世界経済のダウンサイジングに日銀はどう対応するのか。

<5日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は大幅に3日続落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の2月物は前週末比2.65ドル安の1バレル50.04ドルで取引を終えた。一時は50ドルを割り込み、49ドル台後半に下落。2009年4月29日以来、約5年8カ月ぶりの安値を付けた。サウジアラビアが米国向けの原油の販売価格を引き下げると伝わったことなどもあり、当面は原油の需給が緩んだ状態が続くとの見方から売りが膨らんだ>(以上「日本経済新聞」引用)

 原油価格の下落は世界経済のダウンサイジングを意味する。投機資金の原資はオイルマネーが還流したものだが、そのオイルマネーが半値近くまで一気に下落しては、産油国の殆どは国家財政維持にぎりぎりの状態になっているはずだ。投機資金市場へ還流させる余裕などなく、むしろ投機資金の回収に乗り出す国も現れているはずだ。
 産油国は原油依存の経済にすっかり漬かりきって、異常なほどの国土開発や国民への社会保障に有り余るオイルマネーを湯水のように乱費していた。しかし、それによりパキスタンやインドやバングラディッシュなどの労働者が大量に中東で土建業に従事して本国へ送金していた。

 オイルショックの際には原油輸入国の経済を直撃し、あらゆる基礎素材の価格上昇をもたらした。しかし原油輸入国は懸命に原油価格高騰を国内経済に織り込んで来た。
 今度は逆オイルショックで産油国が耐える番だ。原油高騰時はその分以上に経済を膨張させることで原油高騰を経済に包括したが、原油価格下落の場合は産油国に厳しい経済運営を強いることになる。国民生活も然るべき負担をしなければならなくなるだけでなく、国家も水膨れした社会保障費や公共事業費の縮小を余儀なくされる。国民がそれに耐えられなくなれば、王族支配や独裁支配体制は根底から揺らぐことになる。国民を黙らせる『飴』が無くなれば必然的に民主化しなければならなくなるだろう。

 原油消費国は原油下落により天国かというと、それは一部原油多消費企業に限られ、ほとんどの企業は原油製品下落に伴う一服感、といった程度の影響しかないだろう。しかし輸出企業は輸出相手国の購買力低下により打撃を受けるだろう。ことに産油国へ大量に製品を輸出していた中国経済はトドメを刺されることになる。
 国内全般では原油価格下落により製品価格下落要因となるものの、円安の進行が余りに激しく、消費者物価高騰はしばらくの間続くのではないだろうか。本来ならガソリンなどは40%近い円安でも、50%近い原油下落によりもっとガソリン価格は下がるはずだが、それほど下落していないのは石油精製企業が内部留保として貯め込んでいるからだろう。

 こうして経済全般を大局的に眺めると、金融は緩和するまでもなく世界的に原油下落分だけ緩和状態になっている。ただ投機資金だけはタイトになり、中国へ大量に投資していた資金の引き上げがさらに加速されるのは間違いない。
 そうすると中国へ移転していた、あるいは進出していた企業は目論見が全く外れることになる。中国国民が消費者になる前に購買力のない貧困層へと格差がさらに拡大し、社会不安増の結果を招くだろう。日本企業も撤退すべきだが、既に遅きに失した感がある。

 世界経済のダウンサイジングは金融のダウンサイジングでもある。日本だけが輪転機をフル回転させることは許されない。それを続ければ円は底なしの下落に陥ることになりかねない。
 金融緩和だけだったアベノミクスは早急に終了させて、金融縮小へ方向転換すべきだ。国内経済は既にダウンサイジングしている。さらにバカな税調や社会保障会議などは個人所得を直撃する方向で話しあっているが、方向性は全く逆だ。ダウンサイジングしている金融や経済に対して政府が即座に的確な処方箋を実行に移さなければ「政府による不況」へ突入することになる。その責任も自公政権に政治を白紙委任した国民にある。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。