厚労省の各種資格の統合は望ましいが、

<厚生労働省は少子高齢化と人口減で人手不足が懸念されている福祉人材の確保に向け、介護福祉士や保育士などの資格を一本化する検討に入った。戦後ベビーブームの「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年以降を見据えた動きで、介護施設と保育施設などを一つにまとめて運営できるようにすることも考えている。近く省内に検討チームを発足させ、利点や課題を整理する>(以上「毎日新聞」引用)

 厚労省で資格の一本化の動きがあるのは良いことだ。資格が制定された経緯は同一省内でも部局ごとに設置された経緯があって、部局の利権化していた。同一省内での一本化といわず、省庁を超えた一本化が望まれる。
 たとえば幼児教諭と保育士とどれだけ異なるというのだろうか。同じ幼児を対象とした人材育成でどれほど分ける必然性があるというのだろうか。官僚による官僚のための行政に長年切り込めないできた政治家諸氏も少しは反省してはどうだろうか。

 しかし果たして人手不足は資格の一本化で防げるだろうか。有資格者で離職している割合が高いのに鑑みれば、資格の一本化による効果は極めて限定的だと思われる。
 むしろ人で不足を招いている主原因は制度事業にある「給与表」に定められる有資格者に対する給与が余りに低いことにあるといわなければならない。乳幼児や要介護の高齢者に接する極めて責任の重い、体力的にも過酷な労働を強いられているにも拘らず、給与が低いのは問題だ。

 手取りで月額20万円を超えない有資格者たちとは一体なんだろうか。彼らは社会的に必要な職種と認識されているにも拘わらず、それに見合った給与を保障されていない。公務員が平均年収670万円と不当に高額報酬なのに比較して、彼らの置かれている労働環境は過酷なほどに劣悪だ。
 腰痛を経験していない介護士はいないし、肩や腰の痛みに悩まされていない幼児教諭や保育士を知らない。まさしく人手がなければ生存すら困難な人たちに日々接する彼らに官僚たちは尊敬の念を抱いているのだろうか。それとも人手は消耗品だとでも思っているのだろうか。

 なぜ自分たちの「等級号俸制」の給与表をそのまま介護士や保育士や幼児教諭たちに適用しないのだろうか。それとも「有資格従事者」たちは公務員よりは一段と低い単純労働者たちだと蔑んでいるのだろうか。
 制度事業に定める「有資格者」たちは福祉関係だけではない。各地の商工会議所や商工会に勤務する「経営指導者」たちもそうだ。彼らは中小企業庁から業務を委任されている。それにも拘らず彼らが受け取る給与は同年齢同経験年数の公務員以下だ。そうした差別をなぜ官僚たちは平気で行うのだろうか。

 資格を細分化して資格ごとに特殊法人を設置し、資格団体を形成して研修と称する大動員を行う。それが必ずしも悪いとは言わないが、資格制度維持のための年中行事はゾッとしない。
 それよりも待遇を自分たちと同じ「公務員並み」にすることだ。そうすれば人手不足に頭を悩ますことはない。大学の福祉関係学部に志願者が殺到するだろうし、介護士の短期離職に事業者が悩むこともなくなるだろう。問題の本質を見ずして、枝葉末節に拘るとは、いかにも官僚的だが。


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