政府は企業の国内回帰に積極的な支援をせよ。

「恒産なくして、恒心なし」とは孟子の言葉だ。意味は安定的な職がなければ人心は荒廃する、ということだが、さらに進めて「恒心」とは安定した人心と解釈し、安定した人心により地域社会が安定し人々が安心して暮らせる社会、という意味に捉えたい。
 つまり「恒産」がなければ「恒心」もあり得ないということだ。ただし、この場合の「恒産」とは商業施設などの消費産業のことではない。モノ造りにより価値を創造し安定的な給料を手にする仕事のことだ。

 政府は地域創生で地方自治体に補助金を配るからメニューを提出せよと尻を叩いている。すると地方自治体は圧力団体と化している駅前商店街の要請に押されて、一度は頓挫した二十年前に策定した「中心市街地活性化事業」の管制コンサル会社が作文した「活性化策」に厚化粧を施して再び提出しようとしている。
 なにも駅前商店街を批判するつもりはない。ただ駅前商店街がいかに厚化粧を施しても、所詮は消費経済の塊でしかないということだ。地方創生とはかけ離れた郊外型商業施設と客の奪い合いを演じるだけでしかない。地方創生に欠かせないのは空洞化した地方のモノ造りを再び蘇えらせることでしかあり得ないということだ。

 最盛期、日本から中国へ6万社もの企業が生産工場などを移転させていた。それを煽ったのは政府であり、日経などのマスメディアだった。恰も中国の安くて豊富な労働力を利用しない経営者は無能だと決めつけるような特集を何度も流して経営者たちを籠絡した。
 結果として国内からゴソッと雇用の場が失われ、新卒者たちの就職困難は当たり前のようになってしまった。その影響をモロに被ったのが地方だ。「恒産なくして恒心なし」の言葉通りに、若者たちは地方に見切りをつけて地方の人口減は深刻な事態になった。

 そうした流れに最初に抗した大企業はトヨタ自動車だった。トヨタ社長が国内に100億円を超える投資をして新規製造工場を建設するに際して「海外の労働力が1/3なら、三倍の生産効率の工場を作れば良いだけだ」と従業員を叱咤激励した。
 まさしくその通りだし、勤勉にして向上心に富む日本国民は匠の工業技術を継承し、さらに技術を磨き製品価値を高める。改めて「企業は人なり」を心に刻んだパナソニックなどの企業経営者たちが国内回帰を決断し始めた。しかし政府はその流れを打ち消すように東南アジアへ進出する企業の手助けをしている。一体、日本政府は国民の生活が第一の政治がいかなるものか理解しているのだろうか。

 地方を創生するのは駅前商店街の厚化粧ではない。地方へ企業が回帰することだ。そのためにUターン投資減税や必要な資金の定率有姿などの支援策を用意することだ。
 雇用がなければ若者が地方へ帰ろうにも帰れない。一次産業で吸収できる雇用は数が知れている。長期的に安定的な給料をもたらす製造業が地方に数多く展開することがすなわち地方創生の原点だ。そのことを肝に銘じてマスメディアに携わる言論人は企業経営者に働きかけるべきだ。ゆめゆめ中国のエージェントと化した言論人たちの先輩を真似ないことだ。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。