地方創生の原動力は企業のUターンだ。

 地方はなぜ衰退しているのか、理由は簡単だ。若者が流出しているからだ。だから子供たちが地域からいなくなり、人口減少絵が加速度的に進行しているのだ。
 人口減社会は悲劇的だ。地方に暮らせばいかに悲惨化は肌身に染みて良く解る。

 それは地域社会の崩壊から始まる。人が少なくなるとバスの便数が激減し、かろうじて過疎地バス補助金で一日に数便走るだけで、それでは地域住民が頼る足にはなり得ない。
 そしていつの間にか農協の支署が撤退し、小学校が休校や廃校となり、地域の核となる施設が姿を消す。残されるのは老人世帯と独居老人、それに廃屋だけだ。

 中山間地域が荒廃すると山林に手が入らなくなって荒れ果て、水源地帯が保水力を失ってしまう。保水力が無くなれば旱魃に弱いだけでなく、豪雨に際して一時的に水を溜め込む能力も無くなってしまう。豪雨災害がなぜ多いのか、それは山が荒れているのにも一因がある。
 山が荒れれば川の自然も削ぎ落とされ、流れ込む海も豊饒な養分で満たされなくなる。自然は見事に関連している。それは人の営みも同じだ。地方が衰退すれば、やがて都市部に供給される人材も細り、都市も衰退し始める。

 根拠もなく2030年には人口減少を止めて1億人を確保する、などと楽観的な見通しを首相が語ってはならない。その言葉の吐いた同じ口で派遣の規制緩和だとほざく。
「恒産なくして恒心なし」とは良くいったものだ。まず安定した職があってこそ、人は安定して思考ができ、安定した家庭が築ける。派遣でいつ馘になるか明日も判らない稼ぎを当てに、人は所帯を持って子育てをする気になるだろうか。

 田中角栄総理の下で、列島改造に乗って全国各地に工場や企業が進出した。都市部も地方も等しく発展すれば、日本は決して狭くない、というのが田中角栄氏の持論だった。それは稀代の政治家により地方が輝きを取り戻した一瞬だった。
 それ以降は政治家は官僚の下請け機関の宣伝マンに堕落し、御用経済評論家たちは反日的にグローバル化を唱え、「短期的利益」を追求すべきと経営者たちを洗脳した。それにより地方に展開されていた生産施設などが海外移転へ加速度的に促進された。地方の衰退が決定的になった。

 地方自治体の合併促進と農協などの合併再編により、地方の小さな自治体や集落は切り捨てられた。不要なのは小さな町村ではなく、地方支配の中二階に位置している都道府県なのだが、彼らが大きな予算や権限を握っているためマスメディアは一向に攻撃しない。都道府県が無くなって、本当に困る市町村があるだろうか。
 全国に1000程度に減った市町村を国が一元管理できないとは思えない。なぜならコンビニあたりは全国に万を超える支店やフランチャイズを一元管理しているではないか。都道府県が抱え込んでいる機能と人材を市町村に割り当てれば良いだろう。

 地方を創生するにはまず雇用の場を確保することだ。Uターンにより企業が国内回帰すれば「故郷で働こうよ」という窓口を都市の職業安定所に設置すれば良い。安定した職場があれば働く人は集まるはずだ。
 とりあえず住む場所は「古民家」に少し手を入れればいくらでもある。それくらいの補助金は地方自治体でも出せるだろう。まず国はUターン投資減税を実施すべきだ。馬鹿な経済評論家たちは「中国の次は東南アジアだ」と焼き畑農業的無責任経営を経営者に吹き込まないことだ。製造現場こそが企業活動の原動力という基礎を忘れた企業には衰退があるのみだ。むしろ本社や研究開発部門は地方の生産の場に移すべきだ。そうした発想の転換をしない限り、日本のモノづくりの復活はあり得ないだろう。


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