乳幼児への「未来への投資」を怠るな。

<全国の保育所で2004〜14年に起きた事故で、少なくとも163人の子どもが死亡したことが5日、厚生労働省のまとめで分かった。年齢別では0歳児が半数を占め、認可外保育施設での事故が約7割に上った。子どもが睡眠中のケースが多かった。
 施設別内訳は、認可保育所が50人、認可外が113人。年齢別では0歳児が83人だった。
 国は4月から新制度に移行した保育所や幼稚園、認定こども園に対し、市区町村への事故報告を義務付けた。認可外保育所や一時預かり事業などにも報告を求めるとしているが、法的な義務はない>(以上『徳島新聞』引用)

 国は女性参画社会を加速し、働く女性を増やし、役員の30%を女性にするよう義務付ける法制化すら視野に入れている。しかし子育て支援の体制は必ずしも整っているとはいえない。
 日本では未だに「育児や家事は女性が担当するもの」とする風潮が強く、婚姻関係にある働く女性の負担は大きい。それが若い女性が結婚に踏み切れない原因の一つになっている。育児の一端を施設で担って、女性の社会参画を助成しようとするのが保育園の存在だが、そこで死亡事故が報告されたものだけで2004年から10年間で163人もあったというのは由々しき問題だ。

 詳細な死亡原因は報告されていないが、その多くは0才児で睡眠時間に集中しているという。つまり睡眠したことにより保育士たちの目が乳児から離れた間に死亡事故が起こっていることになる。
 乳幼児から目を離すのは危険だ。彼らは何をするか解らないし、うつぶせ寝をした場合に呼吸を確保するのが困難な場合に、筋力などの未熟からそれを自らの力で状況をうまく改善できない時がある。それを察知して体の状態を変えなければ乳児は窒息して命を落とすことがある。

 施設を増やしたところで、保育士の確保が困難な現実がある。なぜ困難かといえば、仕事に見合った報酬が支払われていないからだ。二歳児で概ね10㎏を超えるが、そうした子供を抱き上げるのはかなりの重労働だ。1才児でも数㎏に達するため、若い保育士が腰痛に悩まされているとはよく聞く話だ。
 しかも片時も目の離せない緊張を強いられる責任の重い仕事に対して、支払われる報酬は見合っているだろうか。平均勤労者年収409万円の半分にも満たない報酬で働く保育士はザラにいる。それで政府は「女性参画事業を強力に推進している」と胸を張っていえるのだろうか。

 まずは保育園の増設もしかりだが、それ以上に保育士の確保のために報酬を引き揚げて「人材」を確保すべきだ。認可、無認可、の区別なく、保育士の確保を義務付け、それに見合った措置費を差別なく支給すべきだ。そして保育事業に対して保育士から直接行政に内部告発する体制を作って、内部告発を奨励することにより悪質な保育事業者を業界から追放する措置を講じるべきだ。
 長年保育事業を経営しているから、という事業者の驕りを許してはならず、自信からくる怠慢を戒めるためにも保育士が保育施設に縛られた存在ではなく、行政によって直接雇用される体制へ移行すべきだ。そうした強力な保育行政なくしては不慮の事故による乳幼児の施設内死亡事故は後を絶たないのではないだろうか。


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