国民の公的負担割合43.4%とは。

 財務省が27年度の国民の公的負担率予測を43.4%と発表した。昨年度が41.6%で最高負担率を記録したが、27年度は消費増税などがあったため、過去最大の負担率になりそうだとしている。
 いうまで゛もなく、国民の公的負担率とは個人収入に対する税や社会保障の保険料など、各種公的負担金の占める割合を示したものだ。ただ、財務省は莫大な公債残高を「未来の国民負担」としてカウントした場合には50.8%になり、そのギャップをいかにして埋めるかが問題だと提起している。

 いかにも理路整然とした「国民への公的負担割合」を更に増やす根拠として財務省はそうした数字を発表しているのだろうが、国民に対して誠実にして公平な発表の仕方とはいえない。なぜなら隠している事実が他にあるからだ。
 この国の公的会計が複式簿記でないために国民に見えなくなっているが、会社などの決算書では必ず借方の長・短借入金に対応して貸方に長・短貸付金などの資産が計上してある。
 国家の会計を複式簿記にして作り変えたなら資産の部に「為替特会」や「外国債券」などの資産も当然計上されていて、借入金との見合いとしてみるだけで理解できるようになっている。それが会計実態を表す財務諸表の使命だ。

 約1000兆円ある借入金(国債残高)に対して特会や外国債券(殆どは米国債だ)などの資産は約700兆円あるといわれている。その額は米国の約3倍に相当する。日本の財務省がそれほど多額の資産を保持する必要性はない。特に為替介入をしないことにした為替特会は崩して公債の償還に使えば良い。
 更に円高の折に買い入れた米国債を「利食い」のために一時売却すれば軽く20兆円は利益が出る。そして民間企業には関連企業の連結決算を命じているのだから、国も関連法人と連結決算をするなら、日銀の株の過半数は国が持っているため当然日銀の資産と仏伊をすべて合体させることになる。そうすれば日銀が異次元金融緩和で大量に市中金融機関などから買い入れた国債残高は200兆円を超えるため、連結決算後の国の国債残高はゼロになるのだ。

 財務省が発表する自分たちに都合の良い数字に国民は誤魔化されてはならない。そもそも国民の公的負担割合を国際比較すること自体がナンセンスだ。財務官僚や御用経済評論家たちは日本の公的負担割合が欧州諸国の平均45%と比較して低いことから「まだまだ国民負担を増やしても良い」などと比較する土俵が異なることに言及しないで無責任な論評を垂れ流している。
 比較すべきは国民の公的負担割合から公的機関から国民に給付される公的給付割合を控除した純・国民公的負担割合でなければならない。日本の純・公的負担割合は昨年度で17%台だったにの対して、欧州諸国は押し並べて14%台だったことを考慮すべきだ。まさしく日本は重税国家だという現実を国民は認識すべきだ。

 様々なレトリックを用いて、財務官僚は国民から剥ぎ取ろうとしている。決して自分たちの持ち札を国民に見せずに、近々マイナンバー制度により国民の懐に直接手を突っ込もうとしている。なぜ経済学者たちは公的会計を複式簿記に改めるべきだと声を上げないのだろうか。この国にまともな学者はいるのだろうか。テレビなどに「教授」などの肩書で登場する連中でまともにこの国の実態を国民に伝えようとする者は殆ど見られない。いるのは財務官僚ヨイショの幇間ばかりだ。
 国民も財務官僚の広報機関たるテレビなどが国債残高が1000億円を超えたから次世代にツケを残さないために消費増税もやむなし、との報道に日々接しているうちに「ソウナンダ」と思い込んで思考停止に陥ってしまう。

 この国の自主独立の気概が微塵も見られないマスメディアにはウンザリだ。財務省が国民の公的負担割合を発表すれば、その数字の裏にはこれほどの問題があることを併せて報道すべきと思うが、いかがだろうか。


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