「引籠り」は疾患の一種だと認識して、行政が積極的に対応すべきだ。

 和歌山県で小学五年生が自宅隣の空き地で惨殺された事件はそこから70メートルの距離に住む22才の男が容疑者として逮捕された。平日の昼間にたびたび「不審者」として目撃されていた男の部屋には複数の刃物があったという。
 その男は平日近所をうろついたり、河原で模造刀のようなものを振り回したりしていたそうだ。明らかに不審な振る舞いを目撃されていた男が社会の一員として組み入れられることなく「引籠り」だったとしたら、男の心の闇は深かったのだろうか。

<県警によると、司法解剖の結果、遺体には計約10カ所の傷があった。死因は心臓を刺されたことによる失血死で、鋭利な刃物で刺された可能性があるという。頭頂部にも傷があり、損傷状況から重みのある鈍器が使われたとみている。
 森田君を襲ったとみられる男を目撃した近所の男性は「刃物のようなものを左手に二つ持っていたと思う」と県警に説明し、いずれも柄の部分が長かったという。県警は胸と頭の傷の状態の違いや男性の証言から、森田君が複数の凶器で襲われたとみている>(<>内「朝日新聞」引用)

 しばしば凶悪な殺人事件に「引籠り」などの社会人としてドロップアウトした人物が登場する。もちろん全国に60万人いるとされる「引籠り」や「ニート」などのすべてが犯罪予備軍とはいわないが、彼らは何らかの鬱屈した暗いものを心に抱えているのは間違いないだろう。
 それが反社会的な行動への動機に繋がるのか、それとも各種芸術活動へ昇華されるのか、それは個人個人の資質と共に家庭や社会環境によるところも大きいだろう。一度しかない人生の最も輝く青年から壮年期にかけて、家の中に「引籠り」社会と断絶した暮らしを送り、歳月を経てそれがどんなに大きな損失だったかを知った時には遅い。

 その反面、企業の側にも「職歴なし」の人物採用を躊躇する風潮があるのも確かだ。出来るだけ少ない研修期間で即戦力であること、顧客に対する接し方は勿論のこと職場の人間関係も構築できることなどが「引籠り」には出来ないのではないかという危惧があるからだ。
 いわゆる「コミショウ」を企業は嫌う。しかし「引籠り」の大きな要因を占めるのが自己表現の苦手な「コミショウ」なのだ。だから「引籠り」を社会参加させるにはまず「コミショウ」対策から始めなければならない。ここに行政の出番がある。

 いわゆる職業訓練校だけではなく、行政は「コミショウ」が社会参加出来るように「助走役」を勤める必要がある。たとえば補助金を出している駅前喫茶などの店員として一定期間雇用するとか、役場の臨時職員としてロビーで窓口案内をするとか、補助金を出してスーパー等に雇用してもらって、老人や妊産婦や障害者などの買物荷物を車まで運ぶとか、人と触れ合い「賃金」を手にする様々な機会を用意することだ。
 かつて警察が地域巡回して地域の家庭状況や人間動態を把握していた。今後は行政が住民票に基づき地域住民の把握をする必要がある。そして「引籠り」を社会人に引っ張り出す役目を担うべきだ。まずは地域の「引籠り」はその家庭の個々人の問題だという観念を捨てることだ。なぜなら22才の「不審人物」は当たり前なら社会人として職場仲間と溌剌と働いているはずだったからだ。


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