釈改憲」する国が世界の何処にあるというのだろうか。もっとも憲法の上に共産党を位置付けている本末転倒な中共による中国政府があるにはあるが、そんなアベコベなジコチュー国家がいつまでも存続できるとは思えない。すべからく国家に箍を嵌める憲法を最高法規として法律に基づく国家統治体制が現代国家論の常識だ。しかし日本は「戦争法案」によりその常識から逸脱しようとしている。これこそ日本の国家的危機といわずして何だろうか。国家の敵は外にではなく、まさしく国内にこそいるのだ。


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