10-12月期GDPは対前期比年率換算2.2%のプラスになったが、

 政府速報値では10-12月期で対前月比年率換算2.2%増となった。ただ間違ってならないのは対前月比でプラスになっただけで、4-6月期で落ち込んだ年率換算7.9%の段階まで回復したに過ぎないということだ。
 その中で深刻なのは個人消費で、個人消費増の前提となる勤労者所得の実質増は実現されず、実質減が依然として続いている。安倍氏が企業経営者を前に冬季ボーナスを奮発するように行脚していたが、所詮はパフォーマンスに過ぎなかったということだ。

 国会で民主党代表の岡田氏の「格差が広がっているのではないか」との質問に対して、安倍氏は「正規雇用が増えている」と実際とは真逆の答弁をしていた。この一年間、雇用そのものは100万人分増えているが、同期間の非正規雇用の増加は120万人で、正規雇用は20万人の減となっている。
 格差は確実に拡大しているが、岡田氏の勉強不足なのか、彼は重ねて切り込むこともなく安倍氏の間違った答弁のまま論戦は終わっている。政治家の、とりわけ野党政治家の勉強不足には唖然とする。

 10-12月期GDPを対前月期比増に転じた原因のほとんどは原油価格の低下だった。原油はあらゆる産業で消費される基礎素材であり、エネルギー源の根幹をなすものだ。その価格が低下したのは大きく、本来ならもっと大幅なプラス効果があったはずだ。
 しかし家庭消費支出は相変わらず低調で、特に新規住宅投資は対前期比マイナス1.2%と未だに下げ止まっていない。消費増税の影響は大きく、2014年度GDPはマイナスになるのは確実で、リーマンショック以来のマイナス成長となる。この事実を安倍自公政権はどのように受け止めているのだろうか。

 官僚組織は国家のために働くのだろうが、政治は国家のためにあるのではない。国民の生活のためにこそ政治はある。だから世界の多くの国が民主主義を国の政治形態に採用している。
 民主主義が健全に機能していれば「国民の生活が第一」の政治が実現されるはずだ。しかしこの国の政治は国家が国民生活よりも優先され、国民の健康被害抑止よりも原子力ムラの住民たちの利益を優先する政治が罷り通っている。

 なぜそうしたことになるのか。マスメディアが事実を国民に伝えてないからだ。国民が事実を知らないから間違った政治選択をしてしまうのだ。
 昨夜のテレビで安倍氏個人をアゲる番組があった。多くの「功成り名を遂げた」人たちのそのきっかけとなった人との出会いや言葉などを紹介する極めて個人的な他愛ない番組だが、なぜそこに安倍氏を登場させたのだろうか。そしてオファーを受けた官邸はなぜ現役の総理大臣はマスメディアと一線を画すべきとして、出演を辞退しなかったのだろうか。この国のマスメディアは政権に対して「電波芸者」を演じている。その自らの姿を見て、テレビ局経営幹部や現場責任者たちは恥ずかしくはないのだろうか。なんというみっともないこの国のマスメディアだろうか。

 一年程度で消費増税ショックは終わらない。確かに10-12月期は対前期比でプラスに転じたが、その要因は神風ともいうべき原油価格の半減による。本来なら日本経済は大きく生産活動を拡大しているはずだ。
 それが正規雇用の拡大につながり、雇用環境は確実にプラスに転じていたはずだ。安倍自公政権発足と同時にUターン投資減税を実施していたなら、高生産効率の新規生産ラインが稼働し、円安と相まって貿易輸出を増大させているはずだ。しかし安倍自公政権は口先で勇ましく「成長戦略」だの「アベノミクス」だのと喚くだけで、実質的な経済戦略は何も手を打っていない。ただ古典的な政府支出の公共事業をジャブジャブにして土木工事と建築単価を引き上げているだけだ。なんという無能にして無様な政権だろうか。

 原油価格半減という神風が吹いて日本経済はスタグフレーションに陥る寸前で踏みとどまっている。ただ輸入に頼る食料品の価格高騰はいかんともしがたく、ここでも企業に優しく個人に厳しい経済環境に傾いている。
 GDPの主力エンジンたる個人消費の回復なくして景気改善はあり得ない。今国会の施政方針演説で、安倍氏は「アベノミクス」という文言は一度しか発しなかった。その代り「改革」という言葉は36回も発したという。実態のないスローガンに過ぎないアベノミクスという言葉は着古した襤褸として脱ぎ捨てたのだろうか。そのことに関したこの国のマスメディアは何も論評していない。


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