公務員の年金は高くないキャリアだけ

 全国にはゴマンと限界集落がある。いや、住民の過半数が65歳以上などという生易しい状態ではない。滅びる寸前の集落が日本全国には無数にある。
 しかし行政は平成の大合併で「行政の効率化」というマヤカシの政策により、行政機構の効率化ではなく、周辺行政の切り捨てと一極集中化を推進してきた。かつては村や町のあった周辺行政の中枢機能を合併により村や町をなくして、中枢機能「自ら考えて自ら実行する」という自治体として当たり前のことすら周辺集落から奪い取ってしまった。

 地方へドライブしたならそのついでに脇道へそれて、車で中山間地や寒漁村を走っていただきたい。すると耕作放棄地や棟の崩れ落ちた廃屋が目に入るはずだ。
 日本はまさしく地方から荒廃している。その根本原因は「人がいなくなった」からだ。次世代として集落を維持していく人たちが都会へと出て行ったからだ。

 もちろん、日本人には居住の自由がある。何処に居住して何処で働こうと人からとやかくいわれる筋合いではない。地方から若者が都会へと進学し、就職して行ったとして個人に責任があろうはずがない。
 しかし荒れ果てる地方を立て直すには人がそこで暮らすしかない。既に都会で暮らしの拠点を築いた人たちに「郷里へ帰れ」と強要することはできない。それなら現在生活の拠点を家庭に閉じ籠る以外に持っていない人たちこそ地方へ移住して頂きたい。

 地方への移住条件は何もない。経験は勿論のこと、学歴も必要ない。ただ生きて働こうとする意志さえあれば良い。
 確かに地方へ移住する方途は見当たらないし、何処へ相談して良いか解らないかも知れない。それは国の問題でもないし、霞ヶ関の官僚たちの問題でもない。
 それは地方自治体の問題だ。市長や市議会議員の問題でもあるが、何よりも地方自治体公務員の問題だ。彼らが地方の問題を真摯に考えていないのが問題だ。

 ただテレビでは定年退職者たちが年金を手にして田舎暮らしをのんびりと自在に楽しんでいるライフスタイルを讃歌しているが、田舎暮らしをエンジョイする「お客さん」の「喫茶店ごっこ」や「蕎麦屋さんごっこ」や』陶芸家ごっこ」を夢想してもらっては困る。
 日本は緑に覆われた豊かな山野に恵まれている。ただし、この豊ら緑が厄介なのだ。西日本では放置すれば山全体に蔓延る蔓や竹林との戦いから始まる。だから地方へ移住する条件は「自分の足で立って生きる」意欲だ。

 安倍政権は「地方創生」で30万人の雇用を創るといっている。しかし雇用は政府が作るのではない。企業が地域住民を雇うのだ。しかし「雇用の場」を提供していた企業は海外へ移転して地方から数百万人の雇用が失われたのを御存知ないのだろうか。
 卵が先か鶏が先か、という議論がある。優秀で安価な労働力があるから高度技術を要する生産企業が地方へ移転するのだ。ただ荒廃した山野と高齢者だらけの地方へ企業が新規に進出するだろうか。地方自治体が取り組むべきは誰でも良い、日本国民を呼び込むことだ。そのために地方自治体の公務員は中央政府に頼ることなく知恵を出し、メニューを揃えることだ。そしてネットに「日本国内移民の募集」を掲載することだ。

 政府にお願いすべきは「年金を一元化し、生活できる年金にすべき」ということだけだ。働いている若者たちが地方へ移転する人たちの足止めの最大要因は厚生年金や共済年金から外れるのを恐れるからだ。国民年金だと満額ですら7万円足らずで、お先真っ暗で死ぬまで働くしかない人生が待っているからだ。
 年金の平均支給額が一所帯当たり月額21万円だと政府広報が発表しているのは厚生年金の話だ。共済年金なら一所帯当たり月額30万円を超える。その一方で国民年金は一人当たり月額5万4千円でしかない。
 国民年金受給者たちが老後の二十年近い歳月をどうやって生きて行けというのだろうか。その餓死することになるかも知れないお粗末な国民年金に怯えて、若者たちは地方の荒野の開拓に向かうのを躊躇うのだ。

 社会保障の大原則は「負担は応能で、支給は一律」だ。公務員たちは特別階級者の地位にいつの間にか納まって、一般国民の飢えの恐怖にさいなまされている老人たちを高みの見物と決め込んでいる。自分たちのお手盛り優遇制度を、まずは官僚や政治家たちや公務員は恥ずべきだ。恥じて改正案を国会へ提出して「社会保障たる年金の一元化と最低保障」を確立すべきだ。
 外国移民を国内へ呼び込むくらいなら、その前に日本国民の「引き籠りやニート」に陥っている人たちに社会参加を求めるべきだ。そのためにはそれ以前の履歴や経験や学識を問わないで、地方へ移住した時点から新規のキャリアを積むことが出来る制度を地方自治体が創成すべきだ。まずは地方公務員の嘱託として周辺集落へ移住して頂くことだ。

 田畑付家屋が安価に売り出されているが、それでも買い手がつかないのが地方の現状だ。そうした人の住まなくなった家屋や耕作者いなくなった田畑を地方自治体が「固定資産税免除」を条件に借り請人となり、移住民に期限付き買取を条件で十年間無料で貸し出すべきだ。
 草刈機や田植え機やコンバインは中古を地方自治体がリサイクルして、移住民に無料で貸し出せば良い。使い方は一日も講習すれば解るだろう。地方さ創生事業で政府が莫大な予算を投じて30万人の雇用創出と謳っているが、政府は都道府県抜きで地方の市町村に丸ごとそのカネを回して、地方自治体は自分たちの頭で考えて全国60万人の「引き籠りやニート」を地方へ呼び込む努力をすべきだ。そして引きこもりやニート諸君、今年こそ自分の足で再び歩きだす年にしようではないか。


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