労働組合は誰のための組合か。

<電機連合の中村委員長は「多様な働き方を求める人は大勢おり、労働組合としても尊重すべきだ」とした上で、 「製造業派遣の規制は、失業の問題に発展する。国としてセーフティーネット(安全網)を どう確立するのか、政労使が議論しながら国民に示すべきだ」と主張した。
 講演終了後、中村委員長は記者団に対し「製造業派遣を禁止すると、国際競争力がなくなり、 電機産業はやっていけない」と述べた>(以上「読売ネット」引用)

 労働組合は労働者の権利を守る団体かと思ったら、会社の利益擁護団体のようだ。それも経営努力をしない、原価引き下げのためには正規社員よりも派遣を増やして「労働分配率」を引き下げることしか頭にない経営者の味方のようだ。
 もっとも電機労連に加盟している労働組合の多くは正規社員だけで構成されているため、中村氏のような委員長が出る余地があるのだろうが、連合傘下の労働組合の組織率は昨年ついに18%を割って、17.5%になっている。その反面、パート・派遣労働者たち9万人が組合を組織していることも忘れてはならない。

 自分たちの雇用を守るための「安全弁」として派遣が必要だとは中村氏たちの見識を疑う。確かに「多様な労働」を若者たちは求めているといえるかも知れないが、敢えて彼らが非正規・派遣を選択しているとは思えない。
 労働組合は労働者の権利を守る団体のはずだ。正社員の自分たちさえ良ければ、非正規・派遣の労働者たちの権利が蔑にされようと構わない、とは余りにジコチュー過ぎはしないだろうか。なぜ「同一労働同一賃金」という労働対価に対する大原則を堂々と労働組合は経営者側に要求しないのだろうか。

 そして労働基準監督署はバソナなどの派遣業者に対して、登録労働者たちに「労働組合」結成を行政指導すべきではないだろうか。派遣業者がピンハネだけして、登録社員に対して何ら企業としての責務を負わないというのは余りに特殊に過ぎないだろうか。
 それが嫌ならパソナなどの経営者は派遣業をやめれば良い。元々公共職業安定所以外に職業斡旋をこの国は認めていなかった。それはヤクザによる「タコ部屋」ピンハネが横行していたからだ。現代ではヤクザの代わりに政府民間委員になっている大学教授が会長としてヤクザ以上のピンハネ産業を「合法的」にこの国に根付かせてしまった。それが人権無視の異常なことだという認識を一廉の組合の委員長ですら持てないほど、労働界の異常が定着してしまったのだ。

 中村委員長の認識は非常識という前に、「同一労働同一賃金」という大前提すら理解不能な彼の人格を疑う。賃金とは実際に手にするカネだけではなく、地位の保証や厚生・福祉の同一性なども含まれるのは言を俟たない。
 かつて連合はナショナルセンターを目指そうとしていた時期があった。しかし不見識な委員長を戴くようではナショナルセンターどころか、企業内に第二労組を抱える事態にもなりかねない。労組は本来の立場に立ち返って、すべての働く者の権利擁護を使命とすべきだ。


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