安倍政権は未来への投資をなんだと考えているのか。

 僅か1万円だった子育て手当を廃止するとしていたが、さすがに反対の世論に押されて3千円支給することにしたようだ。
<政府は2015年度当初予算案で、高所得の世帯を除く子育て世帯向けに、「中学生以下の子ども1人につき3千円」の給付金を配る方針を固めた。子育て世帯の家計を支援し、消費の回復につなげる狙い。子育て世帯の約9割にあたる1600万~1700万世帯が対象になる。
 給付金に必要な予算として500億~1千億円程度を、14日に決める予算案に盛り込む。消費税率を8%に引き上げた後の消費回復を狙い、14年度は中所得層を中心に「子ども1人あたり1万円」を配っている。増税後の消費低迷が長引いているため、額は減らして再びお金を配ることにした>(<>内「朝日新聞」引用)

 しかし政権発足前から安倍氏は成長戦略に本腰を入れると意思表明して、何度も矢を放つと叫んでいるが、未だに公共事業の大盤振る舞い以外の「矢」は放たれていない。放たれていないどころか弦に番われてすらいない。法案として国会に提出されてもいなければ審議という「議論」すら始まっていないのだ。
 そもそも短期的でないにしろ少子対策は有効な景気対策でもある。少子化が改善されれば子育ての各段階で家庭は消費支出を増やさざるを得ない。労働年齢に達すれば企業戦士として国内労働生産力がアップする。さらに彼らが結婚して家庭を営めば消費支出は確実に増加する。それこそが好ましい「好循環」ではないだろうか。

 しかし安倍自公政権は「子ども手当」すらも他の朝令暮改政策と同一視している。子育ては生まれた子供を最低でも15年、通常なら22年間も扶養することになる長期的なプロジェクトだ。それを選挙で若年層の票目当てに1万円支給したり、選挙が終わって当分国政選挙はないからゼロにしよう、と考えるなど論外だ。
 子ども手当は国防費と同じ「国家防衛」の要だという認識を持たなければならない。国民が減少して国家防衛力が上がることはないし、産業競争力が上がることもない。国家の基本は国民人口だ。人口減社会がいかに悲惨でいかに地域の活力を削ぐかは地方で暮らせばヒシヒシと身に沁み込む。

 公共事業の大盤振る舞いや法人税率引き下げは財源がなくても実行するというのに、国家の基本たる「少子化対策」「未来への投資」は政権の気分次第で増減するとは何事だろうか。マスメディアも愚にもつかない民主党代表選を伝える暇があれば、少子対策予算の増減の茶番劇を国民に報せるべきだ。
 少子対策は景気対策でもあることを忘れてはならない。官僚や政治家たちは自分の懐に入る報酬や手当の増額に関しては必要以上に理解があるが、国民の各層に対する「個人給附策」に関しては驚くほど否定的だ。頑迷な評論家には未だに「子育ては各家庭の問題だ」と主張して、「子は宝にしかめやも」と謳った古の歌人の認識の足元にも及ばないとは情けない。

 日本国民として誕生した子は誰の子であれ、国民全体の子供である。子育てに掛かる経費の一部なりとも国家として負担しようという認識を国民が共通認識として持つべきだ。さもなくば、選挙目当てに寒暖計のように上がり下がりしては二十年前後に及ぶ子育てに踏み切ろうとする若い夫婦の決断を鈍らせてしまいかねない。
 しかし月額たった3千円の子育て手当で安倍自公政権はどうしろというのだろうか。少子対策は景気対策であると同時に社会保障でもある。何も支援すべき国民は老人ばかりではない。成人するまで総額で数千万円かかるといわれる子育て世帯も社会保障費で対策すべき対象ではないだろうか。健気に子育てに励む若い人たちへの給付を政権の人気取りの道具にしてはならない。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。