「やられたら、やり返せ」でテロは撲滅できない。

<菅官房長官は12日の記者会見で、オバマ米大統領がイスラム過激派組織「イスラム国」掃討作戦で限定的な地上作戦を行うため、武力行使承認決議案を米議会に提示したことについて、「日本は米国を含む国際社会のイスラム国に対抗する取り組みを一貫して支持してきている」と明言した>(以上「読売新聞」引用)
 日本は米国と同盟関係にあるが、それは「日米安保条約」を軸としたもので、米国と世界規模の軍事紛争に関して「安保条約」を締結しているわけではない。しかし安倍自公政権は「日米同盟」を梃子にして、中東の「イスラム国」を地上軍を投入して叩こうとする米国を支援するという。

 そもそも今回の「イスラム国」騒動の源はフセインのイラクを「多国籍軍」で軍事侵攻した米国の失敗にある。実際には存在しなかったと証明された「大量破壊兵器」をフセインが保持しているとのCIA謀略情報に基づいて、米国は仲間に呼びかけて「多国籍軍」を構成し、フセインのイラクに雪崩れ込んでフセイン政権を倒した。
 しかし、それがイラクの平和をもたらすことはなく、米国は長らく米軍をイラクに貼り付けなければならなかった。やっと撤退の段階に到り、撤退するや「イスラム国」がシリアに勃興し、イラクに攻め込んだ。「イスラム国」の幹部にはフセイン政権当時の軍幹部が多数就任しているという。彼らは米国との戦いに敗れ、イラクを追われた連中だ。

 そこにスンニ派とシーア派というイスラムの宗派対立と、中東に特有な部族対立が影を落として複雑な様相を呈している。再び中東が安定化するには長い歳月が必要とされるのは火を見るよりも明らかだ。
 日本のような単一民族国家ですら16世紀の百年間は「戦国時代」だった。欧州もゲルマン民族の大移動から始まり、中世の近代国家樹立までは戦乱の明け暮れだった。
 一つの価値観から次の価値観へ大衆の観念が変化し、社会制度が移行するときには戦乱がつきものだ。人類の叡智とはその程度のモノだ。叡智が人類の果てしない欲望を抑え込んで、世界を叡智が支配する時代を人類はこれまで一度も迎えたことがない。

 たかだか百年にも満たない人生の中で、人は物欲や色欲を募らせて他人よりも一歩でも先んじようとする欲望に身を委ねて様々な戦いに明け暮れる。たとえ政権に就いたところで多くは十年以内に過ぎず稀に独裁政権を樹立したにしても数十年のことに過ぎない。
 その間の「絶頂期」を満喫するために多くの国民や地域の民を苦しめて、一体それが何になるというのだろうか。そうした形而上学的な「教え」を説くのが「宗教」の仕事だったはずだ。しかし、現代では宗教すらも「宗教家」たちが他人よりもより良い暮らしを送るための道具と化している。

 釈迦の逆鱗に触れそうな独善的な「教義」を振りかざして信者を囲い込み、ついには政権与党の政治家たちを抱えるほどになった新興宗教がこの文明社会の日本にすら存在する「精神文化の貧困さ」を見れば、現実生活で貧困にあえぐ中東の民が似非・イスラム教の指導者たちに惑わされて銃を手に取り、他宗派やキリスト教徒たちを虐殺しても不思議なことではあるまい。
 確かに不条理なことだが、人の存在そのものが不条理の塊だ。様々な見栄や物欲や色欲に身を委ねて、あるいはそうした欲望を掻き立てて商売の道具に使う「マンション業者」や「車業者」たちがいるのも、人に果てしない欲望があってこそ成り立つといえる。テレビでコマーシャルを流すのも欲望を掻き立てるための手段に過ぎない。

 安倍氏は中東に人道援助をさらに行うという。それは本当に人道援助なのか、それとも安倍氏の果てしない権勢欲を充足する手立てに過ぎないのか。拡大解釈され続ける「日米安保条約」に基づく「日米軍事同盟関係」という文言を、誰かが本来の意味と範囲に引き戻さなければ、日本は再び世界を股にかけて戦争をする国に逆戻りしかねない。
 あくまでも「日米安保条約」は日本の安全保障のための条約であって、中東へ出掛けて行って殺された二人には申し訳ないが、危険地帯へ足を踏み込んで邦人が二名殺害されたからといって、日本の安全が脅かされたわけではない。それでも安倍氏は「有志連合」に参加してテロを撲滅するという。誰か安倍氏にカービン銃を持たせて、中東へ送り出してやってくれないか。日本の国家と国民の安全のためにはそうする方が良いとは誰も思わないのだろうか。


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