パナソニックの国内回帰を歓迎する。

 家電大手のパナソニックは海外で生産して日本へ輸入しているエアコンなどの家電製品の大半を国内生産に切り替えるという。原因として円安の進行や海外人件費の上昇で海外生産する利点が少なくなったとしている。
 だが国内回帰する理由はそれだけではないはずだ。労働を生産コストの一つとみなす経営姿勢そのものに対する反省があるはずだ。労働力は製造現場の改善や製造技術を高めようとはしない。しかし日本国民たる従業員は愛社精神に富み、勤勉だけでなく技術の研鑽に努める。

 そうした人材を「労働力」とみなしてコマギレの工数計算単位のコストとみなす経営は現状安住経営に他ならない。新規に従業員から提案なりライン設計に対するヒントなりが提起されることはない。
 労使が全社一丸となって日本の企業は世界に冠たる性能と信頼性を獲得してきた。その社風を一掃したのがグローバル化という掛け声だった。世界展開しない経営者は無能だといわんばかりの風潮が日本の労使慣行を破壊し、政府に入り込んだ新自由主義者たちが「派遣労働こそ正規社員に勝る」という誤った認識を政界にも蔓延させた。

 海外展開熱は熱病の一種で、日本の教育者たちをも瞬く間に冒してしまった。近い将来、中学入試に英語が加わるという。碌に日本語の読み書きも出来ない、日本古来の熟語や慣用句すら理解できない子供たちに英語を教えてどうするつもりだろうか。
 英会話は出来なくても、自動翻訳機は今後とも改良されて普及する。英語を操るよりも柔軟な思考を主体性を持って展開できる頭脳の方が遙かに必要だ。英語教育を蔑にせよ、というのではない。英語を教える前に日本語をもっと徹底して教え、日本語で思考論理を組み立てる頭脳を若いうちにしっかりと耕すべきだ、というのだ。

 会話を側聞していると若者たちの語彙の少なさには驚くし、その少ない語彙で表現しようとしている「思想」の皮相さにも慨嘆を禁じ得ない。柔軟にして繊細な日本語の表現力は次世代に伝承されないのかと愕然とさせられる。
 効率化は必要条件以外のものを削ぎ落とす。労働力は労働力でしかない。派遣社員は派遣社員の認識と自覚で働かざるを得ない。決して正規社員並みの貢献を期待してはならない。それなら経営者たる者は正社員として採用して、企業にとって必要にして十分な人材に育成する方が遙かに良い。それがかつて日本が高度経済成長を成し遂げた原動力だったことを忘れてはならない。

 パナソニックの国内回帰は歓迎すべきことだ。願わくば新規工場で雇用する社員はすべて正規社員として雇用し、技術と愛社精神の伝承に心掛けむことを思わずにはいられない。

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