生活保護費以下の最低年金の引き上げと、年金格差を圧縮せよ。

<政府は30日、2015年度の年金改定で、物価上昇時のみ機能する年金抑制策「マクロ経済スライド」の初適用を決めた。今後も適用が続けば、年金の実質価値は大きく下がることになり、中でも国民年金は今後30年で3割も目減りする方向だ。財政の安定化を急ぐ厚生労働省は抑制策の強化を検討しているが、低年金対策は進んでいない>(以上「毎日新聞」引用)

 ナンダカンダと理屈をつけて、官僚・政治家たちは社会保障費の削減に躍起になっているようだ。確かに毎年上昇する社会保障費が財政負担として予算に大きく占めている現実は解るが、しかし社会保障費の増加は突然出現したわけではない。
 老人が増加することは何年も前から解っていたことだし、出生率の低下から生産人口が減少することも数十年も前から解っていたことだ。それらに対して、国はどのような対策をとってきたというのだろうか。場当たり的な「百年安心年金」などと称して国民を騙してきただけではなかっただろうか。

 その陰で、500万人足らずの公務員たちが加入している「共済年金」は手厚い給付を維持して平均給付額は月額32万円の水準を維持している。厚生年金が月額平均21万円程度なのに対してあまりに過大ではないだろうか。
 それに対して一人当たり月額平均支給額5万4千円の国民年金は満額ですら6万5千円と、生活保護費以下の支給水準で放置されている。国民のセイフティネットとして最低年金を引き揚げようとする議論が国会で戦わされないのはなぜだろうか。

 確かに国民年金は厚生年金と異なり事業者負担がないため、個々人が納付した掛け金しか国庫に入らない。しかし夫婦二人が掛け金を支払うと三万円を超える金額となり、厚生年金加入者でも所得の低い人たちの個人負担と大して変わらない金額を支払っていることになる。
 一方で公務員は個人の共済掛け金以外に公的に掛け金の二倍の金額が「事業者」分として納付されている。公務員個人の二倍の金額が「給与」とは別に支給されて納付されているのと同じ理屈になる。だから厚生年金の1.5倍の平均支給額があっても当然だという理屈らしい。

 しかし社会保障は拠出年金ではない。支払った掛け金に応じて年金を支給する、というのなら民間の年金保険とどこが異なるというのだろうか。社会保障の大原則は「負担は応能で、支給は一律」だ。医療保険などではまさしくそうなっていて、多額の健康保険料を支払っていれば入院時に個室へ入れるわけでもなく、他の人より高額な薬を処方してもらえるわけでもない。「支給は一律」という社会保障理基本理念が働いている。
 年金だけが種類別に支給額が異なり、さらに現役時代の支払い保険料に応じて支給額が異なるというのは解せない。果たして日本の年金制度は社会保障制度のモノなのだろうか。そうではなく、公務員の特権用語の仕組みの上に成り立っている特殊な「官尊民卑」の格差維持装置ではないだろうか。

 実質的な引き下げをすべての年金に対して行う、というのは無策そのものだ。政治家は何のために国会で議論しているのだろうか。
 年金制度の異常な格差温存のために政治家たちが働いているとしたら、彼らは国民のために働いているのではなく、官僚・公務員のために国民の税と保険料を掠め取っているに過ぎない。なんとおぞましい連中だろうか。だから彼らは言を左右して国会議員の歳費削減や定数削減に背を向けているのだ。世界でも日本の国会議員や地方議員、それに知事や市長などの特別職の高額な給与は異常だ。米国ですら国会議員は日本の国会議員の報酬の半分程度だ。地方議員に到っては日給制やボランティア程度の報酬しか支給していない。日本の議員族の特権意識は一体なんだろうか。

 働かない名誉職のような官僚の下請け政治家たちに高額報酬は不要だ。しかし現役を終えた国民の生活を支える年金は必要だ。しかし勤労者平均年収の半額以上の年金が老人世帯に必要最低限とは思えない。すでに子育てや教育負担のない老人に高額な年金を支給するよりも、未来の国民を育てる子育て世帯に対してこそ手厚い給付をすべきだ。
 一方で生活保護費以下の年金を放置して、一方で勤労者平均年収に匹敵する年金を温存するという莫大な格差が国のあらゆる制度にあってはならない。現実を見ないで、官僚がお膳立てした「屁理屈」だけを鵜呑みにする暗愚な政治家を国民は何時まで高額な報酬を与えて飼い続けるつもりだろうか。


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