好調とされている米国経済にも暗雲が垂れ込めている。

<米商務省は6日、11月の製造業新規受注を発表した。詳細は以下の通り。
━11月の米製造業新規受注は前月比0.7%減と、予想の0.5%減を超えて減少。
━10月の0.7%減に続き、4カ月連続で減少。製造業活動、および経済成長が全般的に減速しつつある兆候が示された。
━輸送機器を除く新規受注は0.6%減。前月の1.5%減に続く減少。
━総在庫は0.1%増、総出荷は0.6%減。対出荷在庫比率は1.32と、前月から横ばい。
━耐久財受注は0.9%減、前月の0.3%増から反転。
━非耐久財受注は0.5%減、原油価格の下落を反映。前月は1.6%減。
━企業の設備投資の目安となる航空機除く非国防資本財は0.5%減。
━ただ耐久財受注残は0.4%増。過去20カ月のうち19カ月は増加しており、製造業部門の基調的な力強さを示す。内需は拡大しており、製造業活動の減速は一時的との見方も>(以上『ロイター』引用)

 米国経済が低調なのは製造業だけではない、非製造業でも業況は56.2と6月以来の低水準となった。好調な米国経済だけが頼りとされてきたが、その米国でさえ経済が一本調子で上向いているわけではない。
 ロイターの記事では触れていなかったが、原油価格の下落が産油採算ラインが80ドルとみられている米国サンド・シェルが原価を下回る原油価格により急速に業績を悪化させていることも見逃せない。そして米国内で幅を利かせている1%のハゲ鷹投機家たちもオイル・マネーという投機資金の源泉が絶たれた状態になり、新規投機先への資金不足に陥っているのではないだろうか。

 日銀は異次元金融緩和により「円」をジャブジャブに垂れ流してきたが、世界的な金融の収縮に対して「円」だけが能天気に輪転機を回し続けることは出来ない。ユーロもギリシャ国会議員選挙で緊縮派が敗れてユーロ当局と約束していた財政再建がご和算になりそうだとして、ドイツはそうなった場合はギリシャをユーロから追い出すと態度を決めたようだ。
 出来るだけヨーロッパの国々に参加を呼び掛け拡大策を推進してきたユーロ通貨圏だが、ここに到ってユーロの信認を脅かす国に対しては退場させるという強硬手段に出るようだ。この決定はスペインやポルトガル、さらにはイタリアなどの政策決定に大きな影響を与え、自律的財政再建に大きく舵を切ると思われる。つまりユーロ通貨圏も「緊縮財政」派が席巻することになり、経済・金融のダウンサイジング化は避けられない。

 上記ロイターの記事で指摘されているように、米国の非製造業や製造業などの指数低下が一時的なものであって「堅調な内需」が確かなものなら、米国は金融緩和の手仕舞いに予定通り乗り出すだろう。しかし非製造業や製造業の指数低下が「堅調な内需」に影響を与えるものなら、米国の「堅調な内需」だけを頼りにしている中国の輸出産業が大打撃を受けることは間違いない。
 「円安・株高」という円安日本バーゲンセールに外国投機資金が群がっただけの金融現象に浮かれに浮かれ、今年はアベノミクスを更に進める、などと意味不明なことを叫んでいた安倍氏は「円の手仕舞い」をどのような仕掛けでやっていくつもりだろうか。このまま「異次元金融緩和」を日銀だけが続けるなら、円は底なしの下落地獄へ落ちていくだろう。

 既に日本の富は為替相場では40%近く切り下げられ、相対的に国民所得はドル換算で下落の一途を転げ落ちている。国内で暮らしているだけなら大して感じないかも知れないが、この年末年始に海外旅行へ出かけた人たちは「円」の価値下落に溜息を何度も吐いたことだろう。
 経営者にはグローバル経済だから海外移転せよ、と囃し立てた評論家諸氏たちは「円」価値下落に対してなぜ沈黙しているのだろうか。グローバル経済でいうなら日本の地位は素晴らしい勢いで低下し、諸外国は小さくなった「円」経済を無視しても良い存在と見做し始めていることに、なぜ官僚や政治家たちに警告しないのだろうか。アベノミクスという「円」下落だけに張り続ける「博奕株式相場」を舞台にしたマネー・ゲームは国民の生活にかかわりのないもので、ただただ輸入物価高騰が国民生活を直撃するだけだ。そんな悪影響しかもたらさないアベノミクスは一日も早く止めるべきだ。


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