介護報酬の引き下げに反対する。

<高齢者の介護サービスを行う事業者に税金などから支払われる「介護報酬」について、政府は来年度、2.27%引き下げることを11日に決めた。特別養護老人ホームなどの収益率が高く、「もうけすぎ」との声があるため。
 こうした指摘に対し、都内の老人ホームは、「多くの入所希望者に応えるため、空きがでると、すぐに次の高齢者を受け入れるなど努力した結果、収益がよくなった」という。
 特別養護老人ホームなどの施設長「頑張ってきた施設・事業所もたくさんあるはずなんですよ。それがもうけすぎという形でとらえられてしまうのであれば、非常に残念なことだなと思います。(今後が)不安だなというのが一番です」
 介護職員「若い方の募集をしても応募がありませんので、誰もがこの仕事に就きたいという気持ちが持てるような環境を整えてもらわないと」
 待遇改善のため、政府は、介護職員1人あたり月1万2000円の賃金を補助することも決めた。しかし、対象は介護職員に限られ、施設側は、「収入が下がる中、ケアマネジャーや調理員なども含めた人件費の確保が苦しい」と訴えている>(以上「日本テレビ・デジタル」引用)

 介護報酬の引き下げは介護の質の低下をもたらすのみならず、介護事業者への新規参入を阻む要因になりかねない。介護事業を行うには厚労省の定める様々なハードルを越えなければならない。もちろん、老人介護事業にはそれ相応の特別な知識と技能が必要とされるのも理解できるが、そうした形式を整えるために必要以上の開業資金がかかっているのも事実のようだ。
 たとえば定められた基準を満たす施設や施設に医師が関与していることやケアマネージャーなどの有資格者がいることなど、介護事業を始めるには膨大な資金や人材確保などの準備が必要とされる。そうした準備をすべて民間にやらせて、官僚・公務員は高みから見物し指導するだけだ。

 儲け過ぎだ、と官僚が子反するのなら、介護事業の施設をすべて官が買い取って官営とし、経営者たちをそのまま雇用してみ官業として経営すれば良いだろう。そうすればいかに介護事業で人材を確保するのが困難か官僚たちにも理解できるに違いない。
 これがコンビニなどのフランチャイズ契約なら、国はフランチャイズ契約事業者たちから間違いなく訴えられる。なぜなら介護事業を開始するにあたって経営者たちや有資格者たちは長期的な観点から事業と関わりを持つ決断をしたはずだ。それも国が実施する制度事業だから施設建設借入金の返済途中で介護事業の制度改正などで介護報酬の引き下げなどは想定していないはずだからだ。それらはコンビニのフランチャイズ契約ならロイヤリティーなどに相当し、契約期間途中での変更は明確な契約違反とされるからだ。

 介護職員一人当たり1万2千円の引き上げを実施するとマスメディアは報じているが、結果として平均的な介護職員の年収がいくらになるかは報じていない。なぜだろうか。これほど介護職員の定着率が低く、外国人介護職員を導入しようとしているにも拘らず、マスメディアによる介護現場の取材がほとんど見られないのはマスメディアが自らの報道の使命を放棄しているに等しい。
 官僚や政治家が「介護施設は儲け過ぎ」と判断するのなら、儲け過ぎとする根拠を示すべきだし、儲け過ぎは介護職の協力もあってのことだろうから、儲け過ぎ部分を労働の対価として介護職報酬として還元すべきと制度事業に定める給与表の改定と、儲け過ぎ介護施設はその儲け過ぎと認定した部分を職員給与として反映すべきと指導すべきではないだろうか。

 いずれにせよ、社会保障費が増加しているから何でもかんでも削ってやろうという姿勢は頂けない。介護施設が潤沢で待機老人がいないのならまだしも、全国的に介護施設は不足している。新規参入を期待する分野で報酬を引き下げるというのは政策として理解できない。
 介護職は今後100万人不足すると政府は広報して、だから外国人介護職を導入する、としているが、それも介護職の平均勤務年数と、平均介護職年齢と平均年収を公表すべきだ。そうすればいかにお寒い介護現場が日本全国で展開されているかが国民に御理解願えるだろう。

 官僚や公務員は過酷な介護現場で働くこともなく「指導」や「監査」だけをしていて、介護現場の何が改善されるというのだろうか。本気で介護職を官僚たちが自分たちの分身と捉えるなら、介護職に公務員の「等級 号俸」給与表を適用してはどうだろうか。それで人件費が高騰して社会保障費が膨大になるというのなら、現行の国や地方財政を圧迫している元凶の一つに官僚・公務員給与もあると、官僚たちに身に沁みて認識されるのではないだろうか。
 現場職は安価で、立案・計画職は高額報酬というのは間違った認識だ。それは李氏朝鮮の両班体制そのもののように見える。官高民低とは国民を余りに馬鹿にしていないだろうか。それは官僚だけでなく、それを認めている政治家たちにも言えることだ。官僚による官僚のための政治ではなく、「国民の生活が第一」の政治を国民は望んでいる。


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