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 経済を静態的に考えれば増税すれば税収が増える。だが経済は生き物で日々変化している。日本では経済の主力エンジンは個人消費で約半分に達している。第二のエンジンは企業などの設備投資で約20%を占める。そして貿易が14%程度で残りの10%程度が政府財政支出だ。
 本来なら経済成長を促すには個人消費を刺激する政策を採るべきだが、日本の政府は長年個人消費環境を破壊する政策を推進し、評論家たちもそれが良いことであると囃し立てた。つまり企業の海外移転を促進するという、国内産業の空洞化に政府とマスメディアは狂奔していた。

 確かに労働賃金の安い海外へ生産設備を移転すれば企業収益は増加するだろう。しかし、それは企業が儲けたのであって日本国民が儲けたのではない。従って日本の勤労所得はここ20年一向に改善されていない。
 それが廻り回って日本の若者の婚姻率の低下となり少子社会に陥っている。人手は余っているが、安い賃金では人手が集まらない介護などに安倍氏は労働移民を、と主張し始めている。それはさらに日本国民の所得を引き下げ根要因でしかない。

 欧州にスイスという国がある。人口は787万人程度の小さな国だ。しかしGDPは6504億ドルで一人当たりGDPは53,977ドルだ。ちなみに日本のGDPは4兆8460億ドルで一人当たりGDPは38,053ドルだ。一目瞭然で、一人当たりGDPはスイスの方が勝っている。
 スイスは世界的に高名な企業が何社かあるが、それらの多くは国内に留まり外国へ生産部門を移転したりしない。国内の伝統的な職人技の手工業を頑なに守り、外国人の移民すら頑固に拒否している。

 スイスが小さな国だから可能なのだ、というムキがいるが、それなら日本を「道州制」と考えるならスイスに相当する人口規模になるだろう。何か国かのスイスが集まって日本を形成している、と考えてはどうだろうか。
 それならそれぞれの道州に伝統的な職人技の手工業があり高齢な職人たちがまだ残っている。それらの道州を基本とした国造りを日本政府は考えるべきだ。それぞれの地方が元気にならなければ全体としての日本の活力は蘇らないだろう。若者の東京・首都圏への供給基地となっていた地方が衰退しては東京はたちまち高齢化社会に転落する。現実にそうなりつつある。

 スイスといえば「堅牢な国防による永世中立国」だというイメージがある。が、現実は職業軍人は僅かに4,000人に過ぎず、予備役の210,000人がカバーしている。日本に例えれば自衛隊の職業軍人が全国に散らばり、それぞれの都道府県に200,000人規模の予備役が訓練していると考えればイメージがスイスと合致するだろう。
 国防は職業軍人だけの問題ではなく、成年男子すべての問題だ。すべての国民の成年男子には年間数日の軍事訓練が課せられている。スイスは険峻な山岳が欧州諸国からの侵攻に対する防塁柵となっているが、日本は四方を海に囲まれ、それが自然の防塁柵となっている。その点でも酷似している。

 増税に血眼のなっている財務官僚に経済政策を任せてはならない。彼らは権力の源泉たる歳入を確保したいだけだ。それよりも個人への減税を実施して、個人消費を伸ばす方がどんなに景気回復に資するだろうか。
 その個人消費の源泉はいうまでもなく安定的な雇用だ。雇用の確保なくして個人消費が伸びるわけがない。企業の海外移転を図るなどといった誤った政策に狂奔してきた政府・官僚たちは考えを改めるべきだ。国内へ回帰させるべくUターン投資減税は必ず国内生産を回復させ、国内景気を回復させる切り札になる。増税による税収増を図るのではついには国民は窒息してしまう。減税をして国民消費を図るのが最善の策だ。そのための企業政策はいかにあるべきかを考えるべきで、企業がまずありきで、そのための雇用環境はどうあるべきかを考えている現政府・官僚たちの手法では決して経済は成長しないし景気は回復しないと断言する。


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